2013,12,14(SAT)
比較的温かな毎日を送っていたのですが、やはりというか当然のごとくいきなり降ってきましたね。
遂に寝雪、また厳しい冬との日々到来です。予防接種も済ませて準備万端。
本年度の集大成ライブを無事に終えることができました。現時点でのSTAが持ちうる力を全て出し切るべく慎重にプロデュースされたイベントです。
場所は札幌の隣町「岩見沢」。札幌は石狩ですが、この町は空知という区域に属します。岩見沢では以前にライブを行った際に今までの常識では考えられないほどの嫌な思いをしたのでもう2度と演奏はしない予定だったのですが、そうです!「SOMETHING 」という岩見沢駅すぐそば、繁華街のビル内にて営業している良心的な老舗ライブ・バーがSTAにお声をかけてくれたのです。もちろん2つ返事で出演実現!
2度目のLIVE AT SOMETHINGです。STAが初めてこのステージを踏んだのがちょうど2年前の12月。
忘れもしないその日は超がつくほどの大雪でした。
だから今度もメンバー達で「絶対に雪が降るぞ!」と予想していたのです。ところがライブ当日の札幌は太陽サンサン輝いて、ポカポカ陽気。
のんびり機材&楽器類を車に搭載して12号線を一路、岩見沢へ。
札幌を出てだんだんと隣町が近づくにつれて「あれれ・・・?」空模様が変です・・・。
遠くの上空が渦巻いてだんだんと突風が。岩見沢にさしかかった時点ではもう情け容赦なく猛吹雪が襲いかかってきました。
前方の車たちがのろのろと走行しているので、追い抜き先頭に出たのが間違いでした。自分の車が道路のどの位置、センターライン、ガードレール、側溝などがまったく把握できないのですよ。もちろん対向車も信号機も目前になってやっと判断できる恐ろしさ。
さすがは道内豪雪地域トップクラスの岩見沢です、御見それしました。(メンバーの中ではこの日、車をぶつけられて泣く泣く代車で駆けつけた者もいました、お互いに気をつけましょうね。といってもこっちが慎重に運転していても相手から突っ込んでこられたらお手上げですが)
2013年の締めくくりにふさわしい内容&場所。申し分のない条件で臨んだSOMETHINGに向かうべくエレヴェーターのボタン4階を押します。
丸2年ぶりとは思えないほど、相変わらず若々しいマスターがにこやかにカウンターで出迎えてくれました。本当にビックリするほどマスターは元気いっぱい、心配りもこちらサイドが恐縮しちゃうほどに行き届いています。マスターのバンドメンバー達がすでにリハーサル中だったのですが、ベースのイサム君が穴場のパーキングまでわざわざ同行、案内までしてくれました、嬉しいなあ。
この時、イサムさんが私とは以前2度ほど会っているとのことを聞かされて驚愕しました。
私のお客として楽器を購入してくれたこと、またあの旭川ヴィークルズとも親しくしているとのことで、タイバン時のSTAライブも観ているそうです。
さあ、メンバー達も続々と入店。
STA2度目の出演といっても3人を除いて他のメンバー達は初出演、もしくはパート別や他のバンド出演経験ありといった感じです。
いずれにしてもマスター、サムシング・バンド、観客のみなさんからは前回とは比べモノにならないほどに今回のSTAは良かった!と絶賛してくれました。まあ我々にとっては反省点山積み(大半は自分たちにしかわからない部分がほとんど)なのですが、褒められて嬉しくない人間はいませんからね、単純に素直に受け取って今後の糧としましょう。
いつものライブとは違い、この日はSTAが2部構成で演奏。まずは夜7時開店、8時よりマスター率いるSOMETHINGバンドの開演です。個人的にはこちらも観れるのを楽しみにしていました。
ベテラン・ミュージシャンのマスターがギブソンのセミアコースティック・ギターを手にステージ中央へ。
