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■メイン写真
夕暮れの冷水山から北西の空を見る。雲が厚く覆っていた。
■今回のコース
5日 冷水山登山口→冷水山[幕営]
6日 冷水山→黒尾山→林道出合→安堵山→林道出合
久々のテント泊山行。
果無山脈を、龍神村側から十津川村側へと完全縦走する、2泊3日の山行とするのが
当初の思惑だった。
しかし、7日(日)の天気が大いに崩れる予報だったため、行程を短縮し、冷水山から西側を
1泊2日で歩くことにした。
そして現地に行って、幕営したまではよかったが、6日(土)、予報では夕刻から雨のはずが、
早朝から稜線はすごい強風と、霧が結露して木の枝から水滴が降り注ぐ状態で、
もはやこれは雨が降っているのと同じというコンディションだ。
雨雲レーダーにも雲は写っていないのに、山というところはこれだから(笑)。
パーティの装備や力量も考慮し、最終的に冷水山、黒尾山、安堵山とお手軽に3つのピークを
踏み、林道で待つクルマへと戻った。
歩き足りない気持ちはあったが、結果的にはこれでよかったのかもしれない。
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5日、果無山脈稜線のすぐ南を通る、広域林道龍神本宮線のカーブが広くなっている
ところに駐車する。取付き点には新しくハシゴがかけられていた。
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尾根道を一直線で、冷水山へと上がっていく。
途中、森林伐採の名残が多くみられる。おそらく索道が設けられていたのだろう。
伐採されたあと、植林されたわけではなく、その後再び自然林が形成されている。
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足元にはギンリョウソウ。今回はあちこちで咲いていた。
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30分もかからずに冷水山に到着。ここは果無山脈の最高地点で、一等三角点が埋まる。
北側、南側の両方とも、展望は大きく開けており、ともに幾重にも山並みが続いている。
果無山脈は山中1泊で完全縦走できるが、この眺めを見ると「果無」に来たんだなと
実感する。
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山頂の少し東側に平らな場所がある。ここにテント6張りを設営。
まだ不慣れな方も多かったので、設営を手伝いながら、いろんなノウハウ、コツを伝授した。
こちらも、初めて見るタイプを含め、いろんなテントの構造を実際に見ることができて貴重な
機会だった。
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テントは単に張るだけでなく、いかに快適な室内環境を作るかも大切だ。
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夕食をすませ、日が沈むと、気温が急に下がってきたので、早々に各テントに逃げ込む。
日が変わったあたりから風が強くなってきて、天幕がバシバシと音を立てて揺れた。
耳栓をしたものの、眠りはどうしても浅くなる。何度か夢を見ては目を覚ますのを繰り返した。
6日、4:30に起床。周りは深い霧。
強風は相変わらずで、フライシートには水滴がついている。
携帯電話の電波が入るのが驚きだが、雨雲レーダーを見ても、雨雲はなく、降雨は
18:00になってからだと出ている。しかし実質、ここは雨天同然の状態だ。
朝食は各テントで摂って、テントの撤収後、雨具を着て出発する。
この時点で、ともちゃんには昨日、車を停めた場所に下りてもらい、クルマを安堵山側の
林道出合に回してもらうことにした。
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我々は尾根を西へ、ヤマセミ温泉を目指して出発する。
満開のシロヤシオが目を楽しませてくれる。
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ブナやカエデ、ヒメシャラ、リョウブなどの落葉広葉樹の尾根道をわずかで、黒尾山に着く。
ここは眺望はまったくないが、おだやかな樹林に囲まれ、癒される場所だ。
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霧の中のミツバツツジ。なんとも幻想的な。
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強い風と霧雨の中、ブナに幹流ができていたので、しばし立ち止まって観察する。
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ブナやヒメシャラは、枝についた水滴は地面に振り落とさず、すべて根元に水をつたい流す。
幹を流れるその流れを幹流という。静かな流れは、なんとも美しい。
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一旦、林道に出あう。ここで、ともちゃんが回してきたクルマに、メンバーのテントやマット等を
下ろし、荷物を身軽にしたが、天候の回復は望めそうにない。
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3つ目のピーク・安堵山を目指し、さらに西へ。シャクナゲ群落では、まだ1輪しか花が
咲いていなかったが、ひとつでも見られたのはラッキー。
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安堵山に到着。
鎌倉時代の終わりごろ、後醍醐天皇の皇子・護良親王が鎌倉幕府に追われ、紀伊半島を
転々とした。
この山にも来られたようで、「ここまで来れば、もう追手もないだろう」と安堵したことが
山名の由来だという。
ちなみに粘菌学者の南方熊楠も、安堵山を採集のため訪れたことがあるという。
天気の回復が絶望的なので、ここで山行を中止することを決めた。
幸い、携帯電話の通話が可能なので、クルマで待機するともちゃんに連絡をとり、
先ほどの林道出合に戻り、ピックアップしてもらった。
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ヤマセミの郷で温泉に入ろうと思っていたが、開くのは11:00。
1時間半以上、待たなければならないので、龍神温泉へ転進することにした。
「日本三大美人の湯」として知られる龍神温泉。自噴46度の温泉は、ぬるっと感が抜群。
霧雨で冷えた身体を温めた。
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温泉から上がると、ちょうど昼頃になったので、すぐ先の道の駅龍神へ。
食堂で、猪丼などご当地メニューを楽しんだ。
