毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「出発前に『死臭の街』を観る」No.1442

2015-08-26 14:46:22 | 反原発

沖縄基地問題、安保法制、貧困、そして原発。

この国の立ち位置を巡る全ての問題は数珠つなぎに連なっています。

私は明後日にはもう山東省にいるはずですが、

出発前に観ておこうと思ったのが下の記録動画です。


死臭の町(福島原子力警戒区域20km圏内)HOSHI FAMILY

https://www.youtube.com/watch?v=9Qb0K9LkffI

これは、星広志さんの仲間、家族が、

原子力警戒区域で捨てられた動物たちを救助すべく禁止区域に入って

見たままを映した映像です。

下は字幕です。

星さんはバリケードの中に入った「罪」により逮捕・拘留されたそうです。

この国の政治家がやることは、そういうことです。

変で、変でたまりません。

―――――――――――――

最近は死臭が脳裏を離れない。

ある日の朝、街中の10m先に太った猫を発見した。

歩いて近づくと、傍の新聞店に入って行った。

その猫について建物の中に入ったが、どこにもいない。

街にいると、いつも周囲にはコバエがいて、

一種独特の臭いに包まれている。

嫌な予感がしたけれども、そっと二階へのドアを開けると、

強烈な臭気がこみ上げて、思わず扉を閉めた。

思い切って、もう一度開けて中を見ようとしたけれども、

吐きそうになり、再び扉を閉めた。

この強烈な臭いは、動物の死臭なのだ。

閉鎖された空間の死臭は、とてもこの世のものとは思えない酷い匂いだ。

もう見るまでもない、建物に入るのを諦めた。

一時帰宅で戻った住人は、果たしてこのドアを開けて入るだろうか。

ほとんどの人には無理な気がする。

自分が置き去りにしたペットが、無残な姿になり、

蛆虫に食い尽くされた後でも、その臭いは消えることはない。

そして猫たちは、死骸を喰って生き延びている。

 

帰り道、首都高速に入り、ビル街を見るとほっとする。

あの街と比べて何と空気が爽やかなことだろう。

きれいなネオンと立ち並ぶ高層ビル。

車の窓を全開にして空気を入れ替える。まるで別世界だ。

原発の恩恵でこの清潔できれいな街があり、

その犠牲としてあの死臭の街がある。

ああ・・・、また来週も行かなくてはいけない。あの死臭の街に・・・。

本音で言えばもう行きたくない。

 

これまで数えきれないほどの死骸を見て

数えきれないほどの写真を撮り、

数えきれないほど泣いてきた。

この気持ち悪さは行ったものにしか分からない。

何がわたしをその気にさせるのか。

もう千回以上泣いた。こんなに泣いたことは人生で一度もなかった。

「プータを助けてください!

インターネットを見て電話しました。お願いです。

私の犬がまだ生きているって瓦礫作業の人に聞きました。

どうかプータを助けてください」

「分かりました。必ず明日行って助けるから安心してください。」

私たちはバリケードを破り、原子力発電所から僅か500mのその家に向かった。

津波に襲われた原発傍の浜で、放射能に侵されながらもその犬は生きていた。

瓦礫整理の自衛隊員や作業者が、この犬に餌を与え続けてくれたのだろう。

夕暮れにその住所にたどり着き、

「プータ、迎えに来たよ!」

と叫ぶ。

その瞬間、家の正面から犬が駆け出してこっちに向かってきた。

 

お前がプータか、よくがんばったな。

私はその20㎏もある秋田犬の雑種を車に乗せて帰る。

犬は人に会えた喜びを噛みしめている。

翌日、会津の避難住宅から郡山まで家族総出でプータに会いに来た。

娘が、父が泣いている。祖母が、皆が泣いている。

生後二か月から7年間、一緒にいた家族にやっと会えたのだ。

 

もう誰も来なくなった家の裏庭から原子力発電所が傍に見える。

プータは、飼い主の迎えを信じて、ここで生き延びた。

そして絶対助かるはずのないプータという命が救えたということ。

この喜びがある限り、私は仲間とともに、相変わらず福島に向かう。

二度と帰ることのない家、

いつか行かなくてすむ日が来ることを信じて、

あの死臭の街を、畑を、山を、海岸を、探し続ける。

 

この家族は、プータを郡山の動物病院に預ける。

「来週会いに来るから。プータ、また会いに来るからね。」

と、しばしの別れ。

もう二度と住むことのないだろう家、

いつまで続くか分からない避難住宅での暮らし。

福島の住人は生まれ故郷を失いながらも必死に生きている。

そして避難先では今でも、ペットを思い出し眠れなくなるという人がいる。

そして民間動物レスキューは、今でも罪人扱いされていて、

心ある政治家はもういない。

 

2012/09/27 に公開

警戒区域20km以内にいた2万4千以上のペットの殆どが政府により餓死させられまし­た。

2年間で7億5千万円もの動物救援義捐金がありながら

政府が救ったペットはそのう­ちの僅か1081頭ですが、

実際にはその半分は住民が一時帰宅で自ら捕らえたものでし­た。

そして、環境省が指名した動物救援本部の福島の責任者である神奈川の獣医師は、

警­戒区域で泥棒までする始末でした。

その結果ペットたちは次々と餓死していきました。


震災当時全国から動物愛護組織が南相馬に押しかけペットの救援を行いましたが、

4月2­2日以降はエリアへの侵入が禁止され、

違法行為を承知で救援を行う民間人はほんの僅か­に減りました。

その後の2年間で救われたペットはほんの僅かです。


その他の情報
---------------
facebook NGO Hoshi Family Animal Welfare
http://www.facebook.com/NGO.Hoshi.family
----------------
facebook 福島原発被害の動物達
http://www.facebook.com/fukushimaanimal
----------------
fafebookグループ HOSHI FAMILY
http://www.facebook.com/groups/hoshfa...
----------------
HOSHI FAMILYの本 「見捨てられた命を救え」
http://goo.gl/u5S8F

――――――――――――――

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする