以前に告知した"たわごと"です。スルーするもよし、読むも良しと言う事で。
COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)も名古屋で開催されていたが、先進国側と開発途上国・後進国等との協議が整う事が出来、生物遺伝資源の利益配分を定めた「名古屋議定書」を採択して、閉会する事が出来た。ペニシリンの時代から先進国は世界の国々に赴き、土壌等に棲息するバクテリヤ等の微生物&草木を採取して医薬品などの開発に努めてきた。開発の元になる資源を提供しても何ら恩恵(薬の使用、対価の提供)を受けない途上国などとの対立が解けるとは思っていなかったが、議定書が整い大変良かった。
何ゆえに、ジェネリック医薬品を論じる前に生物多様性を述べたかと言えば、世界各地のミクロの生物から大きな植物樹木等を元にして新薬開発されているからである。新薬開発には時間と巨額の経費が掛かる。経費が掛かるから途上国に行って勝手に資源を搾取してきて良いと言う気は無い。反対に、シンガポールの制度のように成功裏にはその対価を支払うべきである。では、その開発にかかる巨額の経費を何処が負担すべきかと言う事になる。
ここ十年前後、目ざとい薬効作用の高い新薬が開発されていない。先にも述べたとおり新薬の開発には巨額の経費が掛かる。新薬の特許が切れたからと言って、ぞろぞろと後発医薬品(ジェネリック医薬品)を多用する事が良い事のような風潮が気に成るのである。開発者の権利が十分守られない所に薬の開発はおぼつか無いと思うからである。その事が新薬開発のペースを落としていなければ良いのであるが。
先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック)においては完全に同じものではないとの意見も沢山存在する。製法その他について完全に先発メーカーが情報を開示するわけでは無いからして当たり前と言えば当たり前であるが。後発メーカーは先発メーカーの投資した開発経費を負担する事無しに薬を作る恩恵に浴しているのである。経費が掛かっていない分低価格で医薬品を提供できると言うメリットがある。金の切れ目が命の切れ目とならないためにも重要な医薬品であることは勿論である事は、言を俣たない。
しかし、報道されるようにジェネリック医薬品が多用されて普及する事が良い事なのであろうかとの提言である。
正しい権利は金銭的にも担保されなければならないはずである。苦労して造り出した新薬である。あたかもジェネリック医薬品を使うことが良い事であるかの如くの風潮が気に入らないのである。国民の医薬品に対する負担は巨額に上るため、医療費亡国論が囁かれたこともあった。でも、この事とジェネリック医薬品の問題は別であると考えている。ジェネリック医薬品を負担する健康保険組合や国民健康保険や共済組合などは医療費負担に悲鳴を上げているから、ジェネリック医薬品を推奨するわけである。
でも、今日の負担軽減が将来の医薬品の開発を遅らせる事になるのではないかと危惧している。低価格で誰でも医薬品を手に入れられる社会であるとともに、新薬の開発を妨害しないための方策が必要だと痛切に思うからに他ならない。