予定変更の連続となったが、こういうときにつまらない山岳事故を起こしても仕方ない。
無理せず、余裕のあるうちに、楽しいアクティビティに振り替えるのが結局一番いい。
夕暮れの冷水山から北西の空を見る。雲が厚く覆っていた。
■今回のコース
5日 冷水山登山口→冷水山[幕営]
6日 冷水山→黒尾山→林道出合→安堵山→林道出合
久々のテント泊山行。
果無山脈を、龍神村側から十津川村側へと完全縦走する、2泊3日の山行とするのが
当初の思惑だった。
しかし、7日(日)の天気が大いに崩れる予報だったため、行程を短縮し、冷水山から西側を
1泊2日で歩くことにした。
そして現地に行って、幕営したまではよかったが、6日(土)、予報では夕刻から雨のはずが、
早朝から稜線はすごい強風と、霧が結露して木の枝から水滴が降り注ぐ状態で、
もはやこれは雨が降っているのと同じというコンディションだ。
雨雲レーダーにも雲は写っていないのに、山というところはこれだから(笑)。
パーティの装備や力量も考慮し、最終的に冷水山、黒尾山、安堵山とお手軽に3つのピークを
踏み、林道で待つクルマへと戻った。
歩き足りない気持ちはあったが、結果的にはこれでよかったのかもしれない。
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5日、果無山脈稜線のすぐ南を通る、広域林道龍神本宮線のカーブが広くなっている
ところに駐車する。取付き点には新しくハシゴがかけられていた。
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尾根道を一直線で、冷水山へと上がっていく。
途中、森林伐採の名残が多くみられる。おそらく索道が設けられていたのだろう。
伐採されたあと、植林されたわけではなく、その後再び自然林が形成されている。
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足元にはギンリョウソウ。今回はあちこちで咲いていた。
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30分もかからずに冷水山に到着。ここは果無山脈の最高地点で、一等三角点が埋まる。
北側、南側の両方とも、展望は大きく開けており、ともに幾重にも山並みが続いている。
果無山脈は山中1泊で完全縦走できるが、この眺めを見ると「果無」に来たんだなと
実感する。
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山頂の少し東側に平らな場所がある。ここにテント6張りを設営。
まだ不慣れな方も多かったので、設営を手伝いながら、いろんなノウハウ、コツを伝授した。
こちらも、初めて見るタイプを含め、いろんなテントの構造を実際に見ることができて貴重な
機会だった。
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テントは単に張るだけでなく、いかに快適な室内環境を作るかも大切だ。
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夕食をすませ、日が沈むと、気温が急に下がってきたので、早々に各テントに逃げ込む。
日が変わったあたりから風が強くなってきて、天幕がバシバシと音を立てて揺れた。
耳栓をしたものの、眠りはどうしても浅くなる。何度か夢を見ては目を覚ますのを繰り返した。
6日、4:30に起床。周りは深い霧。
強風は相変わらずで、フライシートには水滴がついている。
携帯電話の電波が入るのが驚きだが、雨雲レーダーを見ても、雨雲はなく、降雨は
18:00になってからだと出ている。しかし実質、ここは雨天同然の状態だ。
朝食は各テントで摂って、テントの撤収後、雨具を着て出発する。
この時点で、ともちゃんには昨日、車を停めた場所に下りてもらい、クルマを安堵山側の
林道出合に回してもらうことにした。
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ブナやカエデ、ヒメシャラ、リョウブなどの落葉広葉樹の尾根道をわずかで、黒尾山に着く。
ここは眺望はまったくないが、おだやかな樹林に囲まれ、癒される場所だ。
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霧の中のミツバツツジ。なんとも幻想的な。
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強い風と霧雨の中、ブナに幹流ができていたので、しばし立ち止まって観察する。
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ブナやヒメシャラは、枝についた水滴は地面に振り落とさず、すべて根元に水をつたい流す。
幹を流れるその流れを幹流という。静かな流れは、なんとも美しい。
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一旦、林道に出あう。ここで、ともちゃんが回してきたクルマに、メンバーのテントやマット等を
下ろし、荷物を身軽にしたが、天候の回復は望めそうにない。
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3つ目のピーク・安堵山を目指し、さらに西へ。シャクナゲ群落では、まだ1輪しか花が
咲いていなかったが、ひとつでも見られたのはラッキー。
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安堵山に到着。
鎌倉時代の終わりごろ、後醍醐天皇の皇子・護良親王が鎌倉幕府に追われ、紀伊半島を
転々とした。
この山にも来られたようで、「ここまで来れば、もう追手もないだろう」と安堵したことが
山名の由来だという。
ちなみに粘菌学者の南方熊楠も、安堵山を採集のため訪れたことがあるという。
天気の回復が絶望的なので、ここで山行を中止することを決めた。
幸い、携帯電話の通話が可能なので、クルマで待機するともちゃんに連絡をとり、
先ほどの林道出合に戻り、ピックアップしてもらった。
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ヤマセミの郷で温泉に入ろうと思っていたが、開くのは11:00。
1時間半以上、待たなければならないので、龍神温泉へ転進することにした。
「日本三大美人の湯」として知られる龍神温泉。自噴46度の温泉は、ぬるっと感が抜群。
霧雨で冷えた身体を温めた。
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温泉から上がると、ちょうど昼頃になったので、すぐ先の道の駅龍神へ。
食堂で、猪丼などご当地メニューを楽しんだ。
予定変更の連続となったが、こういうときにつまらない山岳事故を起こしても仕方ない。
無理せず、余裕のあるうちに、楽しいアクティビティに振り替えるのが結局一番いい。