立春や 驢馬がにやりと お水取り。
節分も終わると、お水取りがあって、一気に春に向かう季節となりました。
人はパンのみで、生きるにあらず。
ロバはパン屋で名をはせ、顔を馳せ。
ロバのパン屋は、懐かしい風物詩でございましたが、近頃はとんと聞きません。
パンの耳は食えますけど、驢馬の耳をした王様は食えんようです。
羊ほどは、かわいらしくなく。
馬ほどは、かっこよくもない。
駱駝に似ているから、楽だ。なんて話でもございません。
なんていったって、ロバなんですから。
カバに見えようが、見えまいが、春になったら、にやりと笑うのでございます。
なんで、笑うかって?
そんなもん。驢馬に聞かなきゃ。あたしにはわかりゃしません。
ブルルルル!と。鼻をゆすぶり、歯をむき出して笑い歌うんですなぁ。
ブレーメンの音楽隊。
こないして書いてますけど、何処で落ちになるのか見当もつかず、一向に埒(らち)もあきしまへんので、埒が無い。
どなたさんかに、埒を開けてもらわな、なんともならしまへん。
昔は、遊郭何ぞで花魁なんかが年季を開けて、晴れて自由になる時に、埒を開けてもらって出て行ったそうでございますが、拉致されて、埒開けて出る、晴れ姿。てなもんで、見た目と気持ちじゃ、晴れ模様も替わるんでしょうなぁ。
埒も無い、春の驢馬の心持、晴れ渡る。
埒外の路場の夢。