風のささやき 俳句のblog

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砂上に 【詩】

2020年10月15日 | 

「砂上に」

足元から 砂を
奪いさる波の群れ

僕を一本の棒に見立てて
棒倒しで遊んでいるみたいだ
(波は棒を倒したくて一生懸命だ)

不意に平行感覚を無くし
足元がおぼつかなくなる
よろめく足は 新しい波の標的
(さっきまで頭上にいた鴎が
 斜めに飛んでいる)

僕は負けたのだ
波が白い泡をゴボゴボと吐き
無邪気に笑っている
(悪気はきっとないけれど)

その屈託のなさ 悪気のなさはたちが悪い
怒るに怒れなくて
いつからかこんなにも
不安におびえる弱い心を抱いている
(それだけの痛い思いを重ねたからね)

青い空に湧き上がる入道雲も
飾り物のようでよそよそしい
この風景に僕は
もっともっとよそよそしい

僕が立っていられる場所は
どこにあるのだろう
足元はいつでも砂のようにもろい
すべての足元は崩れてしまうのに

立っていられることは幻想
けれど確かに何かの上に
僕は立っているのだが



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