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Brugge Style
バカンスで人を観察
今日は人の悪口です。
人の服装や体型についてあれこれ言うのはどうかと思うが、滞在型のバカンスでの楽しみのひとつは人を観察することだ。
今年のチャンピオンは、あるリゾートで見かけたフランス人の一卵性双生児の男の子たちだ。
16歳以上限定のプールサイドに毎日来たので、おそらく16、7歳、高校生。ドルチェ&ガッバーナの香水の広告に出られるのではないかというくらい美しくおしゃれで、大変目の保養になった。
ちなみに双子だと気がついたのは水着だけは常におそろいだったからだ。
もちろん両親ともに素敵で、お母さんとは「家族だけでバカンスに来るのもあと数える程よね」と話をした。
思い切って一般化してしまうが、英国人は非常におしゃれ下手だ。彼らにセンスがないのは欧州では自他共に認めるギャグとなっているので、怒らないでまあ聞いて頂戴。
その「センスがない」と言われる理由を、以下で分析してみる。
体型には目を瞑るとしても(英国は欧州1位2位を争う肥満大国)、まず水着のサイズが全く合っていないのは考え直した方がいいと思う。小さいサイズを着たら痩せて見えるとでも思っているのだろうか。
また、彼らの服装には「くつろぐ服」「おしゃれの服」という2カテゴリーしかないようだ。だから「くつろぐ服」は家の中で着る服もリゾートの服も一緒、「おしゃれの服」はリゾートのディナーで着る服もシティホテルで結婚式に出席するときも一緒。
海にそのまま続くレストランで21時、黒のリクルート風パンプスはなかろう...
その点、フランス人やイタリア人は割合おしゃれだ。何が違うかといえば、高価な服を着ている必要はなく、「くつろぐ服」「おしゃれの服」の中にさらにまた細かなカテゴリーがあるのがうかがえるから。リゾートでは、家や街で着るのとは明らかに違うカテゴリーの服を着ていて、夜のおしゃれも「リゾートの」夜のおしゃれをしている。
おしゃれは自分が楽しみ、周りの人も楽しませるものなのだ。
もしかしたら、こういうリゾートに来られる余裕のある英国人層は厚く、こういうリゾートに来られる層のフランス人やイタリア人は比較的裕福でおしゃれである可能性もある。まあこれは別の話ですな。
双子ちゃんの一人がプールサイドで履いてた真っ赤なエスパドリーユが、焼けた肌に生えてすごく美しかったのが目に焼き付いている。プールサイドのゴム草履やスポーツ系のサンダル(テバとか)よりも、エスパドリーユはずっと美しい。
誰かの素敵なおしゃれが写真のように心に残るのも旅の楽しみのひとつだ。
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バカンスで何を着るか
(以下、長いです。そしてテンションも高いです)
8月はバカンスの過ごし方について聞いてくださった方がおられ、先月は「バカンスで何を着るか」について聞いてくださった方が。
わたしのよりもずっと有用な意見がネットにはたくさん上がっているが、普段、断片的にしか考えないことを文章にするのはとても楽しいので書いてみる。
わたし自身の次のバカンスに役立つかもしれないし。
まず、観光などに外出しない限り、バカンスでは朝から夕方まで水着の上にカフタンやビーチドレスといういでたちで過ごす。
カフタンやビーチドレスにはスケスケなデザインが多いが、わたしはスケスケなのは避けている。理由は..聞かないでくれ。
とにかく日中用の、ざぶざぶ洗える麻、コットン、ジャージ素材の透けないカフタンやビーチドレスをたくさーん持っていく。日焼け止めでベタベタした服がすさまじく嫌いなので、どんどん着替えて、洗濯もどんどん頼む。
それでも毎回いくら枚数があっても足りなくなり、足りなくなったら買いに行ったりもする。しかし、隔絶されたリゾート地にお店があるとは限らないため、やっぱりたくさん持って行くべき...
