なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

クリッカートレーニング

2021年09月12日 | 仕事

という、動物の訓練法がある。これを知ったのは数年前で、鳥類臨床研究会で鳥とうまく意思疎通する方法として講演で紹介していて、感心して興味を持ったんです。鳥類臨床をやると分るのだけど、鳥、特にオウムやインコは地頭がいい、というか、人間チックなところがある。ので、こういう躾がかなり入りやすいらしい。

 ただ、このクリッカートレーニングは指示望む動作をするクリッカーを鳴らすご褒美のおやつ、という一連の仕組みが分かりやすいらしくて、どんな動物でもまあまあ応用が利く、というのが面白い。
 動物の躾、というのは要するに「人間にとって、有用・あるいは有利な行動をしてもらう」わけで、別に善悪を教えるわけではない。結構これを誤解してる人が多そうなんですけどね。動物に善悪感情なんかございませんから。で、クリッカーみたいな道具なんか使う意味ないじゃん、という考えもある。指示望む動作をするご褒美のおやつ でも別によさげでしょ。そうじゃない理由。特に鳥はとにかく動きが速い。えーと、あ!今いい行動をしてくれたご褒美、の前にその行動は消えちゃって、もう時効です、で終了、という場合が圧倒的多数。いい動作(例:体重計のハカリにちょっと乗っかった)の瞬間にクリッカーを鳴らすことで、時効じゃなくなるわけです。クリッカー=ご褒美っていうのを先に仕込んでおくことで、どうすりゃクリッカーが鳴るのか、を鳥が考えるようになる、これが意思疎通に役立つわけ。これを繰り返しつつ難易度を上げると、いずれはヤマガラのおみくじ引きみたいな高度な芸も仕込める。

 このクリッカートレーニングなんだけど、なんと、恐竜も仕込むことができるのだ。なあぜ?だって「ジュラシックワールド」に出てきたもん。このシーンにはびっくりしたよな、もう。まあ、鳥も恐竜の一種らしいから、躾できて当然かもしれんけど。スピルバーグ監督のチームが相当勉強してるのが分かって、かなり感心したのがこちら。

 使い方は間違ってる、というか、映画用演出って奴ですけど、方法論は、その通りだと。

 ということで、やってみる価値のある躾法だと思います。ちなみに、クリッカーはこれ。

 自分は馬に使ってますけど。あの人が分かってるのかは❓だけど、一々首を叩いたりしなくて済むから、こっちは楽ですね。動物に対しては、伝わりゃなんでもいいんで。


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