インテリジェンスとパッションが一分の隙なく敷き詰められたクールな傑作。
リヴァースのマイルス・グループの在団期間は短く、確かにショーターへの繋ぎ役だったけれど、心無い人達から「首を切られた」との風評を流され、しかもフリー、アヴァンギャルド寄りのスタイルを身上とし、70年代後半もロフト系の分野で活動を続けたため一部のファンを除き熱心に聴かれていない。
ただ、見方を変えればマイルス・グループに抜擢されたお蔭で無名の存在から一躍表舞台に上り、BNにリーダー作を録音できた事実からすれば、ラッキーと言えるのではないか。
BNの2作目、当時の「新主流派」精鋭達とのガチンコ勝負と思いきや、彼らの瑞々しい感性に交じって、リヴァースはtsの他ss、flを曲によって持ち替え、色彩感を添え驚くほど高い次元で柔軟なパフォーマンスを聴かせる。
リヴァースの暴れん坊ぶり(笑)を制御できたのは、ハバードとハンコックの存在だろう。
特にハバードの卓越したスキルと曲想、曲調に合わせた見事なコントロール(1曲は珍しいミュート)は最早、神技と言っていいだろう。刺激を受けたハンコックもテンション漲る凛としたプレイで応える。
聴き方によっては3人のうち誰がリーダーといってもおかしくないほどのチームワークの良さとその創造性は、ジャズへの真摯な思いを伝えている。
なお、リヴァースをマイルスに推挙したトニーは都合がつかず、代役に入ったチェンバースも役割を充分果たしている。
録音は1965年5月21日。RVGの録音もGoo。
BNの作品群の中で、最大にして最高の「隠れ名盤」。