結果、年間を通して素敵なビーチドレス系をワクワクしながら探している。
バカンスのおしゃれ、命。
ざぶざぶ洗えてファスナーなどもなく、ゆったり着られる水辺のドレス、大好き。
去年と今年はオーストラリアの安くてかわいいMLM Labelのものを一番愛用した。ビーチドレスやカフタンとしてデザインされた服ではないが、上で書いたようにスケスケは好みではないのでここのはちょうどいい。この写真に写っているのは全部MLMのオフショルダー(クリーニングから戻ってきたところを。こういう写真が撮ってみたかった。難しいもんですな...)。オフショルダー大好き!
オーストラリアは北半球と季節が反対ゆえ、冬に夏物を探せるのも楽しい。
イヤリングはゴールドのフープなどシンプル、そして大きーいブレスレット。そういえばバカンスではネックレスはつけない。
髪は背中にべったりつくのは気持ち悪いので、必ずゆるくまとめ、色違いのリボンのついたフェドーラも何個か持っていく。そしてサングラス。
夕方になったらヒトっ風呂浴びる。ここからが1日で最も楽しい時間、風呂の中では鼻歌が出てくるほど。
お化粧して、すごくおしゃれをして、寝るまで、バア、散歩、バア、ディナー、バア、そういうパターン。飲んでばっかり。
ああ、のんびりしに行っているにもかかわらず、1日24時間が全く足りない!
夕方一番最初に用意ができるのが夫だ。彼はさっさと支度をしてバアで飲みながら待っている。彼はスタッフと世間話するのが大好きで、いつの間にか仲良くなっている。わたしがいつもホテルでいいようにしてもらえると感じられるのは、彼のこの社交術のおかげでもあると密かに思っている。
話を戻そう。
わたしはどんなに日焼け止めを塗ってもすぐに焼けるタイプだ。そこはもうあきらめていて、保湿にのみ励む。
焼けたデコルテで、ベアトップやワンショルダーのドレスを着るのが大大大っ好き! デコルテの開いたバカンスの服大好き! ホテルのクロゼットにかかっているだけでわくわくするカラフルでかわいい夏のドレス!
夜も髪はまとめて、大きくて派手なイヤリングをつける。
靴も、少なくとも朝用、水辺用、ビーサン、観光用、夜用、それらを倍々で持っていくので毎回荷物がすごいことになる。
バッグはわたしは手ぶらが一番好きだが、籠バッグをいくつか。
娘はわたしよりも背は高いが服のサイズは英国6で一緒。でも絶対に兼用にはしたくない。娘はキラッキラぴちぴち、今この年齢でしか似合わないものをぜひ着て欲しい。わたしも娘にはまだ早い(例えばデコルテや背中が大きく開いているなど)デザインを着る。
とにかく、リゾートではリゾートらしい服を着る、ということに尽きる。
昼間のリラックスした服も、夜の服も、街とリゾートでは全然違うことを楽しむ。
そしてこの続きはまた次回。
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慎ましくも嬉しき収穫祭
収穫の「し」の字未満のささやかさ。
毎年たくさんできる葡萄
(背が高くなりすぎて手が届かなくなってしまった)と
ただ唯一のかぼちゃ。
イタリアの食用のZucca Marina di Chioggiaという種で
中身はオレンジ色らしい。
これをハロウィンの季節のテーブルセンターとして観賞用にするか、
食べられるのかどうか試すため、とりあえず切ってみるかで迷い中。
来年は迷うことがないよう、最低2つは生りますように...