このいぶし銀バンドもメンバーを一新、ギタリストは札幌からサポートに駆けつけてくれたそうです。マスターの人徳ですね。
マスターから簡単な挨拶、STAのこと、NEW・SOMETHINGバンドのこと、天候のこと。
この店はディスプレーもBGMも徹底的に1970年前後一色に彩られています。往年の洋楽ファンにとってはたまらないスペースですよ。この場に一歩でも踏み込んだら、誰でも当時の世界観に浸れること請け合いです。
SOMETHINGバンドのレパートリーももちろん誰でも一度は聞いたことのあるおなじみのナンバーばかり。
1曲目はステッペン・ウルフ「ワイルドで行こう」。オリジナル音源を忠実にコピーしているところが好感もてます。イサム君のジャズ・ベースもグイグイとグルーブ全開。
常連のお客さん達からも歓声があがります。
曲間ごとにマスターから丁寧な、かつ曲の邪魔にならない程度のMCが挟み込まれます。このさじ加減が難しいのですよ。とても勉強になります。
ワイルド・サウンドの次に控えしはカラッとした爽やかサウンド。イーグルス初期の代表作「テイク・イット・イージー」
気楽にいこう!と余裕のパフォーマンス。
2年前にはこれまたイーグルス初期の名バラード「ならず者」を熱唱してくれましたっけ。
3曲目、またガラッと雰囲気を変えてドラマティックにプロコル・ハルムの傑作「青い影」
イントロのハモンドが流れた途端にサイケデリックの匂いが漂いはじめます。
そして4曲目、今年のB・N・Pが新たに導入したサンタナ「ブラック・マジック・ウーマン」をSOMETHINGバンドも取り上げていました。
レスポールを抱いたギタリストがカルロスばりに官能的なソロを決めまくってくれました。あの焦らし気味、タメの効いたサスティーンが効果的。
中盤ではCCRを2曲。
「雨を見たかい」「プラウド・メアリー」
文句なしにのれるスタンダード中のスタンダード。
いやはや次々に飛び出してくる名曲群にノックアウトされっぱなしです。
後半に差し掛かったところで、グッと渋くエリック・クラプトンの泣けるギターを堪能できる「ワンダフル・トウナイト」。
さあ、唯一の邦楽から景気の良い「銀座のカンカン娘」を。
この曲は高峰秀子主演映画のタイトル・ソング。カンカンってパンパンに対して「カンカンに怒っている」という映画監督の造語だそうです。
カンカン帽もそうなのでしょうかねえ?私はこの曲を聞くと名作邦画「幸福の黄色いハンカチ」中で赤いファミリアが悲別ロマン座に差し掛かった際に屋外広場で歌われていたシーンを思い出します。
そしてあっという間にラスト・ソング。
国道12号線ではなくアメリカの国道66号線、つまりは「ルート66」です。
ローリング・ストーンズ、ジョニー・ウィンター、ボブ・ディランなど多くのミュージシャンたちが取り上げている有名な曲で締めくくってくれました。(欲を言わせていただければ「黒い炎」を聞きたかったなあ)
十分にステージを暖めていただき、午後9時よりSTAの長丁場がはじまります。一日での2ステージは小樽でも場所移動しての経験は毎夏経験済みですが、1個所でごくわずかのインターバルを挟んでしかも時間が40分以上を2回というのはSTA史上初です。2年前のSOMETHINGでは2ステージの各時間が短い・・・と一部の観客から言われたもので(あの時のメンバーの顔触れではあれが限界でした)今回は強烈なセット・リストをシカゴを中心にたっぷりと組ませていただきました。このライブは貴重だと思います。だってこの曲達が立て続けに披露されるわけですからね。数年前までのSTAでは絶対再現不可能な曲目です。去年の秋からずっと一貫してシカゴ・オンリーで疾走してきたSTAが遂に他のカバーを多数披露するというのも一興。
先月の札幌ライブでSTA初体験の女性が、一気にシカゴ&STAの大ファンになり、わざわざ岩見沢にまで応援に駆けつけてくれました。しかも美味しい差し入れ持参で!
