アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

もう一つの世界は可能だ! おおさか社会フォーラム全体会参加報告

2010年03月22日 23時52分31秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
  
  

 前回記事でもお知らせした標記の催しに行って来ました。行って来たと言っても、参加出来たのは21日の全体会だけで、翌日の分科会には行けませんでした。本当は両日とも参加したかったのですが、実は直前まで日程を一日ずれて覚えていて、その勘違いに気付いた時には、既に次月の勤務シフトが組まれていて、有休取得のタイミングを完全に逸してしまいました。おまけに全体会の方も、こちらも当日直前まで所用で塞がっていて、一時は参加を諦めていました。しかし、何とか初日の全体会だけは参加する事が出来ました。以下はその参加報告と感想です。(写真は左上から時計回りに、全体会登壇者、WSF統一ロゴ、通行証、コーヒー販売コーナー)

 当日は大阪・扇町の北区民センターに13時開演で、二人の司会で始まった。二人のうちの一人は、市民団体代表の藤永延代さん。おおさかパルコープの理事を務めた事もある人で、私もこの人の名前は聞いた事がある。もう一人は、安原さんという地域労組の人。この人についてはよく知らない。
 その次に、最初のフォルクローレの演奏の後、実行委員会代表として、橋下徹相手に府知事候補として戦った梅田章二さんが挨拶。「大人しく聞いていてはいけない、立ち上り歩き回り喋りながら聞くのが社会フォーラムの流儀」との事。そのせいもあって、講演中も会場は常にざわついていたが、それが全然苦にならず、逆に催しに色を添えていたのだから、不思議なものだ。

 13時半から14時過ぎまでリレートーク。
 まず、補完通貨研究所というNGO団体の人から、パワーポイント(PP)を使っての、連帯経済や補完通貨の話。フェアトレードに関する非常に重要な事を話されたのですが、如何せん、話が端折り気味でPP画像も文字だらけだったので、話についていけなかった人も多かったのでは。
 次いで、気候変動ネットワークの人が地球温暖化に警鐘を鳴らしていた。今後は、平均気温が1度上昇する毎に、300kmづつ赤道に近づく計算になる。温度上昇を2度以内に止めるには、全世界で5割、先進国だけでは8割ものCO2削減が求められる。
 その後は、「パレスチナの平和を考える会」から、BDSキャンペーン(対イスラエル・ボイコット)の提起。果物のスウィーティーやアハバというコスメ商品などの、パレスチナから奪った入植地で採れた農産物を輸入・消費しない・させない取り組み。今ここで起こっているのは「暴力の連鎖」なぞではない、イスラエルによる一方的侵略だ。それを問わない「ニセ中東和平」の枠組みなぞナンセンス。
 「地域労連おおさか」からは失業・貧困問題。「普通に結婚・子育て・生活出来ない」「働けば不当労働行為にぶつかる」、そんな現状の中で、「我慢した挙句にうつ病か過労死に至る」か「切れて辞めてしまう」かの、二つの選択肢しか見えなくさせられている。しかし、どうせ「切れる」なら、労働法を学んで「正しく切れよう」。若者ユニオンによる模擬団交の取り組みで、ブラック会社の社員も続々加入。全労連と全労協の共闘も進展している(郵政労働者ユニオンなど)。

 14時からは海外ゲストの発言が続く。最初に南米エクアドルから。子どもの半数が栄養失調、8割の国民が社会保障から除外され、債務支払いの自転車操業に追い込まれていた、かつての状態から、先住民の運動によって、新自由主義反対を掲げる新政権を誕生させた。そして、ヤスニ・プロジェクトによって、石油乱掘から国立公園の自然を守り、CO2削減を目指す取り組みへ。

 途中でフォークソングと休憩を挟んだ後、15時頃から、タイ・フィリピン・韓国NGOの報告。この社会フォーラムは、大阪以外にも世界41ヶ国で同時開催されている、との報告。しかし、もうこの辺になると、少々疲れが出てきて、おまけに休憩中に買ったパンフレットに見入っていた事もあり、あまり話が聞き取れず。

