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英国、昨日今日そして明日


英国ではどこにでもありそうな平和な風景...


英国の各地で先週から連続して起きている暴動に関連して、イングランドと北アイルランドでは昨日5日までに400人近くが逮捕された。

警官や移民や外国人への威嚇や暴力、宿泊施設、商店、車両の破壊、放火など、日本では考えられないような凄まじい暴動で、スターマー首相の発言のとおり「暴力であり犯罪であって抗議行動ではな」かった。

わたしが最も驚いたのは、赤ちゃんや幼い子供連れが、野次馬や扇動的な集団に混ざり、草野球でも観戦するような様子だったことだ。


この暴動は、イングランド北西部サウスポートで先月末起こった事件が引き金になっている。
子供のダンス教室が刃物を持ったアフリカにルーツを持つ少年によって襲撃され、少女3人が死亡し、多数が負傷した痛ましい事件だ。

犯人に関する誤った情報は瞬く間に拡散され、全く関係のない集団に属する人たちが攻撃され、情報が修正された後も続いている。


スターマー首相は4日にTVで演説を行い、「極右の暴徒」には「法律の全威力」をもって厳正に対応すると約束した。

彼は「肌の色で差別をするのは極右だ」と言ったが、わたしは彼の踏み込み方は、現段階では一面的だと感じている。


英国はもともと階級差が激しい(世界で最も?)社会である。

大英帝国として、植民地と奴隷の搾取によって栄華を極めたものの、次第に経済的な低迷と社会の分断が明らかになり、その傷はいまだに癒やされていない。

産業革命以降、特に20世紀から21世紀にかけての新自由主義的やグローバリゼーション、産業構造の変化、金融危機、政治の迷走などが組み合わさることで、問題はより深刻化し、その皺寄せは社会の最も弱い人々を直撃している。

特に英国北部では、産業の衰退、失業率の上昇、教育の不備などから生じる経済的困窮が、飲酒やドラッグの乱用、家庭内暴力、差別、コミュニティの荒廃、社会的サービスの劣化などの社会問題を引き起こしている。

その現実には、ほんとうに同情する。しかし当然、より弱い人々や特定のグループを攻撃する言い訳にはならない。


BBCを見ていると、極右の暴徒は、アメリカでトランプ元大統領を熱烈に支持している、例えばProud Boysに似ている。
ホワイトハウス襲撃事件で有名になったProud Boysには、アメリカの中部で経済的に取り残され、社会的な変化に対応できず、不満を抱く層が多いとされている。

これは単なる人種差別や移民受け入れの問題ではなく、社会に深く根を張った格差と困窮の問題であり、彼らは自分たちが社会の成長から忘れ去られ、不当に見捨てられた存在だと声をあげているのだ。

しかし、その怒りや批判や絶望は、感情ベースで集団を形成し、なぜか政治や経済のリーダー、グローバリストの資本家に向かわず、命からがら逃げてきた亡命者や移民に向けられる。
なぜなのか。

スケープゴートを仕立ててガス抜きをさせるのは支配層の常套手段だとしても。


有名なインターネット・ミームを借用して紹介。
帰属感や、自他、他者の認識というのはこのようなものにすぎないのである...
上:アメリカ人がイメージする英国人
下:ヨーロッパ人がイメージする英国人
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