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2023.5.4 『宇佐美』(194m)  娘に春の恵みを!

 3日の夕方、

札幌で一人暮らしをしている娘が、

GW休みで帰ってきた。

正月以来だ。

今年1月42歳になった娘は、

全く結婚に興味がなく、

独身生活を謳歌している。

そして私に似て酒好きだ。

こうして帰ってくるといつも一緒に飲む。

3日の夜飲んでいると、

突然娘が言った。

「タラの芽の天ぷらが食べたい」と。

それじゃあ採ってきましょ、

というわけで、

4日は山菜取りと決めた。

 三日の朝ゆっくり出て、

栗山町桜山地区の「桜山池」へ。

「桜山池」を遠巻きに周る周遊林道にのり、

途中の伐採地でタラの芽を収穫することにした。

伐採地のような荒れ地にタラの芽が良く出る。

 「桜山池」の入口に駐車し、

エゾシカ防護柵を越えて林道に入った。

この林道にはエゾシカゲートはあるものの、

林道ゲートは設置されていない。

しかしここで不法投棄を目にしたことはない。

今後もそれが続いてほしいと、

切に願うしだいだ。

 木々の枝には淡い緑の葉が開きだし、

なんとも春らしい雰囲気だ。

そして足下の草地にはつくしが、

一斉に頭をもたげだした。

思えばもう5月で、

長かった週一休みの4月が過ぎ、

余裕のなかった4月を思うと、

5月に入ってこうしてのんびり里山を歩くGWもいいかな・・・

 平たんだった林道が高度を上げだすと、

最初の伐採地にタラの芽が現れる。

しかしほとんどが既に採られたあとだ。

根元から芽をもぎ取り、

枯れてしまった木も目立つ。

そんな光景の中に、

木をのこぎりで切ったものが現れた。

手の届かないタラの芽を、

木を切り倒してまで採ろうとするとは。

今年の今さえよければ、

来年以降はどうなってもかまわないという、

全くもって身勝手な所業だ。

こういうことを平気でやってのける輩が、

山に入ってくるんだもの、

山が荒れないわけがない。

 スタートして2kmほどで、

林道から藪に入った。

そして短い藪漕ぎで、

三等三角点「宇佐美」

四季を通じて何度も立ったピークだ。

すぐ林道に下って歩き出す。

しばらく歩いて次の伐採地へ。

その辺りもまた人の手が入って、

むしり取られた枝先、

のこぎりで切られた木が目立つ。

更に歩を進めて行くと、

一ヶ所夕張方面を眺められる伐採地に出る。

『冷水山』や『鳩ノ巣山』の雪はもうすっかり融けてしまった。

そんな山々がこの日は黄砂の影響で、

ぼんやりと霞んで見えていた。

この春はずいぶん黄砂の影響を受けてきた。

 全行程の半分を過ぎた頃、

新しい伐採地が現れる。

この辺りだとまだ人の手がわずかしか入っておらず、

タラの芽が結構収穫できた。

そして仕上げは「桜山池」に下る直前だ。

そこで納得いく量を収穫して昼食。

最後は池に下って堤の草原で、

ヨモギの収穫だ。

私は貴重なタラの芽より、

どこにでも無尽蔵に自生している、

雑草のようなヨモギが好きだ。

地位も名誉も金もなく、

ただ雑草のように生きてきた自分が重なる。

 帰宅すると女房が手際よく天ぷらにしてくれた。

今回の面倒な山菜処理について、

一言も不平を口にすることはなかった。

そう、今回ばかりは私の希望ではなく、

久しぶりに帰ってきた娘の希望なのだから。

うまくいった!

そして娘よ、突然「タラの芽が食べたい」と言われて、

その翌日腹いっぱい食べさせてやれるのは、

この父くらいだぞ!

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