アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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自慢の子育て施設も、実はただの玩具のショールームに過ぎない

2017年02月10日 21時42分51秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を

 

 私の地元の大阪府高石市は、保育園・幼稚園の統廃合や民営化を積極的に進める一方で、子育て施設を駅前に作り、待機児童ゼロを目指すと盛んに宣伝しています。その子育て施設がHUGOOD TAKAISHI(ハグッドたかいし、以下ハグッドと略す)です(上記写真)。玩具販売会社のボーネルンドと提携して、0歳から5歳までの幼児を親子同伴で遊べる施設を作ったと、市役所の広報誌や南海電車の宙づり広告などで、今、盛んにアピールしています。

 ハグッドは、南海本線高石駅前にあるアプラ高石(公民館施設)の3階にあります。中には、絵本や子育て情報誌が置かれた「まなびのひろば SQUARE」、カラフルで色んな種類の玩具が置かれ親子で遊べる「あそびのひろば PLAY LAB」、ベンチや観葉植物が置かれ親子同士で交流できる「いこいのひろば TERRACE」の、3つのコーナーがあります。どのコーナーも親子同伴でないと利用できません。そのうち、「あそびのひろば PLAY LAB」が施設の約半分のスペースを占め、はいはい・よちよち歩きの赤ちゃんコーナーや、積み木ブロックなどの玩具がそろったコーナー、ままごと遊びが楽しめるコーナーなどに、更に細かく分かれます。

 「あそびのひろば PLAY LAB」は有料で、親子1組で1時間に付き500円の利用料が必要です。更に、親子1人それぞれ増えるたびに250円の追加料金や、15分延長するごとに1人50円の延長料金を徴収されます。しかも、案内のリーフレットには、「施設内のトラブルには一切責任を負わない」「スタッフの業務はあくまで遊び方の説明や施設案内だけで、子どもの安全管理は保護者の責任でやって欲しい」との記述までありました(上記写真)。これでは、親が自宅の中で子どもの面倒を見るのと、全然変わりません。面倒を見る場所が自宅から外部の施設に変わっただけです。しかも、有料で親子同伴でないと利用できないので、共働き世帯や金銭的に余裕のない家庭にとっては、しょせん高嶺の花でしかありません。買い物中はスタッフに子どもを預ける事も出来ますが、それも最大3時間までで、別料金を払わなければなりません。これでは、とても「子育て施設」とは言えません。実態は、ただのオモチャ会社のショールームに過ぎないのではないでしょうか?

 ハグッド業務委託先のボーネルンドという玩具販売会社についても少し調べてみました。ボーネルンドとは、デンマーク語で「子どもの森」という意味だそうです(子ども=borne、森=lund)。ハグッドの入り口に置いてあった会社案内のパンフレット(上記写真)にも、「遊びを通して子どもの健やかな成長を応援する…それが、多様性を受け入れ、互いに尊重し協力できる、心の豊かな社会をつくる事につながる」とありました。理念は誠に立派です。しかし、ハグッドとよく似たキドキドという業態について、実際の求人条件を調べてみると、非正規雇用の契約社員で、時給も千円に満たず、月収もわずか16万円前後といった低待遇の募集ばかりでした。これでは、「保育士になりたい」「たとえ薄給でも子どもと触れ合いたい」という応募者の夢につけ込み、「やりがい搾取」で労働者をこき使っているだけではないですか!

(以下、東京都の求人内容より一部抜粋)

■ ボーネルンド本店
東京都渋谷区神宮前1-3-12 1階
仕事内容: 販売  時給: 970円  契約社員 月額換算: 163,687円  勤務時間: 9:30~20:00 ( 1日7.5H )

■ 渋谷・東急本店
東京都渋谷区道玄坂2-24-1 6階
仕事内容: 販売  時給: 970円  契約社員 月額換算: 163,687円  勤務時間: 9:30~19:30 ( 1日7.5H )

■ 代官山店
東京都渋谷区猿楽町16-15 代官山T-SITE GARDEN 5号棟 1F-A
仕事内容: 販売  時給: 970円  契約社員 月額換算: 163,687円  勤務時間: 9:30~20:30 ( 1日7.5H )

