2013,9,8(SUN)
春先から、ずっと小樽ライブ続きのSTAでしたが、久しぶりに札幌に戻ってきました。しかもここは初出演の「ススキノ810」。
市内でも老舗の部類に入る有名な地下ライブハウスの舞台に立つことができてまた一つ念願が叶いました。
場所は、札幌駅前通から中島公園に向かってまっすぐの右サイド、名前のとおりススキノど真ん中に位置する格好の超人気スポット。
なんとZEPP SAPPOROと向かい合っています。
たいてい店名に数字が入る場合は住所から命名する場合が多いのですが、「810」は社長の苗字からとったとのこと。
スタッフから聞いた話ですが「ブリヂストンと同じです(笑)」・・・・・なるほど。
今回は全6バンド、若手のオリジナル曲が中心のジャンルも幅広いバンド・イベントに参加するという形となりました。
タイム・テーブルもきっちりと分単位で組まれていて逆リハ。
STAの本番はトリ、リハーサルはトップ、つまり出演までの間が物凄くあるのでメンバー達は各自で自由行動。
事前に受け取った専用の用紙にセットリストや希望要項などをマサが記入して提出。
その内容に沿ってマイクの本数、特殊な機材の導入ある・なし、そして立ち位置最終決め、特にブラス隊は今回4人なので、事細かくホーンの親分ミツが指示。
25分のリハーサルも滞りなく完了。
出演バンドの中では「アルファジャーク」が春先のサウンドクルー以来の再会。
お互いの活動状況を語らいながら「見せてもらうね!」と和んでいました。
午後六時開場、六時半開演。
トップのバンド「PHAGAN」
ドラムレスの打ち込みマシーンでドラム・サウンドを演出して、フロントにESPの5間ベース&ギター、そしてボーカルの3人編成。
若いのにテクニックが驚愕もの。
ヘヴィーメタルのオリジナルですが速弾き、タッピング、正確なピッキング、そしてベースとギターの超絶技巧ユニゾンとなかなかに見せつけてくれます。ボーカルのハイトーンの伸びも見事、そしてメロディアス。ライブ後に楽屋でマサが「ビリー・シーン、ジョン・ミュング、ポール・ギルバートやイングヴェイが好きだろ!?」「わかりますか!!??嬉しいなあ、バレバレですね!」
彼らの自主制作CD-R15曲入りもプレゼントしてくれました(完成度高く、びっくりするほどの演奏力でしたよ。でも今後のライブ予定は未定とのこと。サウンドに似合わずシャイなMCのメンバー達が初々しい)
そしてお馴染みの「ALFA JERK」(810は2回目の出演)
ますます渋みを増したオリジナル・ソング。1曲目が始まった途端に「アルファ・ジャーク・ワールド」に皆が釘付けです。個人的にはオープニングのインスト部分で会場に背を向け黙々とリズム隊と向き合っているKAZUYA,そして2人のバッキングからギターが加わった進行の音色、コードワーク、リフを聞いていると意外なことに、まだソウルフルでヘヴィーサウンドだった頃の初期3人組GFRを彷彿としました。
ジャパニーズ・ロックに対するこだわりは相当で、歌詞が観客サイドにビシビシと突き刺さってきたり、物語の情景が脳裏に浮かんでくる曲の展開に流石と唸らされました。
練りこまれた楽曲作りの跡がよく伺える曲目にも感心させられます。
一語一語を大切に、淡々と歌い次ぐKAZUYA、そして単調に陥りがちなこのジャンルのバッキングが独特な色彩を放っているのがドラマーのMCで解明できたような気がします。
彼はサイド・プロジェクトでファンク・バンドでも活動しているとのこと。
よく跳ねるドラムのノリにベースもスラップなどを交えて、対抗。ほどよいグルーブ感でミックスされて一種独特の個性を発揮しているのだと思いますよ。曲間には今後のライブ告知もはさみ終了。更なるアクティブな活躍に期待します!
「SAKAZUKI」(810半年ぶりの出演)
このバンドはベース不在。シンが気づいたのですが、キーボードの女性がなんと右手でベースのフレーズも担当していました!
