今日(21日)、これから東京に発ちます。高江・ヤンバルの皆さんと一緒に、市民集会と防衛省交渉です。高江の闘いは未だ終っていません。関東方面の方、是非、お集まりください。
・8月21日(月)午後6時半~ 市民集会(文京区区民センター)
・8月22日(火)午前10時~ 院内集会(参議院議員会館101号室)
午前11時~ 防衛省交渉(同)
(今も高江では工事が続き、作業員の進入を阻止する闘いが続いている)
**************************************
防衛大臣 小野寺五典様
2017年8月22日
北部訓練場ヘリパッド問題に関する要請書
「ヘリパッドいらない」住民の会(伊佐育子)
島ぐるみ会議・国頭(大田博信)
島ぐるみ会議・東(當山全伸)
島ぐるみ会議・大宜味(島袋義久)
高江現地行動連絡会(間島孝彦)
北部訓練場では、昨年、多くの地元住民・県民の反対を押し切ってヘリパッド造成工事が強行されました。政府は、12月22日に北部訓練場の過半に当たる約4000haが部分返還されたことをもって、沖縄の負担軽減と説明しています。
しかし、米軍・北部訓練場の部分返還の条件とされた6ヶ所のヘリパッド造成は、決して基地負担軽減といえるものではなく、基地機能の強化に他なりません。そして何よりも、ヤンバルの貴重な自然と人々の生活を破壊するものです。特に、昨年12月の名護での墜落に続いて、この8月5日、普天間基地所属のオスプレイがオーストラリアで墜落しました。このオスプレイは、北部訓練場でも連日、訓練を続けていたはずですから、もう危険な飛行は絶対に認められません。
北部訓練場で昨年夏から始まった県道東側の3地区4ヶ所でのヘリパッド造成は、全国から多くの機動隊を導入し、自衛隊ヘリまで動員して強行されました。沖縄防衛局は工期短縮を急ぐあまり、違法伐採や違法工事、そして環境影響評価図書の内容の大幅変更などを繰り返し、一帯の貴重な自然は壊滅的に破壊されてしまいました。私たちはこうした工事強行に強く抗議するものです。
昨年12月には、新しいヘリパッドが米軍に移管されました。しかし現地ではまだ工事が続いており、オスプレイ等の米軍ヘリによる夜間訓練・集落上空の飛行による生活環境への影響も深刻です。部分返還地の汚染除去についても多くの問題が山積しています。
このような状況のもと、私たちは下記のとおり要請します。
記
1.北部訓練場の全面返還に向けた計画を明らかにすること
2.米軍に対して、北部訓練場でのオスプレイ運用の中止を求めること
3.米軍に対して、新しく造成されたヘリパッドの運用中止を求めること
4.米軍に対して、夜間訓練の禁止、集落上空の飛行禁止を求めること
5.今回のヘリパッド造成工事で不具合が生じた原因を明らかにすること
6.ヘリパッド造成現場周辺を完全に現状回復すること
7.県民の水瓶を守るためにも、米軍に部分返還地の土地の使用履歴を公開させ、枯葉剤などの調査も行うこと
************************************
<防衛大臣への要請書 別紙> 2017.8.22
北部訓練場・ヘリパッド問題に関する要請事項各論と質問事項
1.北部訓練場の全面返還に向けた計画を明らかにすること
北部訓練場では、昨年来、3地区4ヶ所のヘリパッド造成が強行され、すでにそれらのヘリパッドでのオスプレイ運用が始まった。
今回の北部訓練場の部分返還は、沖縄にとっては、決して、基地負担軽減とは言えず、基地機能の強化に他ならない。そのことは、米軍自らが新しいヘリパッドについて、「使用不可能な訓練場を日本に返還し、新たな訓練場の新設などで土地の最大限の活用が可能になる」(海兵隊『戦略展望 2025』と認めていることからも明らかである。また、米軍が「特に重要」と位置づけているG地区ヘリパッドから、すでに米軍に提供されている宇嘉川河口の海域を使った、海・空・陸一体となった訓練も始まろうとしている。北部訓練場の基地機能は大幅に強化される。
このような状況の中、私たち地元住民の生活環境はますます破壊されようとしている。政府として、今後、北部訓練場の全面返還に向け、どのような計画を持っているのか、明らかにされたい。
2.米軍に対して、北部訓練場でのオスプレイ運用の中止を求めること
オスプレイについては、この間、沖縄県が一体となって日米両政府に対して配備撤回を求めて きた。北部訓練場でも、オスプレイの運用が相次ぎ、住民生活への深刻な影響が生じている。
特に、この8月5日には、普天間基地所属のオスプレイがオーストラリアで墜落し、3人が死亡した。昨年12月以来、わずか8ヶ月で2機が墜落、1機が胴体着陸、2機が緊急着陸したことになる。
