風のささやき 俳句のblog

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都会の公園 【詩】

2023年05月11日 | 

「都会の公園」

わずかばかりの緑に囲まれた
都会の公園には
どんな甘い蜜が
塗られているのだろう

関わりあいのない人たちが
蟻のようにどこからか群がっては
ベンチに座り根を生やす
それぞれの生の重さに放心した目で
ビルが狭める空を眺める

毎日が消化しきれない
それでいて代り映えもない
今日も朝は不機嫌に目覚めて

ときには誰かを切り刻みたくなる
狂気さえ体の芯に感じて
日に日に惰性に削られて
痩せ細る気持ちを引きずって

心に馴染む解は見えてこない
額には錨のように悩みが重い
転ばないようにうなだれて
人の多すぎる道を歩く

生活のために切り売りした
夢の断片は安く買いたたかれる
二束三文で誰かの夢と
一緒くたになり店先にならぶ

都会の公園は避難場所
幸運のおこぼれが
落っこちてこないものかと
空を見上げたとして
そんな空想には
誰もが無関心なまま
糸が切れた自分にほっとする
誰にも操られない気楽さに体が軽い

けれどまた
絡み取られる自分であること
確かめ一つ溜息をついて
ベンチから立ち上がるために
またこうして
この公園に集まるのです



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