政府は、大浦湾の地盤改良工事について助言する有識者会議を立ち上げる。大学の土木工学の教授ら10名ほどに依頼するという。
この有識者会議は、環境監視等委員会以上に、事業推進のための御用機関となることが明らかである。その問題点等については、8月24日のブログに詳しく説明したので是非、見てほしい。
岩屋防衛大臣は、27日の記者会見で、「専門家の意見を聞くことは非常に重要」と述べている(8.28 沖縄タイムス)。しかし、今さら「専門家の意見を聞く」とはどういうことか?
琉球新報が社説でも指摘しているが、そもそも本年1月30日の衆議院代表質問への回答で、「一般的で施工実績が豊富な工法により地盤改良工事を行うことにより、護岸や埋立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能である」と見えを切った。首相が断言したのだから、もう学者らの意見を聞く必要はない。また、3月には日下部治東工大名誉教授に鑑定書を依頼したばかりだ。それにもかかわらず、有識者会議を設置せざるを得ないというのは、いかに今回の地盤改良工事が困難なのかを示している。
さらに政府が検討を依頼しようとしている大学教授とはどんな人たちなのか?
下の表はいくつかの大学の地盤工学の教授らの出身を調べたものだ(各大学のHPより筆者作成)。多くの教授らが、建設省や運輸省の出身であることが分かる。大学教授といっても第3者ではないのだ。
まもなく有識者会議の委員が発表されるだろう。おそらくこの表の教授らにも委員就任を打診していると思われるが、少なくとも建設省や運輸省出身の教官らに委員を委嘱することは認められない。
さらに、環境監視等委員会の委員に辺野古新基地建設事業の受注業者から寄付金等が出されていることが問題となった。今回の有識者会議の委員もそうした企業からの寄付金を受け取っていないことが条件となる。