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Brugge Style
james ensor
終了間際のIntrigue, James Ensor by Luc Tuymans展へ駆け込んできた。@ロイヤル・アカデミー。
アンソールはベルギーが誇る近代芸術家だ。
夫がベルギー人で、わたし自身もブルージュに13年住んだこともあり、ほとんど根拠のない親近感がある。
ブルージュのグルーニング美術館からも、親しんだ版画がたくさん来ており、根拠のない親近感、最高潮に達す!
アンソールが生涯過ごした寂寞としたオステンド(ブルージュから車で20分ほどの北海沿いの町)の風景が醸す、あのなんともいえないもどかしさを、彼の作品を介してありありと思い出す。
ここまで「懐かしい」という感情を引き起こす芸術もなかなか他にない。
神戸はわたしの故郷として心の中に常に君臨していて、しかし、ベルギーのあのどん詰まりの、良い意味で普通でうすら寂しい町々の様子は、やたらと「根拠のない」郷愁を誘ってくるのである。
娘が弾く、ラフマニノフの音の絵「かもめと海」が似合う海と町...
アンソールは「仮面」や「骸骨」モチーフで有名だが、わたしも文句無しに大好き。
真実ではなく、真実よりも純粋な仮面。
そして常々、あの仮面は偉大なる先駆者ブリューゲルを引き継いでいるのではないかと思っている。ブリューゲルの「叛逆天使の墜落」のパロディ的な版画もあったのでさらにその感を強くした。
また、アントワープ王立美術館から来ている目玉のひとつ「陰謀」の中心人物は、どうしてもキリスト本人「この人を見よ」に見えるのだがどうだろう。
「仮面」のない絵にも本当にしみじみといいのがたくさんある。
「うっわー素晴らしい!」 と言うよりも、本当に、しみじみ「いい」。
(写真撮影禁止のため、これらの写真は2016年に撮った世紀末美術館でのもの。そういえば同夏LAでは「キリストのブラッセル入城」も見ることができた)
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