5日の墜落に関して、小野寺防衛大臣は国内でのオスプレイ飛行自粛を申入れたが、7日には米軍は沖縄でオスプレイを飛行させた。日本政府の弱腰には呆れる他ない。
このような事故が相次いでいることから、米軍に対して、北部訓練場でのオスプレイの運用の中止を求められたい。
3.米軍に対して、新しく造成されたヘリパッドの運用中止を求めること
本年7月11日、米軍は北部訓練場に新たに造られたヘリパッドでオスプレイを離発着させた。それ以後もオスプレイの運用が続いている。
これらのヘリパッドは、昨年12月に米軍に移管されたとはいえ、7月に入ってG地区への進入路造成工事やヘリパッドの補修工事が始まったばかりで、周辺では大勢の作業員や警備員らが働いていた。工事が完了していないにもかかわらず、作業員らの安全も無視してオスプレイを離発着させた米軍と、それを認めた防衛省に強く抗議する。
また、新しいヘリパッドへの運用については、地元自治体への事前の通告がいっさいなかった。沖縄防衛局が東村に連絡を入れたのは、運用が確認されてから1時間も後であった。東村の伊集村長も、「(防衛局から)進入路の建設が全て終えてから運用が開始される見込み」、「運用開始時期を事前に通知する」との説明を受けていたという(2017.7.13 琉球新報)。
防衛省は米軍に対して、新しく造成されたヘリパッドの運用中止を求めるべきである。
4.米軍に対して、「夜間訓練・集落上空飛行」の禁止を求めること
4-1. 北部訓練場での米軍飛行訓練による被害状況をどう認識しているのか?
最近、北部訓練場では米軍ヘリの夜間訓練が相次いでいる[1]。特に、7月18日、20日などは、深夜11時半頃まで、7月12日、21日、25日、26日なども深夜10時過ぎまで訓練が続けられるという異常な状態が続いている[2]。
昨年6月の沖縄防衛局の測定データでも、一昨年からオスプレイの運用が開始されたN4地区ヘリパッド周辺で、6月の夜間(午後7時~翌午前7時)の騒音発生回数が383回に上り、2014年度の月平均に比較して約24倍にもなることが示されている(2016.7.20 琉球新報)。また、琉球大学の渡嘉敷健準教授の調査では、昨年6月20日午後10時過ぎにN4地区から約450m離れた事務所で、オスプレイの騒音が99.3デシベル、翌21日午後9時前には96.8デシベルを記録している(2016.7.15 沖縄タイムス)。
また、高江集落上空での米軍機飛行も相次いでおり、高江地区住民の騒音・低周波被害は深刻である。
こうした騒音被害により、昨年には、夜間訓練のために子どもが眠れず、翌日の学校への登校ができなくなり、他村への避難生活をやむなくされた家族もあった。この1年で高江から転居せざるを得なくなった家族は2家族11人にもなっている。
防衛省として、このような高江地区住民の騒音被害の実態をどう考えるのか明らかにされたい。
4-2. 米軍に、「夜間訓練の禁止、集落上空飛行」の禁止を強く申しいれること
安部首相は、昨年10月3日の衆議院予算委員会で、「住宅密集地や学校上空の飛行を回避するため、米軍と協力して必要な措置を講じていく考えであります」、「2016年7月に地元の村長や教育長から改善要請があったことは報告を受けております。政府としては、要請を受けた後、直ちに、米側に対し、集落の上空を飛行しないよう強く申し入れを行ったところであります」と答弁した。そして具体的な施策として、「パイロットが上空から住宅や学校が認識できるように、航空標識灯を設置した」と表明した。しかし、米軍ヘリはパイロットの顔が見えるような低空飛行を続けており、住宅や学校が認識できないはずはなく、このような施策だけでは不十分である。
安部首相が言及した、政府として行った米軍への申入れの内容を明らかにされたい。
今回の地元からの要請を受けて、再度、米軍に夜間訓練の禁止、集落上空の飛行禁止を強く申入れることを約束されたい。
4-3.高江地区での騒音調査を継続し、結果を速やかに公表すること
沖縄防衛局が行っているという東村内での航空機騒音の調査内容について説明し、その測定結果を明らかにされたい。
また、沖縄防衛局は、本年7月26日、東村高江で運用が始まったヘリパッドに離発着する米軍機の飛行ルートや騒音調査を始めて行ったという。具体的にはどのような調査だったのか? 調査内容について説明し、調査結果を速やかに公表されたい。
また、報道では、「この調査は継続的には実施せず、次回測定日は未定」とされている(2017,7.28 沖縄タイムス)。これは1日だけの調査だったのか? 継続的に調査を行うべきではないか?
4-4.北部訓練場での米軍航空機の運用にあたって、「自然環境・生活環境への影響を極小化させるために行ってきた申入れ」の内容を明らかにすること
本年8月1日に公表された沖縄防衛局の『北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称) 事後調査 報告書』では、「米軍に対し、MV22オスプレイを始めとする米軍所属航空機の運用の際には、北部訓練場エリアの自然環境、生活環境への影響を極小化するよう引き続き求めていく」とされている(9-11)。
ここでは「引き続き」とされているが、この問題について、今まで米軍にどのように働きかけてきたのか? また今後、どのように働きかけていくのかを明らかにされたい。
4-5.オスプレイを対象とした環境影響評価を実施すること
沖縄防衛局が実施した環境影響評価は、オスプレイを対象としたものではなかったため沖縄県知事は、再三にわたってオスプレイを対象とした環境影響評価を実施するよう求めてきた。
昨年11月、防衛局の一部返還の実施計画案に対する知事意見書でも、「今回返還が予定されている区域は、国立公園の指定が検討されていくものと考えているが、オスプレイが、絶滅危惧種等が生息・育成する当該区域の自然環境にどのような影響を及ぼすか明らかにする必要があることから、現在、建設が進められている4箇所の着陸帯の運用が開始される前に、オスプレイを対象とした環境影響評価を早急に実施すること」と求めている[3]。
これらの要望を受け、防衛省として北部訓練場のオスプレイ運用を対象とした環境影響評価を実施すべきではないか?
また、沖縄防衛局は、実施計画案に対する知事意見書、東村村長の意見書に対して、「沖縄県からオスプレイの実機による騒音調査についての要望もいただいており、米側と調整している」と回答しているが、この点についての米側との調整内容について説明されたい。
5.現在の工事内容、ヘリパッドの状況について
5-1.本年7月に再開された工事内容、今後の予定を明らかにすること
本年7月1日、沖縄防衛局はヘリパッド造成工事を再開した。この工事内容について質問する。
5-1-1. 昨年12月22日、N1地区の2ヶ所、H地区、G地区のヘリパッドは米軍に追加提供されたが、これら4ヶ所のヘリパッドで補修工事は行っていないか?
5-1-2. G地区から宇嘉川河口に下りる歩行訓練ルートの整備工事は行っているか? 行っているとすれば、工事内容を説明されたい。
5-1-3. G地区への進入路での工事内容を説明されたい。
5-1-4.FルートからH地区に至る「工事用道路」でなんらかの工事は行っているか? 行っているとすれば、工事内容を説明されたい。
5-1-5. 現在、ヘリパッド工事については、北勝建設、仲程土建との契約は本年3月31日で終り、本部造園との契約が9月30日まで続いている。この工事について工期延期の予定はないか?
また、2件の警備業務については、本年8月30日までの契約だが、工期延期の予定はないか?
5-2. 昨年のヘリパッド造成工事で不具合が生じた原因を明らかにすること
5-2-1. 本年2月22日の衆議院予算委員会で、防衛省の深山地方協力局長は、「本年1月、N1地区において、法面から水が染み出していること、そしてH地区においては、法面の張芝の一部がずり落ちていることが確認された」、「法面の一部を補修するとともに、水抜きのパイプを設置している」と認め、「このような不具合が生じたということは大変遺憾であるというふうに思っております」と陳謝した。
本件工事の特記仕様書では、着陸帯の盛土は、「盛土の締固めは、路床については一層仕上がり厚20cm毎、その他は30cm毎に十分に転圧する」とされているが、このような不具合は、工期の大幅短縮のために仕様書どおりの転圧が行われていなかったことから生じたことは明らかである。
防衛省として、このような不具合が生じた原因はどこにあったと考えているのか? 現場でのプルフローリング試験、現場密度試験等で何らかの異常は確認されなかったのか?
5-2-2. N1地区、G地区、H地区のヘリパッド本体部分では、本年2月に補修工事を行って以降、現在までに新たな不具合は確認されていないのか? 本年7月から再開された工事では、ヘリパッド本体部分の更なる補修工事は行っていないのか?
