北海道にも遅い桜前線が上陸して一段落した途端に猛暑到来です。
今時期がもっとも過ごしやすい季節ですね。
先月のサウンド・クルーに続いて今月も新天地会場に上陸のSTA、第2弾レポートをお送りします。
札幌中心からちょっと離れた白石区に存在する「ピグステイー」
12号線と環状通りが交わる賑やかな場所に位置するライブハウスでしてJRからも地下鉄からも徒歩で来ることのできる恵まれた環境。
(他にも練習スタジオを経営しています)
元映画館ということで玄関、受付、階段、トイレ(男女別)にそのなごりが見受けられます。
「白石会館」という看板もそのまま残っているしね。
観客席も広々、ステージも高くて横幅もたっぷりなのは当たり前ですよ、もともとスクリーンがあったのですから。
そして最も感動的だったのが楽屋。
狭い扉を開けると細長い室内、低い天井、コンクリートむき出しで落書きだらけの壁・・・。
いかにもライブハウスといった雰囲気ですが、ふと見ると片側の壁に小さな窓が数点横に転々と並んでいます(塞がっていますが)。
間違いなく、ここは映写室だったのでしょう。
その窓からスクリーンに向かって映写機で映像を送ったり、会場、観客の様子を逐一チェックしていたのでしょう。
まさに「ニュー・シネマ・パラダイス」の世界。
そしてミツのハワイ旅行と入れ替わりに、今度はシンガポール旅行に行ってきたノブがお土産持参で参上。
MERLIONミルク・チョコレート&焼きそば、ありがとう。
今回出演する5バンドは若手とベテランがそれぞれの持ち味を力いっぱいに出し切ってくれました。
午後5時から1バンド、セット込みの20分リハを終えて7時開場、7時半開演です。
現在のSTAは全員揃ってのリハーサル(ミツは滑り込み)。
ノブが「ベースの音がこもり気味で歪んでいるね」と言うのでマサはつまみを片っ端から検証してここぞいうポイントをゲット。
おかげでノブから「ベースのサウンドがとてもいい感じで響いていて気持いいね!」とお褒めの言葉が。
その後のバンド達のベースもメリハリばっちりに鳴っていました。
「PO-SOUND」
激烈ピッキングのミュージックマン・ベース奏者がリードヴォーカルを担当した3人編成のこのバンド、本番の直前までホール隣のスタジオで練習に没頭。
若さあふれる熱演で一瞬たりともじっとせずに持ち時間を目いっぱい汗飛び散らせてのロックンロール。
トリオとは思えないくらいのズッシリとした音圧、大股開きで煽ってくるフロントの過激なリフ攻撃をドラマーが冷静沈着にボトムを安定したビートで応酬。
けっしてポーズだけの若者にありがちなかっこつけバンドに陥らず、生真面目なくらいのアンサブル感がビシビシとこっちにまで伝わってきます。
MCも最低限に抑えてグイグイと30分を牽引してあっという間に終了しました。
「THE SINKS」
札幌学院大学のサークルで結成されたこのバンドはジャンルでいえばガレージ・ロック。
ミッシェルガン・エレファントからの多大なる影響下のもと4人組で活動。
マサは楽屋でそのルーツを語り合いましたが、たどっていくにつれ博多めんたいロック(鮎川誠&菊らが率いた伝説的バンド、サンハウス等)の話題で大盛り上がり。
モッズ、ルースターズ、ラモーンズ、セックス・ピストルズ、ARB、ニューヨーク・ドールズ、ストラングラーズ・・・と話はつきません。
そういった事柄までをもMCで取り上げて長身のVOはクロのリッケンバッカーをかき鳴らし飛び跳ね、両サイドのベーシスト&ギタリストも呼応するようにリズムに合わせて全身全霊を込めてアピール。
全曲がオリジナルで構成されたステージング。
後半、VOはギターを外してハンドマイクで前面に飛び出してパフォーマンス。
ドラマーはこの日が在籍最後とのこと、クールにプレイしていた彼も若いのになかなかの業師。
彼らの今後の活躍にも期待しましょう。
伊達からクッシー率いる「DOWN UP BEAT」
先月に続いてのタイバンです。
バンド名はもちろん敬愛するカシオペアの代表曲からの命名。
STAマサは衝動的にその曲が入っているライブLD(!)を購入しちゃいました。
彼らも最近はシカゴを聴きまくっているそうですが(笑)。
当然フュージョン一色のセットリストかと思っていたのですが、予告どおり嬉しい裏切りの曲目で展開。
MC担当、ヤマハSGを手にクッシー「私の好きなスティーブ・クロッパーがギター担当のブッカーT&ザ・MG'Sのグリーン・オニオン・・・長ネギという意味ですが・・・」と意外すぎるオープニング。
じっくり淡々と進行する円熟のプレイに若者たちも釘付けです。
「これも私の大好きなギタリストでテン・イヤーズ・アフター、アルヴィン・リーのウッド・チョッパーズ・ボール!(高中正義もカバー、DUBもどちらかというとそちらを参考にしたそうで納得)」
早弾きを正確に決めまくりダメ押しはギターでチョッパー奏法(!!)、5弦ベース、ドラム、キーボードとぐるぐるソロ回し。
ものすごい高度なことをニコニコ・アイコンタクト交えながら、さらっと弾きこなします、憎いくらいに。
「次も好きだったギタリスト渡辺香津美がゲスト参加していたイエロー・マジック・オーケストラの有名なライディーン」
この曲は老若男女誰もが知っているテクノポップ代表曲。
ケンもお気に入りのYMOでニンマリ。
DUBの懐の深さを痛感。
もちろんカシオペアからもお約束の1曲を披露「野呂一生のバンドから・・・・」エフェクターをカマしてギターソロを延々とリフレインの演出も微笑ましい。
サービス精神満点でとても勉強になります。
その後はメンバー紹介、ドラマーの方は以前にも書きましたが本業は住職、普段は木魚を叩きステージでは太鼓を叩くのです。よってドラムス紹介の際には客席に向かって合掌のポーズ。
体調がよくないとのことでしたがそんなこと微塵も感じさせないくらい素晴らしいパフォーマンスでした。
ラストはレイ・チャールズの「ジョージア・オン・マイ・マインド」をインストウルメンタルでしっとりと聞かせてくれました。
トリ前は「N9(ナンバー・ナイン)」
マサとはスタジオで顔見知り、シンもメンバーとは交流があります。
パワフルな喉を聞かせてくれる女性シンガー&ギタリスト、リエ嬢をフロントに普段はブルージーなオリジナル中心のいぶし銀音固めに専念しつつも、じっくりとライブで腕を磨いているのです。
マニアックな名手達からの影響を受けた変則手数王ドラマー、自ら指板にニス加工を施したフェルナンデス(ロゴが初期のあの筆記体風、ハードケースに付いているエンブレームも)のスリー・トーン・サンバースト・プレシジョン・フレットレス(塗装の剥がれ具合がロリー・ギャラガー並み)をトレブリーに操るテッシー、巧みにエモーショナルなトーンでカッティング、リフを刻みながらも迫力のボーカルを聴かせるリエ嬢。
そのバランスと役割分担が長年の経験を物語っていて説得力があります。
練りこまれ考え抜かれたアレンジ、淡々と言葉数も少なく進行するステージは無駄なモノは極力排除して確立したナンバーに自ずとにじみ出ています。
気がつけばいつの間にやらN9ワールドに引き込まれた会場の人々。
テッシーのここぞという瞬間に飛び出すサンプリング・エフェクター(今となっては幻のBOSSエフェクター)から発せられる効果音も個性的で効果絶大。(マサはずっとこの音が気になっていて直接追求しました!)
