脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

小布施便りー第11回脳のリフレッシュ教室交流会その1

2017年03月02日 | 認知症予防教室


第11回脳のリフレッシュ教室交流会も、例年通り市村良三町長さんの挨拶から始まり、皆勤賞授与と続きました。人数を記録し忘れましたが、人数の紹介があった時に会場から「お、おおー」という声が広がるほど、多かった。教室ごとに代表者に賞状が渡されるのですが、皆勤賞は13教室中10教室に渡されました。受け取る人も、授与される町長さんも皆さん笑顔。いいものですね。
「月一度は脳のリフレッシュ教室に行って、皆と楽しく過ごす。年に2度は脳の健康チェックを受ける」このことが習慣になれば、病気や法事などよほどのことがない限り皆さんは出席されるということなのですね。そのまま脳が健康な高齢者への道を突き進めることになります。
さあ、交流会。トップバッターは中町・中央地区。

葛飾北斎の歌があるんです。会場の皆さんでも知らない人がたくさんいらっしゃったようでした。
東京に「すみだ北斎美術館」が開館して評判を呼んでいますね。私はもちろん行きましたけれども、小布施は最晩年の肉筆画が多数残っているところが、一番の宝でしょう。
うちわが北斎画ですよ。

伊勢町地区。
発足時から、ややお若いT野さんが率先してステージ発表されました。そうすると選曲がちょっと違うのですね。今年はなんと 幼稚園や保育所の卒業式の定番名曲「思い出のアルバム」。今年の活動内容を伊勢町版として読み込んでいました。ハモニカ伴奏ありがとうございました。

早口言葉。会場からもチャレンジの声が大きく響きました。そうなのです。「見るだけ」「聞くだけ」に比べて「やってみる」ことで脳の活性化はグンとアップするものです。

北部地区。
替え歌づくりの名人K澤さんを擁していますから、毎年脳リフ教室としては納得の替え歌が披露されますが、今回のメインは「月の砂漠」をそのままに使用。でも衣装に工夫が。ロイヤルファミリーの登場です。異国風髪飾りが目を引きますね。

なかなか上品なカップルですこと!皆さん表情豊かです。T中さん、大きな声が出ていました。

六川地区。
太極扇です。去年初登場の時は会場から、ちょっとどよめきが上がりましたよね。今年はさらに磨かれた演武でした。お揃いのスタイルに赤い扇。それがそろうということは見事なアピール力でした。
 

決まった瞬間を撮りたかったのですが、なかなか難しいものですね。
一人の演武もいいですが、みんなの気持ちを揃えて演舞するのは、また別の達成感につながるのではないですか?ビシッと決まってます。

飯田地区。
「じいちゃん、ばあちゃん。元気はつらつ」の声が耳に残っています!いい歌詞ですね。

みんなで一緒に歌を歌うだけでも、右脳刺激なのですが、さすが飯田地区一工夫してありました。
ちょっとおしゃれなマフラーに注目。健康体操ピコ太郎の曲に乗って実に楽しそうでした。

山王島地区。
「去年仲間を3人見送りました・・・でも最後までその人らしく生き抜いてくれました。教室にもずーと参加してくれました。今日はその仲間に聞いてもらいます」このような挨拶から始まりました。
その三人は、山王島の長老久保田さん95歳、千曲合唱団のハモニカ伴奏を担当された方、病気と闘われた方・・・。皆さん男性ですが、教室にはよく参加してくださったのですよね。

教室開始から、もう15年になるのでしょうか。
見送ることを恐れないで下さい。会えなくなることは寂しいことですが、どのように「生きた」かということこそ大切です。その方がどのように生きたか、みんなの胸の中に刻みこんであげられたら、会うことはできませんが、思えばいつでも胸の中には生き続けてくださることになります。
どういう姿を残してもらいたいでしょう。
どのように生きたかということが、残された人たちの胸の中に残る姿ですよね。
自分らしく、イキイキと。楽しい日々を送りましょう
 