■ 京王百貨店新宿店
東京都新宿区西新宿1-1-4 7階
仕事内容: 販売  時給: 970円  契約社員 月額換算: 163,687円  勤務時間: 9:30~20:30 ( 1日7.5H )

http://www.hoikushibank.com/pr/bornelund

 ここで高石市における保育行政の流れについて少し述べておきます。高石市公立保育所を残す会のHPによると、小泉構造改革以降、民主党政権や安倍自民党政権の下で、保育園・幼稚園の統廃合や民営化が全国的に推し進められる中、私の地元の大阪・高石でも、前の寺田市長の時代から、保育園の統廃合や民営化がトップダウンで強行されました。それに反発した保護者が、民営化反対の住民訴訟を起こすまでになっています。その中で、2003年の市長選で初当選したのが今の阪口新六(さかぐち・しんろく)市長です。この時の市長選では、堺市との合併問題が一大争点に浮上し、合併反対を掲げた阪口氏が、当時現職だった寺田市長に対し、ダブルスコアで圧勝しました。当時の阪口市長は、保育所の民営化についても反対ないしは凍結の立場を取っていました。

 ところが、当選後は一転して保育の民営化を推進するようになりました。既に前市長時代に民営化されてしまった東羽衣保育所に加え、2009年には高石保育所も民営化され、取石(とりいし)保育所は認定子ども園に再編されてしまいます。2012年には加茂保育所と羽衣保育所も廃止され、今や公立保育所は綾園(あやぞの)の1ケ所だけになってしまいました。その他にも、かつて公約に掲げていた市民病院の建設も、ふたを開ければ夜間休日診療所(保健センター)に取って代わる等、公約の変質・後退が目につきます。

  

 廃止された市立保育所は今や草ぼうぼうです(左上写真:旧羽衣保育所)。市役所が言う少子高齢化の進展とは裏腹に、実際は「保育園落ちた!日本死ね!!」と言われるまで待機児童問題が深刻化しているのに。格差社会の陰で、食事も満足に取れない子どもが大勢いると言うのに。玩具メーカーのショールームでしかない「子育て施設」の宣伝に力を入れるくらいなら、廃止された保育所を「子ども食堂」の拠点として活用するほうが、まだよっぽどマシではないでしょうか?

 市長が保育所民営化の口実として持ち出すのは、一つには耐震化補助金の獲得です。保育所を民営化すれば、国の基金から耐震化予算の補助金が出るが、公立のままだと出ないと言うのです。確かに、保育所を民営化すれば、国の「安心子育て基金」から補助金が出る仕組みになっています。しかし、公立のままでも、国からは地方交付税交付金の形で補助金が出るはずです。

 市長が持ち出す、もう一つの口実が財政逼迫(ひっぱく)です。しかし、いくら保育所民営化で公務員の人件費を削減しても、ハグッドの運営を委託しているボーネルンドに年間5880万円も委託費を払い、遊具購入の為に1260万円も市民の税金を補填(ほてん)していては、何もなりません。ボーネルンドも営利企業である以上は、儲からなくなれば撤退します。そうなれば、残された子どもや保護者は一体どうなるのでしょうか?

 市長の施策には、他にも、南海高師浜(たかしのはま)線の工場夜景ラッピング電車(右上写真)運行補助金や、芦田川改修「せせらぎ整備事業」等、不要不急で、その時々の思いつきで行っているとしか思えないような支出が目につきます。工場夜景ラッピング電車の件なぞ、その典型です。臨海コンビナートの工場夜景を堪能するには、マイカーやタクシーで橋を渡って、数キロ沖合いの埋立地まで行くしか方法がありません。ところが、高師浜駅前にはタクシー乗り場すらないのです。工場夜景を観る為に高師浜線を利用する人なぞ、誰もいません。いくら、そんな事をしても、高師浜線の利用回復には結びつきません。

 そんな金があるなら、なぜ今からでも保育所を公立に戻して再開しないのでしょうか?仮に百歩譲って、保育園を民営化して幼稚園と統合するとしても、なぜ旧保育園の遊休施設を学童保育や子ども食堂の場に開放しないのでしょうか?「ラッピング電車」や「玩具のショールーム」よりも、待機児童や食事も満足に取れない子どもを救う事の方が、行政として優先すべき事ではないでしょうか?

コメント (3)
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