Si(シリコン)とGe(ゲルマニウム)など異なるチャネル材料を(左右でなく)上下に積層化させ、 n型FETとp型FET(※1)を最短距離で連結するようにした新しいFET構造です。”heterogeneous Complementary-Field Effect Transistor”の略で、”異種チャネル相補型電界効果トランジスタ”と呼ばれます。
※1 FETは”電解効果トランジスタ(Field Effect Transistor)”と呼ばれます。FETにおいて、電流を運ぶキャリアが、電子(マイナス、negative)であるものが”n型FET”と呼ばれ、正孔(プラス、positive)であるものが”p型FET”と呼ばれます。
上下に積層することにより3次元的な構造縮小化による高密度化・低電力化が達成され、かつp型FETへ(Siでない、高速性に優れる)Geを導入することにより高速化が達成され、2024年以降と想定されている「2nm(ナノメートル)世代」のトランジスタ技術として注目されているようです。
産総研の研究員「張 文馨 」氏を代表とする日本チームと台湾半導体研究中心(TSRI)のリサーチフェロー「李 耀仁」氏を代表とする台湾チームとは、2020年12月、SiとGeのチャネル薄膜を上下に積層させる技術LT-HBT(Low Temperature Hetero-layer Bonding Technology, 低温異種材料接合技術)を開発し、それを利用してSi n型FETとGe p型FETを最短距離で連結するhCFET構造を実現した、と発表しています(※2)。
※2 プレスリリース(2020.12.8)のサイトは、https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2020/pr20201208/pr20201208.htmlです。
なお、この内容は、2020年12月12~16日にオンライン開催された国際会議”2020 IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM 2020)”において発表されたようです(※3)。
※3 関連資料は、 https://static1.squarespace.com/static/607da9820de541322b95fc19/t/60880c945750525cb2d5abad/1619528855583/2020-IEDM-Archive.pdfです。
hCFETの開発成功により、2nm世代の半導体の今後の実現に大きな期待が寄せられているようです。