朝、高江から電話が入った。昨夜の豪雨でヘリパッド工事現場から大量の赤土が流出する事故が起こったという。送ってもらった写真を見て驚いた。揚水発電所の下の海が真っ赤に濁っている。
(ヘリパッド工事現場の事故のため大量の赤土が流出し、赤く濁った海(6月15日 Mさん撮影))
聞くと、朝一番に沖縄防衛局長が高江に来て、この事故について謝罪したという。早朝にわざわざ防衛局長が出向いてきたのだから、彼らにとってもかなり深刻な事態だったのだろう。防衛局の説明では、豪雨のため、H地区近くの「資材置場」から赤土が流出したとのことだった。防衛局は、その後、東村、沖縄県にも説明にまわった。
午後、県の環境保全課長に電話を入れて事情を聞いた。県には防衛局長ではなく課長が説明に来たという。その時点での県の見解は「たいした流出ではないようで、あれだけの豪雨だったから自然災害でやむを得ない。立入調査は考えていない。当面、措置報告書を出してもらう」ということだった。
しかし、調べてみるとこの事故は決して単なる自然災害ではなく、防衛局の赤土等流出防止条例違反行為にも起因していることが判明した。
この場所には、以前、揚水発電所を造成した際に発生した残土が置かれていた。防衛局は今回のヘリパッド工事に伴い、この場所の土の一部を道路工事に利用する計画を立てたのだ(当初は、あくまでも「土取場」であり、「資材置場」ではなかった)。当然、県の赤土等流出防止条例の手続が必要となる。
この資材置場での工事やG地区のヘリパッド工事に関する赤土等流出防止条例の事業行為通知書は昨年7月15日に県に提出され、県は8月31日に確認済通知書を出している。ところが、「土取場」の工事に関しては、下図のように、南東部のごく一部(900㎡)の土砂だけを取り、その後を侵食防止剤で吹き付け、周辺に小堤工を設置するというものだった。
下は、昨年11月18日、ある報道関係者がドローンで撮影された「資材置場」の写真である。最南部の一部だけではなく、南側の半分以上に重機が入って赤土が掘り起こされて裸地になっていることが分かる。県の確認済通知書の範囲を大きく逸脱しており、条例違反は明らかだ。
防衛局は、今回の事故により流出した土砂の量は「10㎥程度」と発表した。2013年1月、N4地区のヘリパッド工事の際、ヘリパッドの一部が崩れ、大量の土砂が流れて大きな問題となったが、その際でも「12㎥程度」という発表だった。今回の事故は決して些細な事故ではない。
防衛局は県に、「土取場の小堤工の一部が豪雨で崩れ、赤土が流出した」と説明したようだ。しかし、今回の事故の原因は、赤土流出等防止条例の許可の範囲を大きく逸脱した防衛局の違法行為にもその一因があることは明らかである。
何回か県とやり取りを続けた結果、県はなんとか「立入調査を求めたい」と表明した。今回のヘリパッド工事については、工期を急いだ結果の手抜き工事でヘリパッドの一部が崩れたりしていることが問題となってきた。防衛局も、「明日以降、詳細な調査を実施する予定です」と言うが、県も速やかに現地に入り、他の工事箇所についても問題が発生していないのかどうか、早急に調査すべきである。