老竹も 藤に抱かれ 花咲かす。
来年の早苗の頃には、ひとはなさかすであろう藤のつるが、真新しい藤棚の竹を這っている。
この仕込が、やがては、絢爛連朗の花のある憩いの屋根を普請する。
藤棚は藤棚として、藤は藤として。
普請は、その建ちゆくさまがおもしろい。
つるがのび行く限り、屋根の成長は止まらない。
やがて天井を形作れば、たとい老竹朽ち果てても、立派に自立を果す。
昨日今日明日あさってしあさって
さしあたっての楽しみは のびゆく風景。
まるまりながらもからまりながらも、止まることはない。
刻々逡巡と、その姿を整えていくであろう。
楽しみは、その望月の皐月のころ。