・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

気が向いたときに、覗いてご覧ください。
何が見えるかは、覗く方々のお眼め次第です。

古歌顧裏:1 箱根八里

2018年05月18日 | つぶやきの壺焼

私たちの歌は、唄った数より聞いた数のほうが多いものです。
歌を唄わずに覚えるのはむずかしいので、聞くだけのほうが多ければ、歌詞のうろ覚えも多くなります。

普段なんとなく口ずさんでいた歌の歌詞を、よく確かめてみようかと思いつきました。
そのときに、見えれば裏側までということで、「こかこうら」を試みることにしました。

はじめは、はがつく箱根から、箱根の山は・・・・・・。

箱根八里
箱根の山は 天下の嶮
函谷關も 物ならず
萬丈の山 千仞の谷
前に聳え 後に支ふ
雲は山を巡り 霧は谷を閉ざす
昼猶闇き 杉の並木
羊腸の小徑は 苔滑か
一夫關に当るや 萬夫も開くなし
天下に旅する 剛毅の武士
大刀腰に 足駄がけ
八里の岩根 踏み鳴らす
斯くこそありしか 往時の武士

函谷關は、Google map で見たところ険しい山地にあったのではなさそうなので、作詞の材料に引きずり出したのは、要衝としての検問の厳しさと箱根の山の険しさを結びつけたものとみられます。
一夫關に当るや 萬夫も開くなし という句も、李白の詩からの引用であるところをみて、作詞者鳥居忱(まこと)は、古代の中国へのあこがれをもっていたかと思えば、「旅順閉塞」の作詞、「支那征伐軍歌全集」の著作などの経歴もあって、傾中一辺倒でもなさそうです。

ここで記憶の間違いを発見しました。
天下に旅するを山野に旅すると二番と混同して覚えていたのです。
八里の岩根を七里の岩根とする誤記憶にも気付き、これは七里ガ浜の磯伝いの七里と、八里の岩根の八里とが、リズムは違ってもメロディが似ているからかなどと、いいかげんな思いがめぐりはじめたところです。

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