goo

2021.10.15 『右股奥』(435m)  原風景の中の最後の一座へ

 今日もマイナーな三角点へ。

それに点名がつまらない。

「右股」だとか「左股」だとか、

あるいは「二股」だとかって、

どこにでもあってまるで個性がない。

ところが今回の「右股奥」は、

私にとって大変重要な存在だ。

何故ならそれは、

私の原風景の中で、

最後に残された未踏の三角点ピークだからだ。

私が幼少期を過ごした栗山町南学田と、

湯地で眺め続けていた東側の山々は、

北の「本鳥遠別」(二等・443m)から、

南の「南高山」(四等・242m)に及ぶ。

その中には20座の三角点ピークがあった。

それらを60歳を過ぎて、

一つ一つ登り歩いてきた。

そして今日最後の一座に立つことができた。

また、「右股奥」と言うからには「右股」があるわけで、

それはこのピークの北3kmほどのところにあり、

昨秋登っている。

 昨日の夜になって降り出した雨が今朝になっても止まず、

またダラダラといつまでも降り続けるのだろうか?

と、いや~な気持ちになったが、

家を出る8時頃になってやっと上がってくれた。

 道々3号線を栗山町から夕張市に向かって走り、

栗山町富野地区で農道に入った。

そしてすぐに「富野川」を渡る。

狭いが舗装された農道が「一線の沢川」に沿って伸びて行く。

やがて舗装が砂利道に変わり、

道々から2km入った地点で施錠された林道ゲートが現れた。

ゲートのすぐ手前に駐車地があった。

 9時25分、ゲートを越えて「一線の沢林道」に入った。

路面は砂利が敷かれてしっかりている。

砂利がコツコツ当たるためスパイク長靴では少々歩きにくい。

辺りは紅葉が進んで美しい。

歩き始めて1kmほど行くと突然「立ち入り禁止」の立札だ。

その理由は積み上げられた木材を目にしてすぐに理解できた。

しかしそこで戻る気にもなれず現場に入っていって、

一人でいた年配の重機オペレーターに、

このまま進んでいってはまずいか? と、声をかけた。

すると「伐採作業は山側でやってるから林道は歩けるよ」とのこと。

ホッとして礼を言い先に進んだ。

すると木材を山積みしたキャタピラー式の運搬車がやってきた。

すぐに道路脇に避けて邪魔にならないようにする。

路面はそのキャタピラーの跡でガタガタだ。

おまけに泥が柔らかいので歩きにくいったらありゃしない。

苦労してえっちらおっちら歩いていると、

キャタピラーの運搬車が戻ってきた。

伐採地で積んだ木材を先ほどの集積場まで運んでいるのだ。

一日に何往復するのか?

 伐採地を左手に眺めて先を行くと、

どうやらその先は廃道状態だ。

少し行ったところには倒木も放置されていた。

 ゲートから2.5kmほど歩いた地点に、

「一線の沢林道5線作業道」が現れた。

ちょうどこの地点で尾根に取り付く予定だった。

10時20分、水量が極端に少なくなった「一線の沢川」を渡り、

尾根の末端に取り付いた。

取り付きは急だったがすぐに傾斜が落ちた。

そして広い伐採地に出た。

これを登って正面の顕著な尾根へ。

急登を過ぎると雰囲気の良い尾根が続いていく。

この辺りからの藪を心配していたのだがその薮がない!

足元はすっきりしていて歩きやすい。

この植生よどこまでも!

と、願わずにはいられない。

だが、それが裏切られることはなかった。

尾根筋は一貫して歩きやすく、

それゆえひじょうに楽しい歩行となった。

尾根は多少のアップダウンを繰り返し、

徐々に高度を上げて行く。

そして最後は薄い笹原となり、

11時30分、三等三角点「右股奥」

標石周りはすっきりしていた。

標石が地面までめり込んでいるので、

笹が濃かったなら見つけられなかったかもしれない。

いつも通りカップ麺に湯を注ぐと、

東側の谷からヒグマの大あくびが聞こえてきた。

そのヒグマはおしゃべりなのか、

その後何度となく様々な声を発して谷間に響かせていた。

エゾシカのご馳走でも獲得して喜んでいるのだろうか?

 下山は同ルートを下って「一線の沢林道」に下りた。

実は帰路で伐採地に寄るのを楽しみにしていた。

私は伐採地の風景が大好きで、

しかも今回はそこで実際に伐採作業が行われている。

それを少しでいいから目にしてみたいと思った。

作業員に気付かれないよう、

樹林の中から伐採現場を覗いてみた。

すると3台の大型重機がアームの先にそれぞれ、

用途の違うアタッチメントをつけて作業をしていた。

1台は先がチェーンソーになっていて、

トドマツの大木をバキバキ倒しており、

1台は切り倒された大木の枝を払って、

長さを揃えて切断している。

また1台は均等に切断された丸太を、

数本ワシヅカミにして運搬車に積み上げていた。

素晴らしい連携プレー!

それにしても機械のパワーの凄まじいこと!

今度生まれ変われるとしたら職業は林業だな!

ああして現場で働きたい。

そうすればいつも伐採地の中にいられる。

今日は本当にいいものを見ることができた。

 伐採地を離れて林道を歩いていると、

例の木材を山積みした運搬車がやってきた。

その運搬車も運転してみたいものだ。

伐採作業の見学は子供にかえったように楽しかった。

 楽しかった光景を思い浮かべながら林道を楽しく歩き、

13時25分、林道ゲート。

いやあ楽しかったなあ!

そして私の原風景の中の三角点ピーク全てに立てたことに感謝!

今後何度となく繰り返し登ることになる三角点ピーク群だ。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )