この時期の玉川上水の散策で目につく木々は、ムラサキシキブ、マユミ、ネズミモチ、ピラカンサなどである。これらが実をつける秋のスガタカタチには注視してきたけれど、現在の華やかな花の時期のことはうかつにもこれまで見逃してきた。それに気付いた今年は、これらの木々に新鮮な印象を受けるようになった。草花ではアジサイ、ホタルブクロ、キキョウ、オカトラノオ、オオマツヨイグサなどの花が開いている。人の一生と異なり植物は四季折々の変化を見せて一年サイクルで存在していることに改めて気付いた。
4月の下旬にゴーヤ3本、5月の初旬にキュウリ3本、ナス2本、トマト4本の苗を植えた。6月に入りこれまでに順々にキュウリ6個を収穫した。採りたてのキュウリはちくちくと手を刺す突起がある。ナスは初期に葉の虫食いが起きてそれを放置したにもかかわらず2個の収穫がありまだ期待できそうである。ミニトマトは実をつけながら普通のトマトの3倍ぐらいの高さまで伸びている。ゴーヤは一階の窓の高さを超えたが緑のカーテンとなり収穫できるのはまだまだ先のことである。その前にユリが咲いて梅雨が明ける。
木曜午後に津田塾大学の公開講座がある。4月19日の初回のあと4回は欠席し、5月31日の第6回から再び顔を出してみた。一般の参加者は正門の受付で氏名を記入することになっている。会場に向かう途中の中庭の奥に小さな池がある。池には簡単な噴水があり、池のすぐ後には噴水を見下ろすようにミロのビーナスの彫像が置かれている。よく晴れた日に構内を闊歩する溢れんばかりの学生の群れに出会うと、光りの世界に巻き込まれたかのように錯覚する。そしてそのつぎの瞬間に君たちと私のこれまでに過ごしてきた時間の量の大いなる差を痛感する。
講座のテーマは「常識」である。第6回の講師は「週刊金曜日」編集委員の雨宮処凛(かりん)氏で、津田塾准教授との対話形式で進行した。途中で学生の私語が多く准教授が対話を中断して注意する一幕もあった。第7回は「プロ教師の会」代表、元高校教師の諏訪哲二氏、先日の第8回は物理学者で環境経済学者の槌田敦氏だった。今回の槌田氏の「CO2温暖化脅威説は世紀の暴論」という主張には説得力があった。温暖化の原因は水蒸気であるというのだ。多くの人がなぜCO2温暖化を信じてしまったのか。私が興味を持つべきテーマの一つとなった。