昨年6月28日、安和桟橋出口部での、辺野古への土砂を搬送するダンプトラックによる死傷事故から半年以上が経過した。警備員さんが亡くなられたことは痛恨の極みだが、一時は重篤状態だった被害女性が昨秋、やっと退院され、リハビリ生活に入ったというので、とりあえずはほっとしているところだ。
事故後、県は「事故原因が究明され、安全対策がとられるまでの間は土砂搬送を中止すること」と指示し、しばらく工事は止まっていた。しかし防衛局は昨年8月22日、事故原因が未だ究明されておらず、安全対策についても県の了解もないまま、大勢の機動隊を動員し、警備員らがネットフェンスで歩道を封鎖して搬出作業を再開した。今では、事故前よりはるかに多い1日に1200台を超えるダンプトラックが出入りしている。その後、12月2日には、同じく事故以来停止していた本部塩川港からの土砂海上搬送を再開した。
(1月10日 NHKテレビニュースより)
それにしても不可解なのは警察の対応である。事故後、半年以上が経過したというのに、まだ運転手に対してなんの処分も行われていない。被害女性が退院したことも分かっているはずだが、当事者である彼女に事故当時の状況を聞こうともしていない。そして防衛局が、大勢の警備員が歩道をネットフェンスで封鎖してダンプトラックの搬送を再開してからも、封鎖に協力し、抗議する県民を一方的に規制するばかりだ。
また、事故当時から、1名死亡、1名重傷という大事故なのに、運転手が逮捕されていないことに疑問の声が寄せられている。たまたま同じ日の夕刻、浦添市で軽自動車の交通事故(歩行者は頭を強打し重傷。その後、死亡)があったが、運転手は事故直後に過失運転致傷で現行犯逮捕されている(2024.6.30 琉球新報)。
警察は、事故原因を究明し、運転手を罪に問えば、作業を急がせた防衛局等の責任に言及せざるを得なくなるので、このまま放置していると考えざるを得ない。一部には、警察は、被害女性が事故の加害者だとして、その責任を問おうとしているのではないかという話も聞く。
こうした状況の中で、今年になって注目すべき報道が続いている。
『世界』(2月号)の、「危険な抗議活動だったか --- 沖縄・安和桟橋事故は問いかける」という南彰琉球新報編集委員の論稿。そして、NHK沖縄のテレビニュース「辺野古移設 代執行から1年 計画から遅れ」という特集だ。
いずれも、安和の事故について、ダンプトラックの運転手さんへのインタビュー等を中心に、事故の背景に鋭く切り込んでいる。運転手さんは、「一昨年秋頃から、ダンプの誘導の仕方が強引になってきた。いつか事故が起こるのではないかと思っていた」と生々しく語っている。事故の原因は、工事を急がせた防衛局と業者にあることがよく分かる。
『世界』(2月号)によれば、事故の3日前に県民が亡くなった警備員に対して、「こんな誘導をしていると、また事故が起きるよ」と注意した時、彼は、「言っても聞かないんですよ」と答えたという。その彼が、強引な工事の犠牲になって、3日後に亡くなってしまったのだ。
防衛局の強引な工事が続いているが、被害女性に寄り添い、なんとしてもこの状況を変えるための努力を続けていきたい。
(2025.1.20 NHKテレビニュースより)