パキスタンの非常事態宣言と日本のテロ特措法・お笑い大連立。一見何の関係もなさそうに見えるそれぞれのニュースですが、私は大いに関係があると見ています。
まずパキスタンの方から。この国は、アフガニスタンやイランとも国境を接し、近年の「テロ戦争」においても最前線国家として機能してきました。非同盟のイスラム国家でありながら、東隣の大国インド(こちらも非同盟の盟主だが、かつて長い間旧ソ連とは友好関係にあった)に対抗する為に、歴史的には親米・親中国路線を踏襲してきた国です。国内では封建領主層や軍部が政治の実権を握り、特に軍部は今までも何かと政治に関与してきました。しかし、国民の間には反米・親イスラムの風潮も根強く、それが時として強い反政府感情となって現われる―かいつまんで言えば、そういうお国柄です。
現在のムシャラフ政権も、ご多分にもれず1999年に無血クーデターで誕生した政権です。この前の10月に行なわれた大統領選挙でも、ムシャラフ氏が最多得票を獲得したのですが、同国の最高裁からは「陸軍参謀総長の肩書きのまま大統領選挙に出馬したのは憲法違反」とのクレームが付けられていて、「このままでは再選が危うい」という事で、政権側が先手を打って事実上の体制内クーデターを起こして憲法を停止した、というのが、この間の経過です。
私は、このムシャラフのクーデターの裏には、米国の意向があると睨んでいます。先述した様に、米国にとってパキスタンはアフガン戦争の最前線基地です。そして、アフガニスタンとの国境地帯に広がるトライバルエリアを根城とするタリバンを完全掃蕩する為にも、この政権は米国にとっては無くてはならないものです。だから、欧州諸国と歩調を合わせてムシャラフのクーデターを非難しているのはあくまで表向きであって、実際は何が何でもムシャラフを守ろうとしているのです。
翻って、日本のお笑い大連立。私は、揶揄するつもりで敢えて「お笑い」と表現していますが、腹の中では怒りを抑えているのです。だってそうでしょう。小沢や民主党が実際は自民党と同じ穴のムジナである事も全て承知の上で、現実問題として、小選挙区制下で確実に自民党政権を倒すには、まずは野党第一党に票を集中するしかないから、小沢の「反自民」ポーズにも乗ったのです。だから、共産・社民・国民新の野党各党も、参院での首班指名選挙の決選投票では敢えて小沢に投票したのでしょう。
その、生活苦にあえぐ民衆の「反自民」の意志を、単に自分個人のカムバックに利用する為に散々弄んだ挙句に、自民党からちょっと頭の前に人参ぶら下げられただけで、簡単に心変わりして。小沢が腹黒いのは元より承知の上、それを「反自民」の執念に昇華してくれる事をこちらは期待していたのに、まさかここまで「根性無し」だとは思わなかった。しかも、その後も醜態を演じ続けた挙句に、「結局元の鞘に納まっただけ」とは。国民をバカにするにも程がある。
党首のくせに平気で自党を「未熟児」呼ばわりした挙句に、前のボンボン首相と全く同じ醜態を晒した無責任な党首も党首なら、そんな無責任党首にそこまでコケにされてもまだ「下駄の雪」宜しく未練たらしくすがり付く「独活の大木」政党も政党です。もう呆れてモノが言えません。
問題は、何故そこまでして小沢がお笑い大連立にすがりつくのか、という事です。これは小沢・民主だけが問題なのではありません。福田・自民にしても状況は同じです。参院選に惨敗して衆院解散も何時あるか分らない中で、政権維持に自信が持てないからこそ、自民党の方でも民主党との大連立を模索していたのでしょう。はっきり言って、自民党も民主党も、米国が怖いのです。だから、国民全体を敵に回しても「テロ特措法延長」や「給油新法」にしがみついているのです。
何の事は無い、パキスタンのムシャラフと全く同じじゃん。大連立の画策という手法まで含めて。あちらでも、クーデター以前には、一蓮托生仲間を少しでも増やそうと、かつての政敵ブットを、連立をエサに海外亡命先から呼び寄せる様な真似までしていました。
これは、裏を返せばこういう事でしょう。「テロ特措法」や「給油新法」の為には何でもする。その為の日米戦争国家作りや、消費税17%、後期高齢者医療制度、ホワイトカラー・エグゼンプションなどに代表されるような銃後の生活で、たとえ国民が死に絶えようが、国民全体を敵に回そうが、そんな事なども一切お構い無しに。なるほど、これもムシャラフと全く同じだ。
私は嫌ですね、こんな奴らと無理心中させられるのは。タリバン・アルカイダのテロも、米国・海兵隊のテロ・侵略・強姦殺人・基地被害も、両方ともゴメン蒙ります。これ以上の生活苦もゴメンです。パキスタン人民とも連帯して、ともに厄介者を追っ払ってしまいましょう。
(参考記事)
・パキスタンで弁護士350人拘束(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3700596.html
・パキスタン 強権やめ法治の回復を(東京新聞・社説)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007110602062185.html
・パキスタン:米国は深刻なジレンマに直面 非常事態宣言(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20071105k0000m030012000c.html
・対パキスタン援助見直し、対テロ援助は除外…米国防長官(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20071105id25.htm
・パキスタン援助継続か 対テロ戦を重視 米紙報道(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/071105/amr0711051904008-n1.htm
・パキスタンの政局とテロとの戦い(知られざるアジアNOW)
http://asahi-newstar.com/program/asia/cast/070816-004042.html
・Lahore Diary
パキスタン・ラホール在住邦人のブログ。現地の政治情勢についても掲載。
http://koidelahor.exblog.jp/
・最近のパキスタン情勢と日・パキスタン関係(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/pakistan/kankei.html