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ジュリエットはフェミニストか
ロイヤルバレエの「ロミオとジュリエット」の主役インタビューで、ジュリエット役のサラ・ラム(Sarah Lamb)がこう言った。
ジュリエットはフェミニストである、と。
親が政治的配慮で決めた結婚相手を拒否し、自分自身の愛と意思を貫き、そのためには命を賭したということなのだろう。
何をやらせてもこっちを唸らせるサラ・ラムの幅広い才能には、わたしも惜しみな賞賛を送る。
しかしジュリエットが「フェミニスト」であるという明快な解釈にはわたしはどうしても同意できない。
以下、なぜかを述べる。
確かに、結果的にジュリエットは「伝統的な女性概念からの解放」、つまり「女はこうあるべき」という因襲的な束縛からの解放を命をかけて望んだフェミニストに見えるかもしれない。
が、それは「結果的に見たら」にすぎない。
アーティストとして、「あ、この役は手持ちのこの解釈(この場合はフェミニスト)で演じられるな」という態度は一番つつしむべきではないか思うのだ。
そうではなく、自分が演じようとする人物の、強い感情や行動はいったいどのようなものなのか、自分が今まで経験したことのないようなもの、この世にあるとは思いもしなかったようなものなのではないか、という強い好奇心と敬意こそが「芸術」への道を開くのではないか。
登場人物を既存のパターンにはめ込んでしまうことなく、「ありきたりな理屈では説明できない感情に突き動かされる人物」を、賢しらを捨て、ゼロから新たに作り上げるアーティストだけが、慣習的、因襲的な世界に生きているわれわれ観客をはっとさせ、深く感動させるのではないのだろうか。
あ、この人物はフェミニズムに目覚めたわけね、じゃこの方法で演じられるね、という態度では演ずる意味がないし、われわれだって海千山千な観客だ、やたらめったらなことでは感動させられたりしない。
まあその点を差し引いたとしてもサラ・ラムは優れたダンサーだと思う。
先日すでに書いたが、鑑賞したロイヤル・バレエのロミオとジュリエット、ジュリエットのサラ・ラム(Sarah Lamb)とロミオのスティーヴン・マクレイ(Steven McRae)のコンビは完璧だった。
主役の2人だけでなく、マキューシオ役のアレクサンダー・キャンベル初め、脇役もすべてが。
マクレイの安定感と躍動感のバランスは相変わらず素晴らしく、女性のサポートも文句なしにうまい。独りよがりな自己愛やアッピールが全くなく、きっと彼は実生活でもよい夫にちがいないと想像してしまった。
大きなお世話か(笑)。
(写真はroh.orgより)
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cheri
(タイトルCheriはeにアクサン)
昨日はラグビーの日本対サモア戦に行くか、バレエ「シェリ」に行くかで大変迷った...
というのは大嘘で、もちろん迷いなしに「シェリ」に行った。
ラグビーのチケットはもっと興味がある人に譲ることができたので良かったとしても、日本が勝ったと聞くと当然見たかったかもと思う。いやいや、バレエを選んだことには秋晴れの空のように何の後悔もないのだが。
日本、2勝目おめでとう!
その、ものすごく楽しみにしていたコレット原作「シェリ」。
マーサ・クラーク版の英国プレミアをアレッサンドラ・フェリ(Alessandra Ferri)のレア役で。
ロイヤルオペラハウス内のリンゼイ・スタジオ・シアターはこじんまりしていて、登場人物3人(うち一人、シェリの母親シャルロットは女優フランチェスカ・アニスで、狂言回しをやる)、ピアニスト1人という構成と、外部が欠けていて内側にのみ向かっていくこの話の筋にぴったりだった。
アレッサンドラ・フェリのまつげの筋が見えるほど近くで観覧でき、彼女の変わらぬ美しさに驚愕した。あの美しさだけでも価値がある。
多分前回生で彼女を見たのはジュリエット役だった...
以下、筋が含まれるので要注意。
49歳のレアは親友シャルロットの息子である24歳シェリと熱愛中。しかしシャルロットが嫉妬混じりに世話したシェリの結婚とともに2人の関係は終わる。シェリはレアへの思慕と戦争の傷に耐えられず、自殺を図る。
わたしはまだ49歳ではなく、半分の年齢の男と恋愛することもないだろうが、そのつもりがなくても陥ってしまう可能性があるのが恋愛というものの本質なのだ。人間の「不安」を美しく描いたすばらしい作品。
内容が半端なくエロティックなので娘は連れていかなかったが、次の機会があれば見せようと思う。
ラヴェルの旋律が今も耳に残る。
今夜にでももう一回見たい!
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