 奄美島唄の演奏の後、16時前から再びリレートーク。
 市民メディアネットの人から、韓国など海外の動き。いくら資本にメディアを握られ、「売らんかな」の情報ばかりが巷に溢れても、市民もそれに対抗してコミュニティメディアを立ち上げていけば、大手メディアも全く無視出来なくなる。日本でも、そんなコミュニティラジオ局が、京都三条ラジオカフェを初め17局ある。大事なのは、批判的視点とともに、自分自身も発信源となって、世界と繋がる事。
 シングルマザーズフォーラムからは、女性差別とパート差別との関係。今まで陰に隠れて見えなかったものが、貧困問題の顕在化と共に見えるようになってきた。それでも依然として、「離婚は我が儘」などの自己責任論が吹聴されるが、これなぞ典型的な精神的・経済的ハラスメント。暴力は何も肉体的なものだけとは限らない。
 農民連の代表からはWTO・FTA農政への批判。民主党農政は、自由化推進の矛盾を所得保障(税金で穴埋め)という飴で誤魔化すものでしかない。本質は自民党農政と同じ。APEC単位でFTAなんてやられたら、国内食料自給率はゼロになる。
 小学校養護教員からは学校の貧困問題。相対的貧困率、OECD平均8%に対し日本では13%で世界第二位、一人親世帯では何と50%。かつての中流幻想、今や見る影もなし。共働き貧困家庭では親も働き尽くめで過労死寸前、とても教育どころではない。親も子も、病気になっても医者に診てもらえない。「餌がもらえる犬猫に生まれたかった」という作文を、子どもが書くまでの状況が広がっている。

 16時15分過ぎからはフリートーク。発言者も、エスペラントの会、報償費(官邸機密費)返還訴訟に取り組む市民団体、AALA、非核日本の会、郵政労働者ユニオン、みどり関西、ATTAC京都・・・と、多士済々。書籍販売コーナーには、山口県上関原発反対の座り込みの記録や、風力発電の危険性に警鐘を鳴らすもの、セクシャル・マイノリティ関連など、私が今まで知らなかった事も多い。いずれも非常に興味を覚えたものの、時間と金の持ち合わせがなかったので、次回の機会に回す。買ったのは先のパンフとフェアトレードのコーヒーだけだったが、署名は出来るだけした。
 
 再びフォルクローレの演奏。数多くの演奏の最後を飾ったこれが一番上手かった。その後、17時前に、沖縄からのピースリレー行進団がメッセージを携えて登壇。名護市長選勝利の歴史的意義。今までの「飴とムチ」が次第に効かなくなっている。ヒロシマ・ナガサキ議定書の内容に沿って、2015年に核廃絶を目指す。特別法(特定の自治体に適用される法律)制定に際しては住民投票を経なければならないという、憲法95条に基づく民主的住民自治の実現を。

 17時10分から閉会挨拶と諸連絡。社会フォーラムは、特定の綱領・規約に基づく組織運動ではなく、参加型の社会運動だ。謂わばお祭りのようなもの。「参加と平等」がキーワード、その中で民主主義を学んでいく。本日は約450名の参加で成功裏に終了した。明日も終日別会場(エル大阪)で分科会があるので、通行証(葉書大で首からかける)を忘れないように、との注意喚起。終了後は参加者全員で会場の椅子を片付け、有志で梅田までデモ行進(私は参加出来なかったが)、という日程でした。

 以上が全体会の参加報告ですが、それを踏まえての感想を二つほど。本当は他にも色々書きたい事はあれど、冗長になるのを避ける為に、敢えて二つだけに絞ります。

 一つは、数年前の「9条世界会議」と同様に、今までの運動では考えられなかった程の、参加の広がりが見られる事です。パルコープの人や府知事候補の梅田さん、地域労組やAALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)が音頭を取っている事からも、この運動への共産党系組織の力の入れようが偲ばれますが、決してそれに止まるものではありません。それは、それ以外にも、郵政労働者ユニオンやジュゴン保護キャンペーン、全労協、イラク平和テレビ、メキシコ先住民運動連帯関西、みどり関西などの「非共産党」系組織も、広範に加わっている事からも明らかです。それどころか、会場の外ではアナキスト・グループ(自由労働者連合)まで街宣に加わっていました。それが、前回記事でも触れた「おおさか社会フォーラム憲章」の5原則に沿いながら、ごく自然に行われるようになっている事に、非常に感銘を受けました。
 こんな事を書くと、新左翼や無党派市民運動などの非共産党系左翼の方から、「何をまだそんな事に拘っているのか」と、逆にお叱りを受けるかも知れませんが、それでも「昔の共産党」と比べると、大きな変化なのです。勿論、これは「フォーラム形」の運動だからこそ出来る事なのでしょうが。反動攻勢を打ち破っていく為には、「フォーラム形」とは別に「組織型」の運動も必要なのは分かっています。しかし、得てして後者が「民主無き民主集中制」に陥りがちなのは、北朝鮮や「いずみ生協」の例からも明らかです。今までは、こういう取り組みが余りにも為されなさ過ぎたのでは、と思います。

