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Brugge Style
matisse in the studio
ロイヤル・アカデミーで開催中の「スタジオのマチス展」Matisse in the Studioへ。
展示物自体は多くなく、巨匠マチスが絵画の対象物をどのように選び扱い、どのように捉えて描こうとしたかを考える試み。
マチスのスタジオに置かれて愛でられ、しばしば彼の芸術の対象になったもの-花瓶、ポット、仮面、椅子など-が作品と合わせて展示されている。
なるほどマチスは対象物に優劣をつけず、どの存在も平面上でイコールになるように(壁や人物でさえも)描いたのだということが、この展示方式でわたしにもはっきりわかった。
そうだ、切り絵に没頭した晩年は「体力がなくなったから」と説明されているのを何度か読んだことがある。
しかし老いばかりが理由ではなく、ものの存在を平面上でイコールにするのには、輪郭を強く描くこと以上に切り絵がふさわしい手法だったのではないか。
今までマチスの切り絵にはあまり興味がなかったが、断然おもしろくなってきた。
ものの詳細と意味を引き剥がし、先入観に囚われることなく、本質のみを光(すなわち色)で表したような芸術。
例えばわたしがいちばん気に入ったのは彼が恋い焦がれて買ったというヴェネチアの椅子のポートレイトだ。
ああ、この絵をうちに飾って毎日眺めたいなあ!
オーディオガイドも、これは椅子の静物画ではなく、肖像画である、と表現していたのが深く印象に残った。
オーディオガイドにはマチスの名言がたくさんちりばめてあり(それをフランス語なまりの英語を話す老人としてアテレコしてるのには閉口したが)、どれもかなり現象学的、構造主義的で理解の助けになった。
マチスほどの芸術家でも、パラダイムには逆らえなかったんだな。
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