5-3. ヘリパッドの芝の枯死、周辺の立木が枯れている原因を明らかにすること
2015年9月、沖縄県環境影響評価審査会委員らのN4地区への現地調査で、着陸帯の芝が茶褐色に変色し枯死していること、ヘリパッド周辺の木の枝が枯れていることが確認された。同審査会の答申を受けた沖縄県知事の防衛局への措置要求でも、「芝の枯死の原因調査」、「排気熱の影響だけではなく、排気ガスに含まれる化学物質による影響調査」などを行うよう指摘されている。
ところが、報道によれば、昨年末に完成しオスプレイの運用が始まったN1、H地区のヘリパッドでやはり、芝の表面が黒く焦げ、周辺のリュウキュウチク等の木々が枯れているという(2017.7.19 琉球新報)。防衛省として、そのような現状を確認しているか?
防衛省として、知事の措置要求でも指摘を受けた「芝の枯死の原因調査」、「排気ガスに含まれる化学物質による影響調査」を行ったのか? その結果を説明されたい。
6.ヘリパッド建設現場周辺の現状回復措置について
6-1. 既存道路(Fルート)からH地区に至る「工事用道路」を撤去し、現状回復すること
昨年7月11日、沖縄防衛局は、当初の環境影響評価図書になかった工事用モノレールを設置するという環境影響評価検討図書を沖縄県に提出した。ところがそのわずか2ヶ月後の9月9日、防衛局は、工事用モノレール設置を止め、そこに延長1.5km、幅3.0mの「工事用道路」を造成するとした環境影響評価検討図書を県に提出し、工事を強行した。この「工事用道路」は実際には幅員3.0m以上に造成され、今も、資材の搬入等の工事車両が通行している。
当初の工事用モノレールは工事終了後、撤去するとされていたものである。しかし防衛省は、この「工事用道路」について、「工事終了後の対応についてはまだ決まっていません」と言葉を濁している[4]。
この「工事用道路」については、米軍に移管して軍用車両の通行に充てるのではなく、少しでもヤンバルの豊かな自然を取り戻すために、工事終了後、全て撤去して現状回復すべきではないか?
6-2. この「工事用道路」を撤去しないのであれば、G地区進入路と同じように全面的なやり直しを行うこと
この「工事用道路」は、完成を急いだために、樹木を伐採しただけで切り株等も残し、路床を整正・転圧することなく、大量の砕石を敷いて造成したものである。長期的な車両の通行に耐えるものではない。
同様の工法で施工されたG地区ヘリパッドへの進入路については、現在、砕石をめくり直して路床の不陸整正を行って新しく路盤材として砕石を敷き直す工事が行われている。この「工事用道路」を撤去しないというのであれば、当然、G地区への進入路と同じように工事の全面やり直しが必要となるが、どうするつもりか?
6-3. Fルート出口から約650mの国有林部分の「工事用道路」を現状回復すること
Fルート出口(N1裏)から北へ約650mの区域は、米軍への提供施設ではなく、1993年に返還された国有林である。沖縄防衛局は、2016年7月11日、沖縄森林管理署にこの区域を工事用道路とするために国有林野の使用承認申請し、同年7月14日、承認された。
ところが沖縄防衛局はこの区域を工事用道路としては利用せず、出口から100mほどの北の地点に大きなバリケードまで設置している。このこと自体が許可条件違反であった。
この国有林野使用承認の期限は、本年9月30日までである。ヘリパッド工事もその時期には完了するはずである。国有林使用承認書には、現状回復義務が明記されている(第14条)。沖縄防衛局は、国有林野使用承認申請の更新手続をとることなく、バリケード等を撤去し、この区域を完全に現状回復して返還しなければならないが、その予定を明らかにされたい。
6-4. その他の現状回復措置について
今回の工事箇所近くには、残土や余った砕石等が保管されているところはないか? また、山中には、有刺鉄線やフェンスが放置されていないか?
工事終了にあたっては、自然環境保護のためにも、これらの放置物を全て撤去する必要があるが、その予定はあるか?
