わたしは休めるところ、息を整えるところを探していました。
菜の花のひかり群れる土手や、青々颯々とした見晴らしのいいところや、さつき野の赤く白く萌ゆるところ、いずれもがそここそが休むべきところのように思われました。
そのうちわたしは久方に酷した身体の慰撫と喉の渇実なる欲求に応えるために、休息の場所を選びました。
それは、先秋の枯れ尾花が薫風に翻弄され乾ききった音をあたりにさざめかせている、葦の原の中でした。
青い空に枯れ葦原その下には若葦がシュッとシュシュッとのびつつある、そんな所です。
この季節の代表作のある場所は人であふれていましたが、そこには誰も居なかったし来ることもありませんでした。
そこで休んだことでわたしは今年もやる気になりました。そして枯れゆくものの良さが少しずつ解かってきたように感じるのです。
いや、わたしは枯れたものとともにあることが好きなのです。