まずパキスタンの方から。この国は、アフガニスタンやイランとも国境を接し、近年の「テロ戦争」においても最前線国家として機能してきました。非同盟のイスラム国家でありながら、東隣の大国インド(こちらも非同盟の盟主だが、かつて長い間旧ソ連とは友好関係にあった)に対抗する為に、歴史的には親米・親中国路線を踏襲してきた国です。国内では封建領主層や軍部が政治の実権を握り、特に軍部は今までも何かと政治に関与してきました。しかし、国民の間には反米・親イスラムの風潮も根強く、それが時として強い反政府感情となって現われる―かいつまんで言えば、そういうお国柄です。
現在のムシャラフ政権も、ご多分にもれず1999年に無血クーデターで誕生した政権です。この前の10月に行なわれた大統領選挙でも、ムシャラフ氏が最多得票を獲得したのですが、同国の最高裁からは「陸軍参謀総長の肩書きのまま大統領選挙に出馬したのは憲法違反」とのクレームが付けられていて、「このままでは再選が危うい」という事で、政権側が先手を打って事実上の体制内クーデターを起こして憲法を停止した、というのが、この間の経過です。
私は、このムシャラフのクーデターの裏には、米国の意向があると睨んでいます。先述した様に、米国にとってパキスタンはアフガン戦争の最前線基地です。そして、アフガニスタンとの国境地帯に広がるトライバルエリアを根城とするタリバンを完全掃蕩する為にも、この政権は米国にとっては無くてはならないものです。だから、欧州諸国と歩調を合わせてムシャラフのクーデターを非難しているのはあくまで表向きであって、実際は何が何でもムシャラフを守ろうとしているのです。
翻って、日本のお笑い大連立。私は、揶揄するつもりで敢えて「お笑い」と表現していますが、腹の中では怒りを抑えているのです。だってそうでしょう。小沢や民主党が実際は自民党と同じ穴のムジナである事も全て承知の上で、現実問題として、小選挙区制下で確実に自民党政権を倒すには、まずは野党第一党に票を集中するしかないから、小沢の「反自民」ポーズにも乗ったのです。だから、共産・社民・国民新の野党各党も、参院での首班指名選挙の決選投票では敢えて小沢に投票したのでしょう。
その、生活苦にあえぐ民衆の「反自民」の意志を、単に自分個人のカムバックに利用する為に散々弄んだ挙句に、自民党からちょっと頭の前に人参ぶら下げられただけで、簡単に心変わりして。小沢が腹黒いのは元より承知の上、それを「反自民」の執念に昇華してくれる事をこちらは期待していたのに、まさかここまで「根性無し」だとは思わなかった。しかも、その後も醜態を演じ続けた挙句に、「結局元の鞘に納まっただけ」とは。国民をバカにするにも程がある。
党首のくせに平気で自党を「未熟児」呼ばわりした挙句に、前のボンボン首相と全く同じ醜態を晒した無責任な党首も党首なら、そんな無責任党首にそこまでコケにされてもまだ「下駄の雪」宜しく未練たらしくすがり付く「独活の大木」政党も政党です。もう呆れてモノが言えません。
問題は、何故そこまでして小沢がお笑い大連立にすがりつくのか、という事です。これは小沢・民主だけが問題なのではありません。福田・自民にしても状況は同じです。参院選に惨敗して衆院解散も何時あるか分らない中で、政権維持に自信が持てないからこそ、自民党の方でも民主党との大連立を模索していたのでしょう。はっきり言って、自民党も民主党も、米国が怖いのです。だから、国民全体を敵に回しても「テロ特措法延長」や「給油新法」にしがみついているのです。
何の事は無い、パキスタンのムシャラフと全く同じじゃん。大連立の画策という手法まで含めて。あちらでも、クーデター以前には、一蓮托生仲間を少しでも増やそうと、かつての政敵ブットを、連立をエサに海外亡命先から呼び寄せる様な真似までしていました。
これは、裏を返せばこういう事でしょう。「テロ特措法」や「給油新法」の為には何でもする。その為の日米戦争国家作りや、消費税17%、後期高齢者医療制度、ホワイトカラー・エグゼンプションなどに代表されるような銃後の生活で、たとえ国民が死に絶えようが、国民全体を敵に回そうが、そんな事なども一切お構い無しに。なるほど、これもムシャラフと全く同じだ。
私は嫌ですね、こんな奴らと無理心中させられるのは。タリバン・アルカイダのテロも、米国・海兵隊のテロ・侵略・強姦殺人・基地被害も、両方ともゴメン蒙ります。これ以上の生活苦もゴメンです。パキスタン人民とも連帯して、ともに厄介者を追っ払ってしまいましょう。
(参考記事)
・パキスタンで弁護士350人拘束(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3700596.html
・パキスタン 強権やめ法治の回復を(東京新聞・社説)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007110602062185.html
・パキスタン:米国は深刻なジレンマに直面 非常事態宣言(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20071105k0000m030012000c.html
・対パキスタン援助見直し、対テロ援助は除外…米国防長官(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20071105id25.htm
・パキスタン援助継続か 対テロ戦を重視 米紙報道(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/071105/amr0711051904008-n1.htm
・パキスタンの政局とテロとの戦い(知られざるアジアNOW)
http://asahi-newstar.com/program/asia/cast/070816-004042.html
・Lahore Diary
パキスタン・ラホール在住邦人のブログ。現地の政治情勢についても掲載。
http://koidelahor.exblog.jp/
・最近のパキスタン情勢と日・パキスタン関係(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/pakistan/kankei.html