***MEMBER***
MASA・・・B VO CHO
KEN・・・DR VO CHO
MITSU・・・TB PER
TATSU・・・TP PER
SHIN・・・KB VO CHO
NOBU・・・G
PAPPA-FUKI・・・TS
DAISUKE・・・AS BS PER
===GUEST===
MIKI・・・VO CHO PER
***SET・LIST/PART1***
1、INTRODUCTION・・・CHICAGO
2、QUESTIONS67&68・・・CHICAGO
3、OLD DAYS(追憶の日々)・・・CHICAGO
4、~FREE FORM INTRO・・・SHIN
5、~DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS?(一体、現実を把握している者はいるだろうか?)・・・CHICAGO
6、CANON(聖典)・・・CHICAGO
7、~SATURDAY IN THE PARK・・・CHICAGO
8、FEELIN' STRONGER EVERYDAY(愛のきづな)・・・CHICAGO
9、~SOMEDAY,AUGUST29,1968(流血の日、1968年8月29日)・・・CHICAGO
10、~GIMME SOME LOVIN'・・・BLUES BROTHERS BAND
11、MAKE ME SMILE(ぼくらに微笑みを)・・・CHICAGO
12、~TO BE FREE(今こそ自由を)・・・CHICAGO
13、~NOW MORE THAN EVER(愛は限りなく)・・・CHICAGO
年末押し迫る中でのスタジオ練習だったので、なかなかメンバー達のスケジュール調整がつかず、ついに全員揃うことはかないませんでした。
しかも久しぶりの曲達に2部構成。
いずれにしてもこのギリギリ感が快感なのです。思わずマサはシンに言ったものです「さあ、今日のステージでは一体どれだけのハプニング・ドラマが繰り広げられるのだろうか?」
午後9時ちょうどにセッティング完了のSTAがスタート。
まずは軽くマサから久しぶりSTAサムシング・ライブに対する喜びのメッセージを。
すかさずノブのギター・カッティングに乗ってマサによる豪快なるナレーション。
この時点でSTA初体験の人達は「一体、何が飛び出すんだろう!?」と期待と不安が入り混じった顔、顔・・・。
そこはそれ、もうオープニングの定番ともなった「イントロダクション」を遠慮なくぶちかましてみました(SOLO/MITSU&TATSU&NOBU)。
しょっぱななので多少の固さは否めませんが、シンいわく「この曲、今回物凄くまとまっていたね」とご機嫌。
まあ、序盤にしてはたいした事故もなく乗り切りました。ブレイク部分もバッチリはまっていたし、何といってもここのミキサーのボーカルにかかるリバーブが程良い広がりを演出していて申し分なし。
そしてキーボード、ギターはじめ、ほぼ全体に音がスムーズに聞こえていたのも強みです。
ノブとタツはゴヘイ・バンドでサムシングには定期的に出演しているので、慣れたもの。
特にカウンター周辺に陣取っている我々と同世代の男性陣からはSTAに熱いエールを送ってくれます。マサが曲間で説明するウンチクや一挙手一投足に敏感に反応してくれます。感涙、むせび泣いていただけましたか。
「クエスチョンズ67&68」でもそれは同じこと。
多少荒れ気味な演奏もご愛嬌。
勢いの方が勝っています。中央に陣取ったミツ、タツのホーンを中心にダイスケ、ナベも追随してきます。
「オールド・ディズ」 さりげなく聞いた感じでは、シカゴにしてはわりあいサラッとプレイしているように聞こえますが、聞くとやるとでは大違い。ブラスの音域はかなり高く、しかもいきなりグイッと上がる個所が難易度強だそうです。そこを頑張っても観客サイドにはよほどの人でなければ理解してもらえないという切ないパートでもあります。 そこから懐かしい哀愁のシンによるピアノ・ソロが復活。
やはりいいものですね、鍵盤の響きは。
以前のサムシング・ライブではキーボードがSTAには在籍していなかったので夢のようです。
そしてSTAお気に入り「一体、現実を把握している者はいるだろうか?」(SOLO/TATSU&MITSU)
ダイスケは曲のイメージに合わせてアルト、バリトンと頻繁に持ち替えています。なかには曲中で持ち替えていることもあります。それはタツも同じでハードな曲、ソフトな曲によってさりげなくマウス・ピースを付け替えています。
練習時、綿密にブラス隊が輪になって打ち合わせした通りの効果を発揮しているのではないでしょうか。
ここらへんのコミュニケーション意識の高さも初期STAでは悲しいかな、ありえませんでしたね・・・。
次いでホーン隊一番のデリケートな難関「キャノン」です。一時はライブの固定曲になりつつありましたが流れ上、棚上げされていたのです。この日のために久しぶりに復活。実は管4人が集まってまともにこの曲を吹いたことはないのですよ。だからサムシング入りしてからもブラス・メンバー達はとてもこの曲をリハーサルしたがっていました(会場にブラス4人がとても早く揃ったのもビックリでした)がそれもかなわずじまい。
結局、ぶっつけ本番ということに。
マサがMCでつないでいる間中、ミツが中心になってカウント、テンポ、イメージを膨らませてナイス・タイミングで吹き始めました。
結果・・・素晴らしい!!なんてピッタリなんだろう。4人が個人、個人でじっくりまじめに取り組んできたことが自然に伝わってきましたよ。
たいしたものです、貫禄充分、拍手喝采です。
シンのピアノが奏でる「サタディ・イン・ザ・パーク」
全員が手拍子を打ってくれるのはお約束。とてもキャッチーなメロディなので老若男女に受けがいいです。
前回のサムシングでは叶わなかったこのミリオン・ヒットが演奏できてホッとしました。
シカゴⅥからのファースト・カット「愛のきずな」
こんなに大好きなシカゴの曲を遠慮なく続々と演じられるなんて我々は幸せ者です。観客もバンドマンから年配、若年層までとバラエティに富んでいてライブ中にもひんぱんに入店してきます。
マイク・トラブルもありましたが一種独特の硬派な楽曲「流血の日」をここに持ってきました。この曲からマサにかわりシンがリード・ヴォーカルを担当。
中音域のマイルド・ヴォイスの持ち主でもあるシンは歌メロ、ピアノ・プレイにいたるまで真面目な性格がにじみ出るほどにそっくり再現しています。シンの独壇場。
メドレー部分で少しもたつきましたが、無事に「ギミ・サム・ラヴィン」に突入。
アップテンポのこの曲で初めてシカゴ以外のバンドをカバー(シカゴも1984年の来日公演ではこの曲を演奏していましたが)。
エンディングの「ヘイ!!」もピッタリ綺麗に決まりました。散々しつこく練り上げた甲斐がありましたよ。
そして第1部の最終局面「僕らに微笑みを」(SOLO/NOBU)。
かなり疾走気味でブラス隊にとっては辛いことになりましたが、頑張って乗り切り、すかさずマサのカウント「1・2・3・4,1・2・3・4!!」から「今こそ自由を」のインストウルメンタル。ケンのスネアを軸に据えた高速ドラム・ソロに導かれてアクセントが曲者のバッキングに被さるようにブラス・セクションが流麗に響き渡ります。そして突如としてやってくる(笑)マサのベース&ミツのトロンボーンによるユニゾン・ライン。
マサがピックを持っているので今回からは大成功の印「イエ―!!」の2人によるハイタッチは右手の拳同志で実現(まったく段取りなしで暗黙の了解ということで)。次に何が出現するのか予測が難しい組曲なのでそれを克服した時の達成感といったら天にも昇る程の感覚です。
スティック・トラブルもバスドラム・ワークで難なく乗り切り(かえって効果を発揮して盛り上がっていました)最終楽章の「愛は限りなく」。
ヴォーカリスト3人による至福の愛を讃える儀式を通過後は、ファンファーレ調のエンディングに雪崩れ込みフィニッシュ。
なんとか前半戦を終了しました。
