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Brugge Style
giselle @ english national ballet
イングリッシュ・ナショナル・バレエで、古典の方の「ジゼル」を見た。
ジゼルは素晴らしきアリーナ・コジョカル(Alina Cojocaru)。
去年はアクラム・カーン(Akram Khan)がイングリッシュ・ナショナル・バレエのために新たに創作した、現代版「ジゼル」akram khan's giselleが、当バレエ団への一世一代の贈り物という風格で、またその作品の格に堂々と応えたバレエ団の方も凄みがあった(特に群舞が文句なく優れていた)。
そしてカーンの現代版に呼応するかのように、古典版を新年明けのスケジュールに持ってきたことにニヤっとしたのはわたしだけではあるまい。
古典の「ジゼル」、ストーリー的には素朴なこの話が語られるたびに、アダムの音楽の、あのテーマの部分がかかるだけで、胸の奥からこみ上げてくるのはなぜなのだろう。
もう数え切れないくらい鑑賞しているのに、同じ場面でぐっときて、言葉にならないものに感動するのだ。
アリーナ・コジョカルのジゼルは、2幕の精霊になったという設定で説得力を一段と発揮する。
乙女のまま死んで、男を森でとり殺す精霊になったジゼルは、生前に得意だった踊りで時間を稼いで、アルベリヒトを助けようとする。
許しと愛によって正気を保ち、夜明けの鐘とともにアルベリヒトが生き延びたことを確認した彼女は、おそらく成仏できた(天国に行った)だろう。彼女は森で毎夜さまよう必要はないのだ。
朝4時の鐘が鳴り、だんだん明るくなる森の中で、朝もやの中に次第と姿が薄れていく様の表現といったら!
アルベリヒトのアイザック・ヘルナンデス(Isaac Hernandez)もよかったし、精霊の女王ミルタ役のミカエラ・ドゥプリンス(Michaela DePrince)の峻厳さは文句無しにすばらしかった。
アルブレヒトの優柔不断さはなぜなのか、ジゼルに対する気持ちは本気だったのか...ジゼルが大人にしたアルブレヒトという男
(写真はballet.org.ukより)
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