なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

原作漫画

2023年12月27日 | 

を読んだときは、自分的には結構な衝撃で、あーこれ、萩尾望都さん以来かも~~、とか考えてたんです。個人に起こる小さい問題が、実は大きな社会の課題とリンクしている感じと、あーこのテーマって凄く日本的だなあとも思えて。

 そもそもベリーダンスという奴ですが、これだけじゃないな、色々な国のカルチャーに、日本にいると(都市部限定かもではありますが)割と手軽にアクセスできるんですよね。ベリーダンスについていうと、まず、キリスト教圏では習うこと自体無茶そう。イスラムに改宗すんのか?みたいな大げさな話になりかねない、だけじゃなく、即差別につながる可能性すらある。このダンスを習ってる日本人がイスラム教信者になりましたっていう話も聞かないし、宗教だのなんだの、七面倒な事をすっ飛ばして、やってみたい、やってみた、ってできるのが日本の凄いとこで、更に言うなら、こういうお稽古事をやろうとすると、意外と手近に教えてくれる熟練者がいるんですよ。で、通える場所もあちこちにある。これはね、例えばアメリカなんか絶対無理で、治安の面もそうだし(夜間の教室なんか、考えられないでしょうね)、そもそもだだっ広すぎて教室なんか通えるはずない、って場所が99%でしょう。アメリカ人がやたらTVでスポーツ観戦したがるのは、他にやることがない、ヒマ人だからで、自分じゃなんも動かないし、動かそうっていう場所は遠すぎるし、教えてくれる人もいない、そりゃどんどん太るでしょうなあ。

 一方、第一話で朱里ちゃんが書く「結婚相手の条件」ですけど、読んでてあー当然じゃない、と。動物だってそうでしょ。より餌を獲ってこれそう、より縄張りをがっちり守りそう、そんな基準でメスはオスを選んでるし、愛だの恋だのって、寝言言ってんじゃないよ、だよね。オトコなんて、下手すると「20歳にして金を借りる」からさあ。アタシも学生の頃、研究室の同期男に「3千円貸してくんない?」と言われて逆上しましたけど。「どーせパチで使い込むんでしょうが。誰が貸すか」とは言ったけど、学園祭当日だったからしょうがなく貸しましたけど。土曜に貸して、月曜にがっつり回収。当たり前だっつの。逆に言えば、クズ男庄野が夢で言われる「あんただって、顔と若さだけでしょ~~~」というのも、まあ分かります。小西も言ってる「等価交換」て奴。あーあ。「直虎」に出てきた名セリフ「ババアになってしまう~~」と嘆く直虎さんに「案ずるな、そんときゃ俺もジジイだ」なんて言うオトコなんかいやしない、気がするわけよ。

 しかし、これじゃそりゃ少子化になるに決まってます。

 田中さんが追及してるのは、たまたまベリーダンスなんだけど、とにかく女が自分のために生きる事を中心に据えると、もう、オトコだの子供だのというのがかすんじゃうんですよ。あれもこれも、は、ほぼ不可能。これは男も実は同じですけど、子供については、とにかく明治以降はなんもしなくて済んでた。だから、男は女よりかはまあまあ楽勝だったかもしれない、のか?つい80年くらい前までは、8人の子持ちの夫婦なんか普通にいて、子供育てて人生使い切りました、って人が大半だったと思う。その辺が崩れてきたのが、実は昭和戦後で、子供はもう当時から1世帯当たり2・3人程度に減ってた(これもほとんど世間体対策ですよね、別に子供好きだからってわけじゃない)、にも拘らず、男はいつまでも稼がされて、従ってえばってて、というのを庄野の親世代の夫婦像が表してる。あれじゃあ、結婚にいいイメージなんか付かないですよ。ま、そもそも結婚自体が「世間体」でしたもんねえ。

 だから、むしろ、今ってかなり健全じゃないかとは思う。やりたい事をやって、その中で子供が第1位に必ずしもならないというのが本来のあり方だと思うから。でさ、子育てなんか、大変なら外注しちゃえばいいじゃん、とも思う。アジアでもどこでも、ちょっとお金がある家庭は、お手伝いさんが普通にいて、その人達が結構やってくれてるし。日本の「なんでも自前で」という文化も、昭和の産物だと思うんだけど(夏目漱石の小説なんか読むと、家庭内に書生だの女中さんだのって他人がわらわらいますもんね)、それこそ、女を便利品、無料家政婦扱いしてたってことで、そっちが異常ですよ。

 でね、趣味を持てとか、定年後のオジサン方が言われてますけど、日本のお稽古事の生徒さんって、ほぼほぼ女性ばかりでしょ。男は何してるのかよく分かんないんです。親世代は特にそうだよね。これも問題をすごく感じるんですけどね。

 とまあ、あれこれ考えさせられる。漫画なんだけど、下手な小説なんぞよりシビア。で、今現在って色々と過渡期なのかもなあと思わされるんです。


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