ヤン・ハマー並です。それをいち早く察知したシンも流石。フロントの2人が交互にMCをやり取りするのですが女性KBが「ポール・マッカートニーはライブ中に、一滴も水分の補給をしない」という話題を2度ほど振ってきたのが微笑ましい(ジョン・ウェットンもそうらしいです)。
ギター&ボーカルの男性がミネラル・ウォーターを口にする度に「自分はまだまだだな・・・・」
手数の多いドラマーを後方に従えてフロントのプレイヤー2人がポップなボーカルも担当。
「PASTELSHINE」
このバンドもドラマー不在で、リズムマシーンを駆使してオリジナルを披露。
ベース&ツイン・ギターのトリオ。
彼らの持っている楽器が垂涎もの。
G&Lにトム・アンダーソン、シェクターと通受けしそうなブランドです。
とても恥ずかしそうにMCを回しあっていましたが、思わず「頑張れ!」と声をかけて応援したくなっちゃいました。
トリ前は「SHALLOW HOT SPLINGS」
この日一番の爆音4人組。
ベースはエドワーズのブラック・フライングVを使用。
マサが「ハイ・スタンダードが好き?」と聞いたら「ハイ!大好きです!!」と元気な返事。
キャップを被ってそのものズバリのハイ・スタンダードT-シャツを着て熱演していたので思わずニンマリしてしまいました。エキサイティングなボーカルを筆頭にヤング・パワー全開(死語・・・)でステージはヒート・アップ。火傷しそうなくらいです。
負けてなるものかと、その余熱冷めやらぬうちに一丁、全曲シカゴでぶちかましに行ってみましょうか、S・T・A!!
***MEMBER***
MASA・・・B VO CHO
SHIN・・・KB VO CHO
KEN・・・DR VO CHO
NOBU・・・G
MITSU・・・TB PER
TATSU・・・TP PER
HASSY・・・AS PER
ASAKI・・・TS PER
***SET LIST***
1、INTRODUCTION
2、QUESTIONS67&68
3、LONELINESS IS JUST A WORD(孤独なんて唯の言葉)
4、~SATURDAY IN THE PARK
5、MAKE ME SMILE(ぼくらに微笑みを)
6、~TO BE FREE(今こそ自由を)
7、NOW MORE THAN EVER(愛は限りなく)
8、25OR6TO4(長い夜)
トップの写真でもわかるとおり、「810」はバンドの入れ替え中にスクリーンが降りてきます。
「HOT TIME」もそうでしたが、あちらはプロモーション・ビデオをそこに流してくれました。
「810」はというと、next performance the sapporo transit authorityの文字が鮮やかに映し出されていました。
粋な演出ですね。
セッティング中は会場からバンドの姿が見えないわけです。
BGMも1970~80年代のハードロック、L・A,METAL、NWOBHMなどの曲がガンガンと流れてきていやがうえでも血液を熱く沸騰させてくれます。
810以前この店舗は練習スタジオが経営されていたそうでその名残がそこかしこに見受けられます。
810もオープン9周年とのこと。床には白黒格子状デザインのタイルが張り巡らされていて、マサは一目見てあの新宿ロフトを思い出しました。そのことをスタッフに言うと「たまに言われますよ」。やっぱりね。
会場右側のドリンク・カウンター前を通過してまっすぐ通路を抜けて(写真2枚目)右サイドにトイレ、左が楽屋ですが壁にはズラッと弦楽器専用ネック・フックが付いているのが親切です。これがあるおかげでギター・スタンドでの倒れ防止にもなるし床スペースも有効利用できるわけですから。
ちゃっかりとミツまでもがトロンボーンをこのフックに引っ掛けて展示(!?)していました。これ、けっこう違和感ないね。
この日のSTAは直前までバタつきましたが久しぶりの8人編成に落ち着き、ペットのタツが戻りサックスはアルトとテナーの2本立て、ハッシーが半年ぶりの返り咲き。
アサキ嬢とハッシーは大学ジャズ・サークル先輩・後輩の間柄です(暇を見ては2人でミーティングしていました)。
