jazz and freedom and avenger

JAZZを聴きながら勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

PICKERING 625E2 & SUGAN / PHIL WOODS

2020-02-22 | お遊びオーディオ

 

30年ほど前、秋葉原のオーディオ・ショップの年末セールで、半額で購入したもの。開けてみるとカンチレバーが右に一本分寄っていた。取り敢えず数回聴いたが、気になり箱に戻しそのままに。

先日、物は試しとブラシの状態から使用頻度が少ない代替交換針(国産)を手に入れた。純正はゴールドですが、シルバーです。チップもほぼ新品同様でした。

 

 

改めて見直すと、当時、一本分と思っていた片寄りは半分ほどで、ま、支障はないと判断し、聴くと、セールス・ポイント通り、明るく、ちょっと出過ぎな位、音が前にポンポン出てくる。シェルをアルミからマグネシウム合金に替え、上手く抑え込むことができた。代替交換針に差し替えると、乾燥気味な音にwetさが加わりいい塩梅に。スペックの出力電圧は4.4㎷ですが、聴覚上、6~7㎷ほどに聴こえる。兎に角、元気ですね。

ふと、国内盤に適しているのでは、と脳裏をかすめ、この一枚を。

音にやや厚みがなく、音圧も低めの再発モノ盤です。上々の結果が出ましたが、念のためA・テクニカのモノ再生カートリッジ(MC)で聴き比べると、やはりモノ・カートの方が優れている。625E2は国内ステレオ盤でキャラとメリットをより発揮するでしょう。

 

 

ライナー・ノーツの語り口がどことなく違うので、名を見るとジャズ喫茶「イントロ」のマスターでした。回想から始まり、この吹き込みが当初、16回転LPとしてリリースされた経緯~50年代の作品群~68年のERMでの劇的カンバック~81年DB誌国際批評家投票で1位まで実に丁寧にWOODSを追跡している。名ばかりの評論家が書くワン・パターンのライナーノーツより、よっぽど良心的で充実している。

1957年7月19日に録音された本作は、パーカー作3曲、ウッズのオリジナル3曲で構成されている。どれもウッズは絶好調でパーカー派の番頭ぶりを遺憾なく発揮しているけれど、特にオリジナル曲では、最早、パーカー派だけでは括れないアイデンティティが確立されている点を聴き逃すわけにはいかない。中でも、B-2の”Green Pines”での低域を多用して歌い上げるasは57年とはとても思えぬほど新鮮で、こんな風にasを吹ける人は今でも他にいないでしょう。その後、長い不遇のトンネルに入るものの、ERMでの復活が決して奇跡ではないことをこの演奏が裏付けている。以前、B・カーター楽団の幕張での演奏会でゲストとして呼ばれたウッズをカーターは「マイ アイドル」と紹介している。粋なことを言うなぁ、と感心したけれど、ジョークでなくカーターの「本音」なのだろう。ウッズも惚れ惚れする名ソロで応えたのは言うまでもありません。

ただ、アルバムを通し共演のR・コープランド(tp)の力量不足が誠に惜しい!

もし、tp抜きのカルテットで全曲ウッズのオリジナルで構成していたら、ペッパーの「ミーツ」に充分、勝負できたのではないか。