さるはすべってもありはすべらないのである。
だからさるすべりなのだ。ありすべらない。という名前はつかない。
すべるということは、なめらかであるということである。
すべすべだからすべるのである。
ひっかかりがないのである。
しかし蟻にはひっかかるのである。
だからすべらないのである。
なにかかがひっかかると、すべりどめになるのである。
ひっかかりはきもちわるいときもあるが、ひっかかりがないとすべりおちるのでもある。
さるすべりは、さるには登ってほしくないのである。でも蟻には登ってもらってもかまわないのである。
それがさるすべりのきもちなのである。
蟻はその気持ちを汲めるから、ありなのである。
さるには、ありとさるすべりのきもちはわからないのである。
だからありもさるもさるすべりもみんな幸せなのである。