3日前の木曜日、3年生『日本語視聴説」の授業で、
「わたしの子どもたちへ」(作詞・作曲笠木透)を聞きました。
このクラスでは、一つのニュースやドキュメンタリー映画の一部を
映像と音を手がかりに聞き取り、
その後、内容に関する討論や発表をすることにしているのですが、
そのウォーミングアップと位置づけて(ちょっとむりやり)、
日本のスタンダードナンバーの聞き取りと歌う練習もしています。
今まで、
「島んちゅぬ宝」(ビギン)←映像で沖縄の海の美しさを思い切り感じてもらった。
「未来へ」(キロロ)←中国語の歌がヒットして中国の歌だと思っている人も多い。
「時代」(中島みゆき)←閻さんは知っていた!!
「なごり雪」(イルカ/徳永英明)
↑はじめイルカのをかけてみたら、ちょっと癖のある歌い方だった。
陳さんが「私は徳永英明の方が好きです」と書いていたので、
次の週、わざわざ徳永英明のをかけたら陳さんは用事で欠席だった……。
(いつか『壊れかけのRADIO』も紹介しよう)。
このように紹介を進め、いよいよ今学期最後の曲として選んだのが
この「わたしの子どもたちへ」です(満を持して)。
2015年1月、ちょうど一年間だけ帰国していたとき、
十三の「風まかせ」という文化居酒屋みたいなところで
趙博さん(『Abe Is Over』でお馴染み)のミニライブがありました。
懐かしくていそいそと出かけたところ、まず一曲目がこれでした。
直前の12月22日に亡くなった笠木透さんへの哀悼の心が胸に沁みました。
この歌は私にとって、福島原発事故以後、
聞くたびに泣けて泣けて仕方がなかった歌でもあり、
いつか必ず学生たちに紹介しようと思っていたのです。
そんな由緒ある名曲ですが、こともあろうに私は
初音ミクちゃんと大御所の笠木透さんを聞き比べることにしました。
(私自身は高石友也さんのカバーが一番好きですが)。
初音ミクはご存知、日本の有名なバーチャルアイドルで、
3年クラスの韋彤さんが好きで好きでたまらない人?です。
何しろ韋彤さんは高校三年の時、受験勉強はそっちのけで
初音ミクちゃんの歌をお手本に日本語を独りで学んでいたというのです。
(受験勉強からの逃避だったと私は確信します)。
先月、山東省の泰山杯スピーチコンテストで並み居る強豪を相手に、
過呼吸で息苦しくてもど根性を見せ(笑)、
見事に最優秀賞をゲットした韋さんですが、
一ヶ月以上の練習の過程で最後まで不正確な発音として残ったのが、
濁音と清音の使い分けです。
自分で聞いても違いが分からないと言います。
その原因が、この「私の子どもたちへ」初音ミクバージョンを聞いて、
何もかも分かりました!
初音ミクは発音が悪いんです……。
特に「カ行」「タ行」はほとんどが濁音化しています。
他にも「ラ行」が「ナ行」に聞こえたり、
限(きり)がないほど指摘したい部分があります。
まず、初音ミクの歌声を流した時の3年生たちの苦痛の表情!
聞き慣れない機械音は、韋彤さん以外の全ての学生たちに拒絶され(笑)、
その後で笠木透さんの朗々とした歌声をかけると、
皆「ホ~ッ」と安堵のため息をつきましたよ。
韋彤さんは初音ミクちゃんのお蔭でここまでのし上がってきましたが(笑)、
少なくとも発音に関する限り、
初音ミク先生から卒業する時が来たようです。
下は、韋彤さんの5文エッセイです。
↓ ↓ ↓
初音ミクちゃんは濁音と清音が下手だということは知っている。
先生にもう一度言われてから、気になって聴いてみた。
本当に濁音だらけで、「そこ、清音じゃなかったっけ?」と
言ってあげたいくらいだった。
そう言えば、高校の時、確かに濁音と清音を同じ発音だと勘違いした。
よりによって、全部濁音で清音を読んできたわけだな。
笠木透「私の子どもたちへ」
https://www.youtube.com/watch?v=uBYlnReBDDg
初音ミクバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=zJtsiGlwmDk
高石友也(2014年大阪エル・シアターライブ:もっといいのがあったのに
探せませんでした……)
https://www.youtube.com/watch?v=vGHy10q7QV4
フェアリーランドと仲間たちのカバー(映像も紹介の言葉もすてきです)
https://www.youtube.com/watch?v=WUwqldEumHg
音楽の力って大きいと思いますね。好きな曲で日本語の勉強をしたなんてかわいいこと。
私からしたら孫世代の生徒さんたち。日本を好きになってくださいね。
もう先生を通して好きでいてくれると思いますけれど。
されます。
ほんに、あの原発事故以来、一層身に沁みて
歌うたびに 切なくなる歌です。
中国語は私もすこしかじっていたので、
今は朝体操の「練功18法」の体操が
多少わかるので先生の動作をみなくとも
動くことが出来ます。 日本と中国の密接な
関係をこんなところでも感じています。
言葉の意味が分からなくても、歌で日本が好きになってくれる人もたくさんいます。本当に音楽は大切ですよね。
「私の子どもたちへ」への想い、やはりへこき姐さ様も同じなんですね……。間違っても究極の無責任=「原発再稼動」をこれ以上させてはいけませんね。もんじゅを廃炉にするといっても、廃炉の方法も分からないくらいですから、なおさらです。
中国に来て改めて日本には中国や中国語に親しんでいらっしゃる層が厚いことを再認識しました。いくら政府が排外主義・愛国主義・自国中心主義を煽っても、私たちは隋・唐以来1500年交流を続けてきた両国民の末裔ですからね、小手先の排外主義に負けてはいられません!