前の席に座っていたお客さんは多分、曲は知らないと思いますが身を乗り出して一生懸命にリズムやアクセントを追って食いついていました。お疲れさまでした。
STAも観客達もハードブローな空気にどっぷりと包まれていたので、頭を冷やす意味で第2部は午後10時開始。
***SET LIST/PART2***
1、I CAN’T TURN YOU LOOSE(お前をはなさない)・・・THE BLUES BROTHERS
2、~PICK UP THE PIECES・・・AVERAGE WHITE BAND
3、~I WISH(回想)・・・STEVIE WONDER
4、IF YOU LEAVE ME NOW(愛ある別れ)・・・CHICAGO
5、~VEHICLE・・・IDES OF MARCH
6、ALIVE AGAIN・・・CHICAGO
7、~GOT TO GET YOU INTO MY LIFE・・・THE BEATLES
8、LONELINESS IS JUST A WORD(孤独なんて唯の言葉)・・・CHICAGO
9、~BEGINNINGS・・・CHICAGO
10、FREE(自由になりたい)・・・CHICAGO
11、~25OR6TO4(長い夜)・・・CHICAGO
:::::ENCORE:::::
12、PETER GUNN・・・THE BLUES BROTHERS BAND&SARAH VAUGHAN
体もいい塩梅にほぐれてきた頃に、後半戦。
第1部は1曲を除いてシカゴ・オン・パレードでしたが、第2部の前半は特別コーナーを設けてみました。
シンがリーダーを務めるSTAファミリーでもある極上のポップス・バンドB・N・Pの歌姫、ミキ嬢をゲストに迎えて盛大にはじまりました。
この企画によってSTAが長年敬遠気味だった曲達が蘇りました。
STAのライブにこれほど女性ボーカルをフューチャーした試みは初です。
彼女に希望曲を遠慮なく募ってもらい、それら全てを組み込んで形を整えました。
びっくりしたのは数回の練習のみなのに本番では歌詞を全て覚えてきて、(STA過去のボーカリストでこういうことを出来た者は皆無です)しかもノリに任せてナチュラル・ダンス気味に溶け込んでいたことです。MCまで交えて博多弁を披露する余裕まであるんですからね。
まず開巻に控えしは「お前をはなさない」のインスト小曲。オリジナルには歌詞もあり、ブルース・ブラザース・バンドではダン・エイクロイドの早口バンド紹介が挿入されていますがSTAは若きエース、ダイスケのアルト・サックスによる切れ味鋭いソロが大音響で炸裂。
連動して我々のリフもいいグルーブを引き出していたと思いますよ。この曲、2コードの単純構成ですが今までどうもしっくりきませんでした。メンバー間の躍動感が噛みあっていなかったようです。ところが、この日は演奏していて「おお!」と自画自賛したくなるほどの出来栄えでしたね。もっと続けていたい・・・と思った途端にあっけなく終了。
大歓声に包まれ再度インストで「ピック・アップ・ザ・ピーセス」
これも久しぶりですが、珠玉のまとまりに近付けた感あり。16ファンクの歯切れ良さがSTAには珍しい。ミキ嬢は1曲目でパーカッション、そしてここからはコーラスにて合流。
実は昨年の小樽ライブでBNPがこの曲を演奏する姿をマサが目の当たりにして以来、ずっと構想を練っていたのでした。
STAも過去にこの曲をライブで取り上げていましたが、演奏の不出来に加え、コーラスを再現する者が一人も名乗りを上げずじまいでした。
ところがBNPはしっかりとコーラスをこなしているではありませんか。それならばSTAでもお願いしましょう!とマサが一番にリクエストして遂にここに実現の運びとなった次第。しかもミキ嬢はいろいろあるテイクからとっておきのアレンジを加えてきてくれました。ナベさんのテナー・サックス・ソロも熟練の音色で全体を引き立ててくれます。
まだまだ怒涛のソウル・チューンは止まりません。
「アイ・ウィッシュ」はミキ嬢が兼ねてから歌いたいと望んでいた曲。STAも懐かしの楽曲なので新鮮。ベースからのイントロに絡みつくシン独自による考案ピアノ・フレーズがかっこいい。
それにしてもやっぱり女性のキーだとこういった曲もスカッと突き抜けてよく耳に届きますね。エンディングの連発複雑ブレイクも今までのライブ中一番の出来でした。前回これを演奏した夕張ではボロボロでしたから・・・。
3曲メドレーは、あまり取り上げないものばかりなのですが、随分と成長の跡が発見できました。
ここで改めてミキ嬢を会場に紹介。
一気に和やかな雰囲気になるのも、本来女性が持っている特有の癒しモードによるものなのでしょうか。
4曲目、これもシカゴの重要な曲ではありますが、あのピーターのボーカルに挑める勇気あるメンバーが皆無だったために保留になっていたSTA唯一のバラード「愛ある別れ」(SOLO/NOBU)。
もちろん過去にSTAはライブで演奏したことがありましたが、納得のいく内容には程遠く、無理してまでやるのも曲に対しての冒涜ではないかと判断。
マサとシンとで今夏、キー・チェンジでトライしてみようか、と思案している時、ミキ嬢が受け持ってくれることになり、オリジナル・キーのまま、しかもシンによるオーケストレーションを彷彿とする鍵盤ワークも加わりここでも過去一番の仕上がりとなりました。
ミキ嬢言うところ、やはりシカゴの曲は癖があって難しいそうです。なんといってもこの曲は出だしの低いところから徐々に音域が上昇、後半に至ってはハイ・トーン維持に四苦八苦しなければなりません。そのくらいに音域の広い、だからこそ効果絶大、多くの世代にいつまでも愛されている証でしょう。
そして次はSTA結成時からの十八番「ヴィークル」(SOLO/NOBU)。歌詞の早口歌い回しに相当苦労したようですが、そこを克服した後は更に歌メロまでをも大幅に変え大胆で迫力満点の「乗り物」に衣替え。
そしてシカゴなら何でも大好きなケイコさんが特に最近の一押し「アライブ・アゲイン」(SOLO/NOBU)
これを指名するところなんか、なかなかにわかってらっしゃるねえ。
間髪いれずに「ガット・トウ・ゲット・ユー・イントウ・マイ・ライフ」。
ポール・マッカートニーは今回の来日公演で残念ながら取り上げなかったけれども間違いなくブラスロック誕生の産声はこの曲から発せられたのです。シカゴが現在でも大切に扱っているのもうなずけます。
ちなみにミツが福岡公演のポールを見に行った際に購入したオフィシャルTシャツがこの日の彼のステージ・ユニフォームです。
再び場面展開「孤独なんて唯の言葉」
ファスト・ワルツのかっちりとした演奏にシンのボーカルが乗り、ハモンド・ソロもジャジーっぽい味わいに都会風な匂いを加味して円熟の域に達してきた気配を感じます。完成形までにもう一息ですな。
ここからは御本家シカゴのライブにおいても必ずといっていいくらい終盤で総立ちにする曲がセットされています。
「ビギニングス」
STAライブの見どころ、聴きどころのひとつに各メンバー達によるテクニカルなソロ・プレイがあります。それは数え上げたら膨大な数に上るほど。
その中でも火を吹きそうなくらいに燃え上がるのがこの曲によるタツとミツのホーン対決。最初はミツ、次いでタツ、終いには2人が格闘しているかの如く火花が散るほどに。あと特筆すべきはシンのボーカル。1,2番後のアドリブによる歌い回し部分までをもしっかりと言葉やメロディ再現に努めています。エレピ・サウンドもボビー色濃厚に奏でてくれているし。
セット・リストを見ていただければわかると思いますが、膨大な演目。バラエティに富んだプログレッシブ風変拍子&コード・ワーク、ロックっぽくないスケールやリズム・パターンの連続、あらゆるジャンルを持ち込んで飽きがこないよう、もちろんコンサート全体像をより効果的に華やかに引き締めるように心がけ随所に見せ場を盛り込んでみました。曲数が多い・・・・その1曲、1曲が長いのもニュー・ロックの特徴です。STAはバンド名も曲も長い!!
今までのSTAで一番演奏時間の長いライブです。
だからスタミナ温存、ペース配分も常に考えていかなければ最後までもちません。テクニック的なことにばかりとらわれて疎かになりがちなのがモチベーション維持、メンタル面の強化です。
これらを怠っていると、なんてことのない場面でミスが発生し、2次災害に発展、または他のメンバーにまで悪影響を及ぼす恐れもあります。最悪なのはライブ終了まで引きずってしまうこと・・・。
そういったことは嫌というほど身をもって体験してきました。いずれにしてもライブは生もの、何度も言いますが魔物が潜んでいるのですよ。
だからこそ病み付きになっちゃうんですがね。
プライヴェートなライブにおいては必ず実施する恒例のマサによるメンバー紹介(ミキ嬢含めて)。
たくさんの拍手や励ましをもらいつつレッド・ゾーン振り切れソング「フリー」へ。
1か月にわたるリハーサル期間中、「かなり長い時間のステージになるね」なんて言っていたものですが、実際本番になるとあっという間で「え!?もう残りわずか!?」ってなあ感じでした。アドレナリン大量噴出。
「もう泣いても笑ってもこれで最後の曲です!25OR6TO4!!」
ホーン・セクションが休みの時はひたすたパーカッション奏者に各自が変身して一時もジッとしていません。ノブのギター・ソロも普段の1,5倍はあったはず、絶対に!こんなところにもこの日の熱きエナジーを感じませんか?
観客の方々から後で言われましたが「時間の経過を忘れてずっと迫力のSTAのライブに見いっちゃいました」「こんなバンドがいたんだあ」「シカゴの曲をこんなにもいっぱい聞けたのは初めてなので衝撃でした」等など・・・。
マスター、スタッフ、そして最後まで真剣に付き合ってくれた同志でもある観客の皆さんに感謝の言葉を捧げたマサ。
アンコールの声に応えてお披露目されたのはこれまた遊び心満点珠玉のお別れナンバー「ピーターガン」(STA初ライブのオープニングがこれでした。また初期の頃にはウォーミング・アップによく活躍しました)
前もってマサが「ブラス隊全員によるソロ・リレーがあります!」と予告したら今までとは違った声援をいただきました。
MASAによるVO→MITSU→DAISUKE→NABE→TATSU→NOBUという流れで展開。この構成はちょくちょく変わりますしソロの長さもその場の状況によってユニークに変わります。また曲者メンバー達の個性が如実に反映されていてプレイヤー・サイドとしてもとてもワクワクします。
初体験ロング・ライブのために相当ばてた者もいましたがSOMETHINGからの暖かな心配り(飲食含む)に感動してしまい、疲労も一気に吹き飛びました。
マスターからは次回用にリクエストまでもらっちゃいました。マサもSOMETHING/BANDにおかえしリクエスト。
前述の観客、ケイコ嬢はずっと洋楽はベイ・シティ・ローラーズ一途だったそうです。そこへ先月のSTAライブで衝撃を受けていきなりシカゴ&STAファンに。遠く岩見沢までお土産持参で応援に駆けつけてくれました。
2013年のSTA活動もこの日で一段落。メンバー同士、今年の労をねぎらい(たしかに細かなドタバタはありましたが今年くらいSTAにとって安定した1年はなかったと思います。これも団結力の賜物)ドリンクに焼きそばを美味しく頂きました。
結成時のコンセプトどおり、シカゴ1色で貫き通し一切のブレなし。ここにきて他の曲を数曲交えて締めくくりました(もちろんどれをとってもホーンがアクセントになるものばかり)。
最年少のDAISUKEは年明け早々に東京に進出、もちろんあっちに行っても今まで以上バリバリにサックス道を邁進するとのこと。がっちりと握手をしました。頑張れよ!
もちろん今後もタイミングが合えばSTAに合流する予定です。
MASAはカウンターにいき、ミュージシャン連中と賑やかに語らいのひととき。
後ろの壁には2年前にも貼り出されていた1973年シカゴ来日公演パンフレット、そしてアイズ・オブ・マーチ「ヴィークル」のEPなどが所狭しとディスプレイされています。
あれを見ているだけでも何時間でも過ごせます。
片付け終了後、挨拶を済ませて一路札幌へ。
やはり2年前とここでも同じ状況に・・・・猛吹雪で除雪車が出動、12号線はのろのろ運転・・・・でも御蔭さまでゆっくりライブの心地よい余韻に浸りながらの深夜ドライブと洒落こんでみました。
SPECIAL THANKS TO・・・MIKI&HITOMI&COCA-COLA&WOORON-TEA&GINGER-ALE&MORIMOTO-CAKE&KEIKO&MISS,Y&WHITE OUT&MR,ISAMU&MR,HIROAKI&YAKISOBA&MR,MURAKAMI&STUFF!!