6-5. 米軍車両を、県道70号線のN1ゲートからN1地区に至る旧林道(Fルート)を通行させないこと
県道70号線のN1ゲートからN1地区に至る旧林道は、途中で崩落箇所等もあり、大型車両の通行は危険である。沖縄防衛局の環境影響評価でも、このルートはヘリパッドへの進入路とは位置づけられていない。
防衛省として米軍に、今後、米軍車両がこの旧林道を通行しないよう申入れをされたい。
7.防衛局の返還実施計画について
7-1.県民の水瓶を守るためにも、米軍に返還地の土地の使用履歴を公開させること
沖縄防衛局は、昨年12月19日、北部訓練場の一部返還に関して、地主に土地を引き渡す前に実施する汚染除去作業等の実施計画(以下、「返還実施計画」)を発表した。
そこでは、国は、返還後1年~1年半に渡って、返還に係る区域において、「土壌の汚染状況」「水質汚濁状況」「不発弾その他の火薬類の有無」「廃棄物の有無」などを調査するとされている。
しかし、その範囲は、「①米軍車両の通行があった道路、②既存のヘリパッドおよびその周辺、③土地汚染等の蓋然性が高いと考えられる過去にヘリが墜落した箇所等」に限られるということが明らかになった。
しかし、今回、返還された区域の大部分は、県民全取水量の約55%を占める重要な水源である。汚染の状況によっては、県民生活に深刻な影響を与えることは明らかであり、可能な限り、綿密な調査が必要である。
そのためにも、約4,010haにもおよぶ返還地の調査にあたっては、米軍から土地の使用履歴を提出させることが不可欠である。防衛省として、米軍に返還地の土地の使用履歴の提出を求めたのかを明らかにされたい。
7-2. 枯葉剤の調査など、調査内容・範囲を拡大すること
防衛局が示した上記の調査対象箇所はあまりに限られており、不十分である。
これまでも、西普天間やキャンプ桑江の一部返還にあたっては、米軍は「記録が見つからない」「有害物質を埋立て処分したことはない」などと回答していたが、実際には鉛やヒ素などの有害な廃棄物が多数発見された。
特に北部訓練場で問題になるのは、ベトナム戦争で米軍が使用した猛毒のダイオキシンを含む枯葉剤を散布したという元米兵の証言である。1960年あら約2年間、北部訓練場とその周辺で枯葉剤を散布したという米陸軍元高官をはじめ、複数の元米兵らの証言もある(2011.9.6 沖縄タイムス)。また、同じ時期に枯葉剤を散布した元米兵のがん発症を米退役軍人省が認定している(2007.7.9 沖縄タイムス)。北部訓練場で枯葉剤が使用された疑いはきわめて強い。
この点については、今回の「返還実施計画案」に対する沖縄県の意見でも指摘されているが、沖縄防衛局は明確な回答をしていない。
防衛局は、枯葉剤の使用履歴の調査等、調査内容・範囲を大幅に拡大すべきではないか?
8.その他、いくつかの問題について
8-1. ヘリパッド工事により侵入した外来種の徹底的な駆除を行うこと
沖縄県知事は、ヘリパッド造成工事においては、外来植物の侵入を防ぐために、県外産の張芝を使用しないよう再三、求めてきた[6]。しかし、沖縄防衛局はそれを無視して県外産の張芝を使用し続けたため、造成されたヘリパッド周辺には多くの外来種が侵入してしまった。
なかでもアメリカハマグルマは、我が国の生態系等に被害を及ぼす恐れがあるとして外来生物法の要注意外来生物に指定されており、ヤンバルの貴重な生態系に深刻な影響を及ぼす恐れがある。N4地区ヘリパッド周辺において2014年以降確認され、防衛局は除去し続けているというが、その後も継続的に確認されている。また、スギナ、クズなどの外来植物も確認され続けている。
さらに、本年7月、新しく造成されたG、H地区ヘリパッドの芝に、県内に定着していないキキョウソウが生えていることも東村村議により確認された(2017.7.29 沖縄タイムス)。
このようなヘリパッド工事による外来植物の侵入は、沖縄県の要請を無視して県外産の張芝の使用を続けた沖縄防衛局の責任である。
沖縄防衛局は、外来生物については、「継続的に除去を続けている」というが(『平成28年 事後調査報告書』 4-2)、毎年、確認され続けており、このままでは増殖する恐れが強い。
こうした外来植物を徹底的に駆除するための具体的な方策を示されたい。
8-2. 自衛隊に北部訓練場を使用させないこと
防衛省の内部資料『日米の動的防衛協力』(2012年)では、北部訓練場を自衛隊が対ゲリラ訓練のために米軍との共同使用を計画しているとされている。米軍との共同使用は明らかに基地機能強化であり、許容できるものではない。その計画の具体的な内容を明らかにされたい。
また、自衛隊は現在すでに北部訓練場を使用しているといわれているが、現在の使用実態を明らかにされたい。
(以上)