9月29日(月)、午前中は辺野古の埋立承認に関する公文書の開示。午後は、平和市民連絡会(辺野古・設計概要変更申請の不承認を求める陳情)と高江ヘリパッドいらない住民の会(県道70号線N1ゲート前の座り込みの強制排除を許さない陳情)の県議会への陳情書提出、野党会派への要請行動に同行した。
辺野古の埋立承認に関する公文書の開示は大きな意味を持っている。昨年8月、沖縄県海岸防災課は、埋立承認願書の審査中に県の「法律顧問」(阿波連弁護士)に法律相談を行った。その報告書の開示を求めたところ、海岸防災課は、「意思形成過程の情報」「率直な意見の交換が不当に損なわれる」「不当に県民の間に混乱を生じさせる」として「非公開」としてしまった。そのため、沖縄県情報公開審査会に行政不服審査法に基づく異議申立てを行ったところ、審査会が訴えを認め全面公開の答申を出した。法律顧問の弁護士は異議を申し立てたが、結局、海岸防災課は答申に従い全面公開に踏み切った。それが今日開示されたのだ。
(開示された「報告書」の冒頭部分)
公開された報告書は、海岸防災課が「仮に埋立申請を不承認とした場合、国はどういう法的措置を取るか。」等を法律相談した際のものだ。いくつか気になったが、たとえば、反対を表明している名護市長の意見をどうするかについて、次のようなやり取りがある。
<県の質問>「公有水面埋立承認手続きでは、地元市町村長の意見を聴取することとなっている。名護市長は同計画に反対していることから、反対意見を提出することが想定される。仮に公有水面埋立法第4条第1項各号の免許基準には適合しているが、地元市町村長が反対していることを理由に不承認にした場合、国が是正の指示を行うことはありうるか。」
<法律顧問の回答>「当然ありうる。その際、地元市町村長が反対していることのみをもって不承認の判断をした場合には、当該事項は法令で規定される審査基準ではないことから、裁判所において、違法であるとの判決が出る可能性が高い。」
海岸防災課は、名護市長の反対をずいぶん気にしているようで、後の質疑応答の際にも、「公有水面埋立法の解説においては、地元市町村長が反対している場合にそのまま承認することは問題が生じるであろうと記載されているがどうか。」と再度、質問している。しかし法律顧問は、「解説にはそう書かれているかもしれないが---。地元市町村長が反対していることは、事情の一つであるが、不承認の直接の根拠とすることはできない。これのみを根拠として不承認とした場合は、県が敗訴する可能性が高い。」と答えている。まるで、名護市長の反対意見に屈するな!と言っているかのようだ。
しかし、公有水面埋立法第4条第1項各号の免許基準を全てクリアしていても、知事は総合的判断から承認を拒否することができる。法律顧問の解釈は、免許基準を公有水面埋立法4条第1項各号の枠に制限してしまっており、疑問だ。他にも、県に、不承認して国に裁判や代執行されれば大変だという印象を与えるところが多い。このような法律顧問の見解が、県に、不承認とはできない、国とは争えないという印象を与えたに違いない。
いずれにしろ、辺野古埋立承認問題は、その経過を県民に全て明らかにしなければならないことは言うまでもない。他にも、県議会の百条委員会で問題となった、審査過程の庁内メモ等がやはり隠されたままになっている。また、今回、防衛局から出された海底ボーリング調査箇所を示す文書なども非公開だった。そして今回の設計概要変更申請書も県は非公開にしてしまった。県は、辺野古埋立に関する全ての文書を公開しなければならない。
この公文書開示請求と審査会の答申の意味等については、下記のブログを参照されたい。
http://blog.goo.ne.jp/chuy/e/0940e3f96c884e03400e6fad7b93a86c