種々の情報を効率良く転送するインターネットと同様の考え方に基づいて、物流施設や輸送手段を利用して種々のモノを効率よく運ぶことができる物理ネットワークの概念を指しているようです。
2014年に出版された、Eric Ballot, Benoit Montreuil, Russell Mellerの共著である書籍“The Physical Internet: The Network of Logistics Networks”(*)のAbstractには、フィジカルインターネットとは、“ロジスティクスネットワークをグローバルに構成するための新しい概念(a new concept for the global organization of logistics networks)”であるとされ、以下のような説明がなされています(https://hal.archives-ouvertes.fr/hal-01113648/)。
“データを運ぶディジタルインターネットのように、全てのロジスティクスネットワークを接続し同期運用させることにより、「カプセル化された(容器に入れられた)」種々のタイプ・サイズの商品の出荷を継続的に最適化していける、複数のネットワークから成る協働型で堅牢な物流ネットワークを実現することである(Like the Digital Internet that conveys data, the concept is to connect and synchronize all logistics networks to create a collaborative and robust physical network of networks, capable of continually optimizing the shipment of "encapsulated" goods of many types and sizes.)”
(*)Ballot E., Montreuil B., Meller R.D., The Physical Internet:The Network of Logistics Networks, 1st ed., La documentation Française, Paris, 2014
米ジョージア工科大の「サプライチェーン&ロジスティクス研究所」において、ブノア・モントルイユ教授らを中心にフィジカルインターネットの実現に向けての研究が推進されているようですが、同教授は、2011年、グローバルなロジスティクスの持続可能性に対する課題への大きな挑戦として“フィジカルインターネット”ビジョンを作り上げることを提言しています。下記の論文。
Montreuil B., Toward a physical Internet: meeting the global logistics sustainability grand challenge, Logistics Res. 3(2):71–87, 2011.
その後、フィジカルインターネットに関する研究も活発化しています。Google Scholarで“physical internet”を検索したときの論文等の表示件数は、2020.3.14時点で、88件(2011年)、139件(2012年)、131件(2013年)、178件(2014年)、207件(2015年)、263件(2016年)、305件(2017年)、457件(2018年)、609件(2019年)となっています。
我が国でもこれから活発化していくものと思われます。