ドイツ旅行の報告には、書き方不足がありました。
100年に一度の大洪水のさなかに行ったことは行ったのですが、旅の最中に大雨にふられたというのではなく、むしろ日中は曇り~小雨、降るとしたら夜にまとまって降るというパタンでしたから、十分に旅も楽しめたのです。
ベルヒテスガーデンというこじんまりとした保養地がありました。
DB(ドイツ国鉄)のベレヒテスガーデン駅と駅中の壁画
古くからの保養地の感じが出ていますでしょうか?
ここから車で20分もかからないところに、ヒットラーの50歳の誕生日に合わせて建造された山荘へのバス乗り場がありました。
山荘のあるケールシュタイン山頂までは、バスとエレベーターを乗り継いで上がっていきます。
標高は1800mくらいだったと思いますが、頂上にはまだ雪が。あちらに見えるアルプスの峰々もすべて雪をかぶっていました。
手前は、積もった雪
目の前を雲?霧?が速い速度で動いていきます。
じっと見ているとドイツで一番美しいといわれるケーニッヒ湖が姿を現します。
「あれがケーニッヒ湖じゃないの」
「あちらの町は、ベルヒテスガーデンね」と、私たちは声を弾ませます。
くっきりと晴れ渡っていると、手に取るように見えるのでしょうが、あいにくの天気です。
誰かが何かを見つけるたびに、みんなで確認しては大喜び。
今見えていた頂上の十字架もすぐに姿を隠します。
垣間見えたケーニヒ湖 ベルヒテスガーデンの町
ケールシュタイン山荘の別名はEARGLE'NEST(戦後米軍による)
私たちはバスの車中で話しました。
「『花は盛りに、月は隈なきをのみみるものかは』っていうじゃない。こういう風情を感じられるのは日本人だけじゃないかな」
「見えるかもという単純なワクワク感でもなく、移りゆく大自然の中にいる一体感というか・・・」
なんと高尚なこと(笑)
吉田兼好のこの言い方は、満開の花や満月がいいに決まっていると「つくり風流」とけなされたりもするのですが、私たちの心情の中には、何か完璧でないものに寄せる気持ちも確かにあるように思いました。
もちろん、晴れ渡ったケールシュタイン山に出会ったら、なんとラッキーと喜んだことでしょう。
私の前頭葉はあちらこちらに振れながら、状況判断したり現状評価したりしていました。