脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

7月の右脳訓練④-港区立歴史資料館

2024年07月30日 | エイジングライフ研究所から
東京での歯科検診のついでに、首都圏在住の友人と一緒に一泊二日の旅程を組んでの東京プチ旅の報告記。
一日目は歌舞伎を見に行きました。「星合世十三團」。團十郎十三役、早替りや宙乗りその他にも新しい取り組みもあって大満足。
7月の右脳訓練③-七月大歌舞伎
さて二日目は、これこそメインの絶対外せない歯科検診。10時半に終了します。「二日目は、考えておくからね」という友人のことばに全面頼りっきりでお任せでした。一緒に日本橋の歯科まで行き一時間の検診を待ってくれた友人から
「港区立歴史資料館で、江戸時代の古地図と現在の比較というのをやってるけど、興味あるよね?」「はい、もちろん!仰せの通りにいたします」

東京に行っても、乗り物はだいたい同じようなものですが、この友人と一緒の時は初めての路線をよく使うことになります。最寄り駅は白金台駅。グーグルマップに頼り切りで到着!スムーズに行けますが、昔のように色々路線を調べたりしていく方が学習効果は上がると思います。

地下鉄の駅を出たら広くて交通量の多い目黒通り。そのクラクラするような暑い目黒通りから30mくらい引っ込んだところに、工事中でしょうか塀があって「正面は左」と掲げられていました。そして曲がって私たち二人とも唖然としてしまいました。





これが港区立歴史資料館。まったく想定外。こんな歴史的建造物とは思ってもいませんでした。
この建物は、内田祥三設計で昭和13年に竣工された旧公衆衛生院を改修して、歴史資料館、公民館、学童クラブその他の複合施設として活用されているのです。
とにかくまず熱中症予防のためにカフェに行って飲み物をいただきます。ここも室内に貼られたタイルが特徴的な旧食堂を生かしたものでした。ノートパソコンを持ち込んで仕事をしている人や、夏休み中の子どもと一緒に勉強している親子連れもいました。

一息入れて、特別展を楽しむことにしました。

歴史的に考えてみれば、港区は面白いエリアです。大名屋敷もあれば、庶民の生活場所もあります。寺社も多いらしいです。魚が上がる港もあるし、何より鉄道が通ってます。
そして考えると、長男の会社は南青山の根津美術館のそば、次男の家は西麻布で孫たちは笄小学校に通いました。目印があるので江戸の古地図と現在の比較は容易くできました。



2階が特別展、3〜4階が常設展。写真禁止が多くて、なかなか雰囲気が伝えきれませんが…せめて常設展会場の雰囲気を。

他所に住んでいる高齢者の私たちでも、結構ワクワクする時間を楽しんだのです。
大規模な貝塚を再現しているコーナーもあれば、明治以降の文化的変化を説明しているコーナーもありました。
例えば「雑魚場」という名前に「ちょっと酷くない?」と笑いながら説明を読み進めると
江戸前期より、本芝・金杉の漁民達は東海道で雑魚を中心とした市を立て鮮魚を商いました。芝の名を冠した「シバエビ」 漁が代表的漁業でしたが、幕末以降衰退して海苔の養殖場へ変わり、昭和37(1962)年、遂に漁業権を放棄しました」とっても納得!
港区在住の子どもたちなら、身近に惹きつけて港区の現在と歴史を感じることができるだろうと思いました。
建物も味合うべきものだと思いましたからゆっくり見学。設計者の内田祥三は東大建築学科の教授です。東大の安田講堂をはじめ本郷キャンパスや駒場キャンパスの建物は氏の代表作ということも初めて知りました。

改修時に多くの賞を受賞しています。多分残せるところを最大限残して、今の人たちが使える形にしたところが高く評価されたのだろうと思いました。
中央ホール





吹き抜けそのものが豪華なうえ、床は白黒の石材、手の込んだレリーフが素晴らしい。
旧講堂は340席の階段教室です。





ステージ横の柱を飾るレリーフは左側に羊紋様、右側に鴫紋様(多分)。
二人で見ていると「あれは何かしら?なぜ選ばれたの?」など、答えが出ない会話で盛り上がります。
一際目を惹かれたのはこの時計。レリーフともどもこの講堂ととてもマッチしているのです。

満足感に浸りながらそろそろ帰途につくことにしました。暑さも覚悟して目黒通りへ出たところにこの看板が。行く途中にも気づいていたのですが、館内の説明で内田祥三がこの建物も設計したことを知りました。医学と並ぶものとして公衆衛生が考えられていたということでしょう?この看板だけはどうしても撮らなくっちゃあ!
わたしのブログは、友人たちと認知症予防活度に携わっている保健師さんたちに読んでいただきたくて書いています。
保健師さんから「時間ができた時の、遊び方の参考になります」と言われるとちょっとうれしい…
情報のアンテナを立てて、自分のできることを逃さないように、人生を楽しんでいってほしいのです。
そのことが認知症予防に直結することを、二段階方式を使っている保健師さんなら実感できるでしょう?高齢になってもイキイキとしている人たちは、人から何と言われようとも自分が認めることができるイキイキとした生活を必ずしています。
それができなくなる時が、認知症への第一歩。前頭葉の活躍の場がなくなって老化が加速され始める…

「自分がイキイキできるのはどういう時なのか」これは生き方の総決算と言えることでもあります。認知症の究極の予防は、生まれ落ちてからどのように「脳」を育ててきたかにかかっていると、私は思っています。

by 高槻絹子








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