 もう一つは、この社会フォーラムの運動と比べると、今の日本政治の後進性はもはや覆うべくも無いという事です。この間、巷に流れたニュースは、鳩山邦夫の自民党離党であったり、与謝野・升添・枝野・渡部などの自・民「反主流派」の動きであったり、生方幸夫・民主党副幹事長解任劇だったりでしょう。もうウンザリです。鳩山邦夫なんて、一体幾つ政党を渡り歩いたのよ。「どっちについたら得か」と損得勘定で動いているだけのくせに、何を「坂本竜馬」気取りでいるのか。これら名前の挙がった与野党政治家は、生方だけ少し毛色が違うものの、後は全て、いずれ負けず劣らず「元・自民党」系ではないですか。小沢・民主党幹事長なぞ、その最たるもので。
 一連のニュースが流れた時は、ブログでも取り上げようと書き始めたものの、余りの沙汰に、もうバカらしくなって止めました。後は前回記事にも書いた通り。鳩山政権・民主党の支持率低下は、「反日・反米」が原因ではない。寧ろその逆で、「反自民」「対米従属・格差社会からの脱却」などの選挙公約が、いずれも口先だけだったからに他ならない。
 それが何ですか。やれ「平沼新党」がどうの「みんなの党」がこうの、「小沢」がどうたら「反日」がこうたらとか、そんな「ネトウヨ」レベルの話しか出来ず、現実の貧困な労働条件や低福祉には何も言えずに「下見て暮らせ傘の下」で鬱憤を晴らし、在日米軍の治外法権には何も言えずにアジア人の「在日特権」ばかり言い募る、そんな「自民党なき自民党政治」「自民党を別の名に言い換えただけの保守反動政治」から、もういい加減に脱却すべき時に来ている。
 まあ、そうやって、自民党はますます衰退すると共に、「ニセ反自民」の党が次々に登場した挙句、やがて「ニセ」では誤魔化せなくなる時が必ず来ます。これ以上、ネオナチ・靖国右翼や新自由主義者どもの好き勝手にはさせない。

(参考資料)
・おおさか社会フォーラム(OSF)公式ブログ: 翌日分科会の報告も有。
 http://osaka.socialforum.jp/
・WSF大阪連絡会: WSF(世界社会フォーラム)運動の解説有。
 http://www.geocities.jp/wsfosaka/
・ATTAC(アタック)関西: トービン税についての解説有。
 http://attac-kansai.sakura.ne.jp/index.html
・Drop the Debt ! ジュビリー関西ネットワーク:
 途上国の債務問題に取り組むNGO団体。OSFにもエクアドル代表が参加。
 http://d.hatena.ne.jp/Jubilee_Kansai/
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1 コメント

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四極構造 (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2010-03-23 10:44:42
>鳩山政権・民主党の支持率低下は、「反日・反米」が原因ではない。

いや、そうとも言えないんじゃない?
みんなの党や国民新党的な政策方向に依然として固執し続けている確信犯的な有権者層もまだまだ、相当数いると思いますよ。そういう層の民主党からの離反も最近の支持率低下に反映されている。
この、右からの批判派は、件の①構造改革推進の新自由主義派と③護送船団的国家主義派の二派が今まで呉越同舟で自民党内にいたから第二自民党の民主党にもその体質が受け継がれていた。
それが、ここに来て、いよいよ鮮明に分岐し純化しはじめているんじゃない?

オレさぁ、今まで「第三極」「第三極」って言っていたけど、これからの政治潮流は上記の二極と③社民(=一国変革主義=福祉国家論)、それに、④真の国際主義派左翼の四極構造になるんだと思いますね。
当面は、この四派が相互反目とパーシャル連合を繰り返すというのが21世紀前半の政治じゃないかな?
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