昨日(11月2日・火)は、具志堅隆松さんや宗教者グループの、沖縄南部地区からの遺骨混りの土砂調達問題について、設計変更申請を所管する沖縄県海岸防災課・辺野古新基地問題対策課との交渉に参加した。
私たちが事前に知事宛に提出した要請書は、「防衛局の設計変更申請に対する知事の不承認理由の中に、『南部地区の遺骨混りの土砂を基地建設の埋立に使用することは人道的にも認められない』ことを明記すること」というものだった。知事が設計変更申請を不承認とすることは間違いないとしても、そこで遺骨混りの土砂調達問題を不承認理由の一つとしなければ、今後、司法の場での争いとなっても、この問題はいっさい問えなくなってしまう。
この問題について、海岸防災課長らは次のように答えた。
・「(設計変更申請については)現在、ジュゴンへの影響、地盤の力学的調査等の必要性等について、環境保全及び災害防止に配慮した計画になっているかを厳正に審査を行っています。」
・「(不承認理由に)人道的に認められないことを明記せよとのことですが、審査基準に照らしてなかなか厳しい点があります。仮に、人道的に配慮して審査に反映させた場合、審査基準にないということですので、次の段階(司法での争い)になると怖いなと思っています。」
・「現時点では、どこから土砂を調達するのかは具体的に示されておらず、実際の採取場所は工事の契約段階で決まりますので、現時点では厳しい状況かなと理解しております。」
しかし、この県の見解は全く納得がいかない。
設計変更申請の審査基準には、確かに、「法で定められている条件」として、公有水面埋立法4条1項の「⑴国土利用上適正かつ合理的か(第1号)、⑵その埋立が環境保全及び災害防止について十分配慮されているか(第2号)など」がある。
県の見解は、この公水法4条1項2号の「環境保全及び災害防止」だけに着目したものだが、審査基準はそれだけではない。「通知に基づき審査する項目」として、「公益上の観点からの特別な事由の有無」を検討することも求められる。これは、「公水法4条1項各号にすべて適合している場合であっても、公益上の観点から免許すべきでないと判断される特別な事由はないか」というものだ。つまり知事には総合的な裁量権が認められているのだ。
遺骨混りの土砂調達問題は「人道的な問題」であって、まさにこの「公益上の観点」に該当する(また、7割以上が反対した辺野古新基地建設問題の県民投票の結果などもこの観点に含めることができるだろう)。県の見解はこの観点を全く無視したものである。
(11月2日の沖縄県交渉)
さらに県は、南部地区からの土砂調達問題について、「現時点では、どこから土砂を調達するのかは具体的に示されておらず、実際の採取場所は工事の契約段階で決まるので現時点では厳しい状況」と説明する。
これは、政府・防衛局の言い分をそのまま繰り返しているものであり、納得できない。確かに、設計変更申請は、「土砂調達が可能なエリア」を記したものだが、県がこの内容で承認してしまえば、南部地区のどこからでも土砂調達を認めたとされてしまうことは明らかである。
何故、県は、「遺骨が混じっている可能性の高い南部地区を土砂調達予定地から外すこと」と言えないのか?
<付記>なお、この日の交渉では、宗教者グループの方から、「遺骨混りの土砂を埋立てに使用するのは、公有水面埋立法4条1項1号の『国土利用上適正かつ合理的か』という審査基準に抵触するのではないか」という指摘があった。この点については県も「検討してみる」と回答した。