「大木の詩」
# 1
太陽が 僕の上にある
陽射しが 降り注いでくる
すべてが 僕の栄養
僕はたくさんの 枝を伸ばし
葉をひろげる
風を掴んで 膨らむ
静かな水を湛えるように
透明に潤む空
その澄み渡る 湖に身を浸そうと
心 高鳴らせ あこがれのまま
力の限りに 梢を伸ばす
# 2
自由に空を満喫する
白い雲は ここまでおいでよと告げる
絶え間ない 呼びかけ
僕の体を 巡る樹液は
雲が絞った 雨の恵み
大地を貫く 根を駆け上がる
伸びること止めない 枝の先
一枚一枚の 葉の管へと
葉っぱが 笑い
ざわめくのは
風との会話が
楽しすぎるから
# 3
足早に 一日は過ぎて
いつしか顔をかえて 空は夕暮れ
僕は蝋燭よりも 赤く燃え立ち
訪れる夜の 道標となる
一番星 二番星と
月も憩う 星月夜
星々の会話に 聞き入ること
それは僕を深めて行く 知恵
そして時は今 秋を迎えて
玲瓏な風が 年輪を重ねる
季節だと告げる
# 4
過ぎたひととせの 想いを全て身に宿し
去り行く葉の あるだけを落とし尽くして
深く自分の中に 潜り込む僕は
身じろぎもせずに 体に力を漲らせ 冬に立つ
どこまでも高みを目指し 青空に捧げられた
一つの 祈りの 形象として
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