40年代末、パーカーのグループに迎えられ、一躍、名を上げたロドニーも「ヤク」によってその優れた才能の開花を果たせなかった一人。「伝説」、また、73年にカムバックした際には「不死身」のトラッペッターと話題にもなっている。
この作品は1959年にシカゴではなく故郷のフィラデルフィアで録音(但し、国内盤ライナー・ノートではシカゴ)となっており、ひょっとして当局の保護観察?から解放された時期と重なっているかもしれません。
シンプル過ぎる一本の赤いtpのイラストを眺めていると、tpにしか己の人生を託せなかった当時の心境が痛いほど伝わってくる。なお、フューチャリングと記載されているBILLY ROOT(ts)も7つ年下の同じフィラデルフィア生れです。
お馴染みのバップ・ナンバー、‘Shaw Nuff’から全8曲、中~高音にかけて柔らかく伸びるtpならではの煌びやかなサウンドは当時、白人最高のバップ・トランペッターとも称された力量を十分に発揮している。
相棒のB・ルートはバリトンsxも吹くだけあって、白人でありながら結構黒く、ちょっぴりワイルドな面も覘かせロドニーのtpと良くマッチしている。ルートも実力の割に録音の機会に恵まれていなく、本作の価値を更に高めていますね。
pのD・ケントのオリジナル4曲、ハード・バップの美味しい所を全部詰め込んだ曲調が堪らないです。D・ジョーダンの‘Jordu’に続く‘Shelley’なんか自然と気持がウキウキしてきますよ。
ただ、惜しむらくは、スタンダード‘I Remember You’、ミュートがマイク・オフ気味なのが・・・・、誠に残念!
ロドニーのレコードで有名な「幻の名盤」、シグナルの「RODNEY 1957」。
こちらもGooですね。RVGの好録音でも知られています。
何しろメンツが凄いです。フラナガン、ペティフォード、フィリー・ジョー・ジョーンズ(A面)とE・ジョーンズ(B面)。
後にSAVOYから‘FIERY’のタイトルで再発されています。
個人的な好みでは、ふと立ち寄った路地裏の隠れ家風居酒屋で「これは、これは」と頷く無名の地酒のような「フィラデルフィア物語」‘RETURNS’に軍配があがるかな?
爽快にして仄かな哀愁が漂う「知られざる名盤」と思います。
同世代の他のハード・バップ・トランペッター、誰の後塵を拝するわけではない端正で気品に満ちたプレイはやはり一級品。
手持ちはCADETの国内盤ですが、暫く大人しく寝ていた「オリジナル盤(ARGO)」への思いが、ムクムクと。