歩いていると春の兆しが感じられて、心躍る季節になりました。
郵便局に行くときには片道20分歩いていくことに決めていますが、そこここに花を見つけられる一番楽しみな季節です。
小ボケや中ボケになった時に、脳リハビリのテーマとして「花を育てる」ということを教えることがあります。
「野菜を育てる」も脳には同じように作用するのですが、「野菜作り」の方が実益がある分、どうもこちらは「仕事っぽい」。
それに引き替え「花作り」は楽しみ優先という気分が先にたつようです。
家族が一生懸命カムバックさせた、ある中ボケのおばあさんを思い出します。
ひっそり咲くビワの花 華やかなアロエの花
このおばあさんはとにかくお花が好きだった。ここから始まります。
まずホームセンターに行って、花苗を選んでもらいます。選択するというのは、ことの軽重を問わず前頭葉の機能です。
梅もきれいに咲いてます
ところで、中ボケの人に「選択」してもらうときのコツがあります。
結論がすべて受け入れられる時にはまったく自由で構いません。
ただ選択の幅が広いと選択しにくくなりますから、どれを選んでもいい状態まで選択肢を減らしてあげることも大切です。
花苗は何を選んでもいいですから自由選択です。
肥料は家族が用意したそうです。
畑を作るのも家族が手伝ったと聞きました。
高齢者は人生経験が多様ですから、農作業の時などは注意が必要です。農作業の経験が豊富だと、中ボケになってもクワなどは見事に使いこなせることはざらにあります。そこで安心したらダメですよ。
花苗を植える間隔が不適切だったり、折角植えた花苗を何度も植え替えたりしてしまいますから、目を配ることが必要なのです。
農作業の体験がないと、一緒に手伝ったり励ましたりしながら花苗を植え付けていきます。ただ、あくまでも高齢者が主体的に動いているように感じさせるように配慮しなくてはいけません。
「花を育てる」のは、継続的な世話が必須。気持ちをかけると答えてくれるという共通点を考えると、ペットを飼うのに似ています。
集中力を維持しなくてはいけません。
肥料や虫の駆除や支柱など、観察しながら必要な作業を見落さないようにしなくてはいけません。
つぼみを見つけ大きくなるのを見る楽しみもあります。
見事に咲いた感動や、人からほめてもらう喜びもあります。
パンジー も輝いてきました
ただし、判断力は幼稚園レベルの中ボケですから、家族の声掛けがないと適切な作業ができないことになります。
ちょっとヒントを言ってあげる大切さを、この家族はよく理解してくれていたと思います。
素晴らしい花が咲いたそうです。
家にも飾り、近所にも差し上げ、そのたびに鼻高々なおばあさんの笑顔がみられるわけですね。
体や手先を使うことも脳を使っていることではありますが、「生きている喜びを感じること」ははるかに高いレベルの脳機能を活性化しているのです。
こうして脳は元気になるのです。