毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「珍しく、切ないラブストーリー」No.1437

2015-08-20 14:02:41 | 中国事情

珍しく、切ない愛の物語を書きたいと思います。

何が珍しいのかというと、私のブログにしては、ということであります。

あ、私の物語ではありませんよ、言っとくけど。


今年も6月に江西省の江西財経大学日本語学科の4年生が卒業していきました。

 江財大麦蘆園の時計台

 

6月末に、沖縄にいる私の元に卒業生Sさんから一通のメールが届きました。

「無事に卒業しました」という報告とともに、

在学中、追い求めていたある愛の顛末が記されていました。

彼女はクラスメートのある男性が好きになり、交際を申し込みましたが、

「あー、僕は面食いなんです。」と、

見事なまでに冷たく断られました。

そんなにまで完璧に振られたのに、Sさんは諦めませんでした。

焼き肉を奢ってあげたり、何かにつけてプレゼントを渡したり・・・・・・。

そんな彼女を見て、他の女性クラスメートたちは、

「Sさん、そんな酷いことを言われたのに、どうしてまだ彼が好きなの?」

「あんたにはプライドはないのか!」

と、ヤキモキしていました。

 

それでも、一途な気持ちは少しずつ彼の心に届いたのでしょうか。

3年生後半から4年生にかけて、二人が図書館で仲良く大学院受験の勉強をしている姿が

見受けられるようになりました。

Sさんは「ただ友達なだけです。特別な関係ではありません。」とほほ笑むだけでしたが、

私は、彼(Tさん)の彼女を見る目に穏やかな優しさが宿っているのを見逃しませんでした。

北京のある難関大学院は、もともとTさんが受験を決め、

Tさんと同じ大学院に行きたいためにSさんも同校を志望しました。

しかし、何ということか、結果はSさんだけが合格し、男性のTさんは落ちました。

彼女がTさんを慰めれば慰める程、Tさんは、

「君は僕の傷にどれほど塩をなすりつければ気が済むんだ!」

と、腹を立て、まもなく、多分意図的に、新しいガールフレンドができました。

元々、SさんはTさんのガールフレンドだったわけではありませんので、

文句を言う筋合いではなかったにしても、

目の前で新しいガールフレンドと如何にも仲良さそうに喋ったりするTさんに、

いくら一途で強靭な神経の彼女でも、とても傷つけられて、

私のところに「先生、助けて!」とメールを送ってきたり、

ルームメイトも「彼女は毎日寮で泣いてばかりいます」と知らせてきたりしました。

・・・・・・・・・。

そんな彼女から、

「卒業記念パーティーでTさんと心を打ち明け合って、仲直りし、

まるで家族のような気持ちになりました。ようやく晴れて卒業できます。」

とメールに書いてありました。

Tさんも苦しかったでしょう。

恐らく人生で初めての挫折を味わい、それを整理するには時間が必要だったと思います。

「ぼくは弱い人間で、君にとても酷いことをした。許して。」

と卒業の時に言えたTさん。

 

この二人のように、今日も世界中で若者たちは、

人を好きになったり、振ったり、振られたりしながら、

人間として成長しているのでしょう。

人間の営みはどこの国でも同じです。

なので、国境を越えて仲良くできないはずはないと思うのです。

 

 ↑Sさんが今アルバイトをしている深圳から送ってくれた写真です。

 

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