もうだいぶ以前のことですが、ある日教室にやってきて入会申し込みをされた、当時中学2年生の子のお母さんがいました。
一通りの話をした後で、そのお母さんが言った驚くべき一言が今も強烈に印象に残っています。
何と言ったでしょうか。
「普段から家でちっとも勉強しなくて困っているので塾に入れようと思いました。今から3ヶ月で結果を出してください。そこで結果が出なければ塾をやめさせます」
まあ、一言で言えば「なんということでしょう」
それまで家で学習する習慣が無かったと公言しつつ(であれば、当然にしてかなりの苦手単元がある筈)、3ヶ月で結果を出せ。出さなければ「塾をやめさせる」。
この場合、「やめさせる」というのは、ご自分のお子さんに対して使う言葉ではなく、その3ヶ月間通う塾に対して「おたくは役に立たないから」といってそこを辞めさせるというニュアンスであり、塾の側としましては、突然こられて結構な物言いをされたものだと、そのとき大いに驚いたものでした。
これまでこの欄で何度か書いたことがありますが、学習塾は魔法の力で子どもの学力を早業で引き上げるところではありません。そんなことは不可能です。
そこには、子ども自身、そのご家庭、学校での過ごし方と、それらがあっての塾での勉強といった、これら全ての要因が絡み合い積み重なって初めて実現できるものがあります。
時節柄、新規ご入会のお問い合わせなどが続きますが、ぜひともそこでお願いしたいこと、それは、ゆめゆめ一方的で過大なご要望を、しかも自助努力なしにお求めにならないでいただきたいという、極めてシンプルな思いです。