山王島地区の千曲合唱団。何回も聞かせてもらいましたが、今回ほど 皆さんの気持ちが一つになり声もよくでた回はなかったと思います。
 
交流会終了後に、山王島の方から声がかかりました。
「千曲合唱団の『明日があるさ』はどうでしたか?」
「とってもよかった!皆さんすごく声が出てたでしょう。私、涙が出ました 」
「ほんとに。『三人に聞いてもらおうね』ってみんなで心を合わせたんです 」

町長さんのご挨拶の時に「小布施町の認知症予防活動も15年になり、高槻先生も老けました」という言葉があり、笑いが浮かんでしまうほど納得しました。フーテンの寅さんがいたら「それを言っちゃあ、おしめえよ」と言ってくれたかもしれませんけどね。
私が齢を重ねたのと同じだけ、山王島の皆さんも齢を重ねられました。白髪が目立ったリ、腰が曲がったり。
でもうれしいことに、皆さんの脳はお元気なままに来ているのです。素晴らしいことです。
今回も、ちょっと耳にしました。
「1月19日に肺炎で市民病院に緊急入院したんだけど『入院するとボケちゃうからとにかく行っておしゃべりしてあげなくては』と、遠いし忙しいのに娘が毎日来てくれたんだよ。それからこの交流会に出たくて、先生のいうことをよく聞いてがんばったんだ」87歳の安藤さんが元気に歌っていらっしゃるのをしっかりみましたよ。会の後で奥さまも「よくがんばってくれました」と喜んで報告してくれました。
「ボケない生き方」を、それぞれに自分のものにしていらっしゃるのですね。
認知症を予防できれば、何よりの成果は「その人らしく人生を送ることができ、その姿を皆の胸に残すことができる」。
次に「家族に介護負担をかけることがない」ということにつながります。
それだけではなく「小布施町、長野県、ひいては国」の財政に貢献することにもなります。
山王島地区はじめ小布施町の「脳のリフレッシュ教室」の皆さんは、胸を張って活動を続けてください! 

 


小布施便りー都住地区10周年

2017年03月01日 | 認知症予防教室

恒例の小布施町へ。
今年は、まず都住地区の10周年記念のお茶会にお邪魔しました。ここのところ伺うたびに毎回、どこかの地区の教室の10周年!よく継続してきたものだと感慨深いものがあります。

持ち寄りの、お漬物のオンパレード。はなまめ、むかご煮。
特筆すべきはシフォンケーキ。都住地区コミュニティセンターの相談員をされているK田さんの手作り。
小布施町の認知症予防教室、脳のリフレッシュ教室は地区それぞれの特徴があります。それは教室を支えたり、引っ張ったりする人材が多様だということです。
集まっている高齢者の中から、ごく自然にリーダーの役割を担う人がいたり、地区の婦人会がとてもよく協力してくださったり、ここ都住地区のようにコミュニティセンターの相談員の方が心配りをしながら教室がスムーズにいくように動いてくださるところもあります。
(まず写真を見てください。写真の下に説明を書いています)
 
私はこの紫色のセーターを着たおしゃれな方の左隣に座りました。
するとすぐ「私、88になるの!」
そこで 私もすぐに「お若い!ということは生きがいとしてやっていることがあるでしょう。何ですか」と返します。
会話はボールのようにはずみます。
「あのね、4人家族の食事をまだ私が作ってるの。腰が痛いんだけどね。まあ一緒に住んでるのが娘だから、すぐに口げんかもするけど、おいしい時にはおいしいって言ってくれるから、やりがいはあるわねえ。脳にいいことしてるってことよね」

左の方は、教室最高齢91歳。居合わせた皆さんが自慢そうに「91歳なんだから、すごいでしょ」と。
ご本人の声も飛んできます。
「私も、料理作ってるよ。そうすると、テレビを見てたり何か読んだりするときに『 これなら作れる!』って見つけて、作ってやるの。それって楽しみ」
そこで私。「『珍しいでしょ!おいしいでしょ!』って威張りながらね。そうでしょう?」 
笑顔で肯いてくださいます。
ハキハキした声で「自転車でね、先生の講演会には行くんだよ。去年は横町だったでしょ」そう、当りです。当たりですが、91歳で自転車を乗り回しているなんて!
「気を付けてくださいよ。気持ちに体が付いて行かないことがあるといけないから」とつい過保護な発言をしてしまいました。
右の方は1歳年下とか。このお二人は家が隣同士で、毎日会っておしゃべりしてるそうなのです。
ご当人たちはもちろん、ここにいる全員が「だから二人ともこんなに元気なんだ」と自信を持っているのが伝わってきて、楽しいやら、うれしいやら。
その通りです。楽しくイキイキと生きるときに、一人は無理、友達がある人は幸いです。
 
最高齢91歳の方とお隣同士の、左真ん中の方が「嫁に行って大家族だったもんで、3升のご飯を炊くようになったときは 重くて持ち上がらなかった」といえば、すぐに声が続きます。
「何かの時には、頼りにしてるから。ほんとにたくさんのお米を炊くのが上手なもんだからね」
「おかげさまで、たくさんのお米の炊き方を教えてもらったの、娘さん経由でね。子どもたちのキャンプでどれだけ助かったか」これは包括支援センターから来たスタッフの発言です。
こういう話が飛び交う時、みんなの顔が笑顔になります。同じ時代を生き、苦労も喜びも実感しあえるからですね。
認知症が進んだ人たちに「回想法」を使うことがありますが、この教室での会話は本質的に違います。「昔」の話をしていても「今」を生きているからです。たとえ90歳の声を間近に聞こうとも、脳は現役で働いていますから。

右真ん中の紺色セーターの方は腰が痛いそうですが…なんといい笑顔でしょう。
病気をしたり、家業を息子さんに譲ったりが重なって、ほとんど何もしない生活が続いていたらしいのですが、お友達に誘われてこの教室に参加し始めたら、「楽しくて」。今はもう一つ別の脳のリフレッシュ教室にも参加していると!
よかったですね。脳が喜んでいますよ。
 
この真ん中の手編み風(確認したら「手編みにみえるでしょ!でも手編みじゃないの」と笑われました)グレーのカーディガンの方は、おいしいおやつを作ってきてくださいました。最初の写真の左真ん中の揚げ物ですが、何と干し柿の皮のかき揚げ。
「どうやって戻すのですか」と尋ねたら 
「お湯で洗うとそれだけで大丈夫。どうせ揚げるから」
皆さん口々に「柿の皮は お漬物には入れるけどね・・・」とか「この食べ方、知ってる。でも懐かしいわあ」とかおしゃべりしながら、ちゃんといただきます。
結局、皆さんでお皿いっぱいをいただいてしまいましたよ。作り甲斐があるというものです。

私に対面して座られた皆さん。
真ん中の方が、一番の新人。
「どうですか?楽しいでしょ?」と尋ねたら破顔一笑。答えはいりませんね。

右の方。このやさしそうな笑顔が印象的です。なんだか都住の方たちは穏やかなやさしさにあふれていました。
「自分一人が元気ならいい」ではなくて「みんなで手を取り合って、脳も体も元気でいようね」という気持が伝わってくるようでした。

一枚前の写真は元気がなさそうでしょう?でもこのアップの写真はどうですか?花丸、キラキラです。
K田相談員が「おひとりでいて、楽しくなさそう」だったので教室に誘ってくださったんですって。
小布施では各地区に「脳のリフレッシュ教室」が立ち上がってるので、参加されている皆さんは脳を元気に保っていくことができていらっしゃいます。
「家にこもっている人に『この教室は楽しくて、脳の健康を守ることができるから遊びに来てごらんなさい』と誘うのは皆さん方のこれからの務めです」とお話ししましたが、多分わかっていただいたと思います。
ただ、実行ができるかどうか???
そういう時に、相談員さんでも民生委員さんでも、「元気な人を元気なままに」という脳のリフレッシュ教室の意味をよく知ってもらって、地区の教室を勧めることができるような町になるといいですね。

余りにもおしゃれなベストでしたから「お手製ですか?」と聞いてみました。
当たり前のように、肯いてくれましたから「教えてあげたら・・・」というと、「もちろん」と即答。
今までにいろいろな作品を皆さんと作られたそうです。このように一芸に秀でた人がいると、ごく自然に教えあうことができるものです。
次のステップとしたら、教室間での教えあいにつながるといいですね。もちろん遊びあいでもいいのですよ。 
楽しいひと時はあっという間に過ぎていきました。 


 


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