「イントロダクション」のイントロが開始されたとたんにあちこちから歓声が上がります。
この一声があるだけでどれだけ励まされることでしょう。
単純な私はもうこれだけで、ボルテージが上がっちゃいます。
この曲も紆余曲折を経てここまでたどり着きましたが、ようやくメンバーみんなの体にも幾分馴染んできた様子です。
思い返せばまるまる1年、去年の10月ご本家シカゴ東京公演を見た次の日に「ホット・タイム」で初演奏してからオープニングのポジションを他曲に一度も譲らないで当たり前のように演奏し続けてきました(浅草橋の日のマリンフェスタを除く)。
ヒット曲でもないのに、 STAにとってこんな曲、他には見当たりませんね。そのくらいに並々ならぬ思い入れのこもったシカゴの中でもSTA
全員が大好きな、そして何度演奏してもいまだに新しい発見のあるやっぱり鳥肌の立つテリーの名曲です(もちろん他の曲だってお気に入りだらけです)。
観客に向けて改めてのご挨拶、今日のライブに対する喜びを語って
「クエスチョンズ67&68」に突入。
しかし、サックスの若者2人組は大したものです。
だってこの810に向けてのスタジオ練習には彼ら一度も参加せずのぶっつけ本番なのですよ。
しかもハッシーは前夜に「スコアを紛失しました・・・曲目教えてください」とマサにメール。
なんとか事無きを得ましたが、さすがにハッシーは会場一番乗りで黙々と一人でイメージトレーニングに励んでいました。
アルファ・ジャークのメンバーから事前に「今日は新しい曲をやりますか?」と言われていたのでそのことをMCに絡めつつ
「孤独なんて唯の言葉」。 ケンによる「1・2・3!1・2・3!!」から全員一丸となってのイントロ、続くトランペット・ソロあたりは先読み不可能のスリリング進行ゆえに声援が飛んできます。
こいつは今まで何度も解説しましたが、ロックというよりももろにジャズ、しかもファスト・ワルツ。
通常のロック・ミュージシャンにとっては過激なくらいに馴染みの薄い演目です。
そして演奏するのも1年半ぶりだろうか・・・・?
そのときはシンとも初対面で彼が「おおおお!!」と雄叫びを客席から上げた思い出があります。
それを今はシン自身が歌ってハモンド・ソロを見事にこなしています。シン加入前はノブによるギター・ソロでしたが現在ではオリジナル音源にならってシンがボビーのジャジーで都会風なフレーズを完コピ!。ソロの入口と出口のグリッサンドのタイミングまで再現。間髪いれずまたボーカルですからシンの一人舞台。真面目にコツコツと鍛錬した甲斐あって報われました、無事完奏おめでとう!
感無量ですなあ・・・。この3拍子やイントロダクション、他の変態まみれな難易度強の曲達を演ずるSTAに感嘆の拍手を送ってくれました。
特に対バンの技巧派リズム担当者からお褒めの言葉をいただくと倍嬉しいですね。実際ステージの我々はいつでも崖っぷちギリギリ状態でキモ冷やしながらやっているのですよ。
そこを涼しい顔している風に振舞うところだけは年季の賜物かい。
前方に一礼してから「今日は日曜日ですが土曜日の曲をおおくりします、サタディ・イン・ザ・パーク!」
お約束ピアノ・イントロに合わせての手拍子。一見軽快なポップソングに聞こえるこの曲も一筋縄ではいかない部分はあちこちにあります。
メンバーそれぞれに各曲、鬼門というものがありましてパートによって意見は様々。
それこそコピーし始めの頃なんかは「これはガッツリ、ガチで構えて考えながら演奏に集中しないとやばい・・・とてもじゃあないけれどコーラスまでは無理。ましてや動き回るなんて絶対ダメ・・・」と思っていてもいつの間にやらどうにかなっているものなのです。人それぞれに向き不向きの誤差は多少ありますが。
大抵、ライブ中はこのあたりでエネルギーも消耗気味になるのですがこの日はすこぶる調子がいいみたいです。
ライブ会場はほとんどが喫煙オーケーで、イベントも終盤ともなれば場内に霞がかかるほどに。これが嫌煙家にとっては厄介な種。
余計なストレスを被ります。ボーカリストなんかは喉に物凄い負担がかかります。
810も喫煙オーケーなのですが、換気が行き届いているのでいつまでたっても澄んだ空気が味わえこれが好調の一因なのかもしれませんね。
「ロンリネス・・・」でハッシーは「比較的、演奏は楽にいけますよ」と語っていましたがお次の曲は相当に苦労したようです。
彼に限らず経験者は全員が同じセリフを吐いています「ぼくらに微笑みを」。
でもこの日は目立った事故が(ミスのことね)勃発しないね。
アサキ嬢に「STAでは初共演のサックス相棒のハッシーはどうだい?」とマサが尋ねると「音のでかさにはビックリしました!!」。
そのアサキ嬢は今までの黒髪ストレートから茶髪パーマに大変身。
ロックっぽいルックスにイメージ・チェンジしたけどよく似合っていますね。
組曲メドレー「今こそ自由を」
ころころと表情を変える曲の流れに観客が聞き入っています。ケンのエネルギッシュなドラム・ソロからタツが先導するブラス隊のリフ、マサとトロンボーンによるエスニック調ユニゾン・ラインへ。
これを通過後、マサとミツはお互い向き合って右手を高々とあげてハイタッチ。
これはシカゴのジミーとジェイソンがコンサートで必ずやるリアクションなのです。(その後2人は何やらヒソヒソと笑顔で語り合うのですが)そんな中、ケンのフロア・タムによる地響きドラミングから盛り上げて「愛は限りなく」へ。
エンディングまでよくぞハッシー、アサキ嬢は迷子にならずについてきました。
「さあ!泣いても笑っても最後です。もう10時はとっくに過ぎているからここらで極上のミッドナイト・ソングをぶちかましてみたいと思います。邦題は・・・長い夜!25OR6TO4!!!」
シカゴのなかでもトップクラスのワイルドでハード・ナンバーなのですが、比較的ブラス・セクションのリフは楽なんだそうです。ギター・ソロではけっこう休めますしね。
ところはそこのとこは楽させてはくれません。マサからブラス隊にパーカッション・プレイ指令が発令されているのです。
アサキ嬢とタツにはマラカスとタンバリンが配られます。
ハッシーは自前の卵マラカス(!)、ミツは輸入物のウッド・ブロックを持参。
これらをフルに駆使してギター・ソロを盛り上げてくれました。
ラストはマサのジャンプでフィニッシュ。
「最後までのお付き合い、サンキュウ!また会いましょう!!S・T・Aでした」
小さなトラブルや、ヒヤッとしたラフな場面にも幾つか出くわしましたがまずは上々の出来だったのではないでしょうか。
810スタッフからも「長い夜、良かったです!!」と声をかけていただきました。
楽屋に引き上げたらさっそく興奮状態のアルファ・ジャークが「YEAH!!」と駆け込んできて握手、握手。
バンド名刺やメルアドなどの交換を済ませて近い将来の再会を固く約束しあいました。
ジャズ人間3人衆のミツ、ハッシー、アサキ嬢はこのあと、プチ打ち上げ。
1ステージを終えてもSTAの連中はすこぶるにこやか。
初期のSTAならバテバテで、がおった表情があちこちに見受けられたものでした。体力温存のためにMCに工夫を凝らしたり、セットリストも比較的バテないようなブラスロック以外の曲を羅列したりしてけっこう余分なストレスを感じたものです。
今のメンバーらは強烈な全曲シカゴを立て続け間髪入れずにぶっ飛ばしても根をあげません(かなりキツいに決まってるのに)。
負けず嫌いなのと、ミュージシャンとしてのプライドにかけて突っ張っている、これは粋なこと。
もちろん地道な努力を怠らず、でもそれらをお首にも出さずに能書き一切なし。頭でっかちなバンドマンが溢れかえっているこの御時世、見習いたいものですなあ。
これからも、ぬるま湯に浸かることなく、ドンドン難題に立ち向かっていきたいと思います。2013年のライブ日程も全て出揃いましたのでそれに照準を合わせて突き進んでいきますよ。
SPECIAL THANKS TO・・・MIKI&HITOMI&MEGUMI&KEI&MR、ENDOH&MR、USUI&MR、MORI&MR、NAKATA&MR、SOHMA&MR,AKIYOSHI&THE BULLET ANTZ&KAZUYA&ALFA JARK!!!