フレットレス&ラウンドワウンド・ゲージとピックによる硬質なアタック音が生み出す時に右手をくるくると回すアクション付きのマジック。
こういうところがエレクトリック・バンドの面白いところですね。
ラストソングの締めくくりもイカしていて拍手喝采。
トリのSTAは8人編成。
あかり嬢の盟友、アサキ嬢初参戦です。
ゴージャスな4管によるホーン・セクションは久しぶり。
ステージも高くて見晴らし最高。
曲目ですか?もちろん全曲いつもの初期シカゴに決定!!
***SET LIST***
1、INTRODUCTION
2、QUESTIONS67&68
3、OLD DAYS(追憶の日々)
4、~SOMEDAY AUGUST,29,1968(流血の日)
5、~SATURDAY IN THE PARK
6、MAKE ME SMILE(ぼくらに微笑みを)
7、~TO BE FREE(今こそ自由を)
8、~NOW MORE THAN EVER(愛は限りなく)
***MEMBER***
MASA・・・B VO CHO
KEN・・・DR VO CHO
MITSU・・・TB
TATSU・・・TP
SHIN・・・KB VO CHO
NOBU・・・G
AKARI・・・AS
ASAKI・・・TS
セッティングに手間取ってしまい予定時間を超過、他にも色々とトラブルが勃発したのは毎度のことですが概ねバンド内にしかわからない程度の事故で済んだようなのが幸い。
現在のメンバー達は暗黙の了解で、すかさずフォローするのが上手なのですよ。
ミキサー・スタッフのキュー!を合図にBGMがフェイドアウト、と同時にノブの歯切れ良いコードワークからマサの豪快なるバンド・コール。
3カウントは全員に聞こえるようにマサがドラム・セット前面で吠える。
一斉にブラス隊の「イントロダクション」輝かしきリフ・スタート。
怪しい部分が散在していますがそれも瞬間なので切り返しもスムーズに行けるようになりました。
聞いている方にすればなんてことのない流れなのでしょうが、プレイヤーにしてみたら怪しいところが相当に長く感じられて冷や汗かきかきイタイものなんですよね。
リハと本番では仕方のないことですが、音の跳ね返りも微妙に異なるものです。
動き回って場所を一歩移動するだけでデッドになるところもあるし。
シンもリハ時にはベース・アンプ正面に陣取っていましたが本番ではドラムサイドにスライドしたおかげでリズム、ホーンも届くようになったみたいです。
まったくタイプの違うバッキングにミツ、タツ、ノブ3人によるソロも余裕が出てきたね。
最初のマサMCで力みが伝わったのかリエ嬢にけっこう受けてしまいました。
「YEAH!!」
「クエスチョンズ67&68」は女性サックスのご両人も入魂の意気込みで取り組みました。
細部にわたって研究してきたようでミツ、タツに必死に食らいついてきて真剣そのもの。
全編にわたって遠慮なくホーンアンサンブル吹きまくりですからね。
復活した「Ⅷ」からの「オールド・ディズ」
タツのハイノートが見事にヒット、レディ達も真面目に鍛錬してきたようでここいらはあっさりと吹いていました。
タツとミツはベル部分に管用のマイクをセットしているので佇まいもスマートです。
エンディングのコーラスではマサとケンが高音と低音部をチェンジしての熱唱、そのまま次の曲「サムディ」のシンバルによる導入部分に突入。
この曲の内容詳細をマサが出番前にサックスレディ達に解説したらとても感心されて思い入れもますます膨らんだのではないでしょうか。
マサからリード・ボーカルをシンにバトン・タッチ。
シンのスィート&マイルド・ヴォイスはもうSTAにはなくてはならないものになってしまいました。
ピアノ鍵盤を叩きつつ、歌うシンの姿は神々しい。
コーラス部分はこの頃なんとか演奏しながら絡めるようになってきたようです。
ちょっとでも油断をするとブレスのタイミングを外してしまい、ペース配分を誤ると後半にはばててしまい、頃合を見計らって水分補給をしていかないと辛い現実に直面してしまいます。
更にメドレーで「サタディ・イン・ザ・パーク」のイントロへ。
マサが手拍子を要求するとこのあたりからあちこちにスタンディングして手を打つ客の姿が見えます。
グッと明るい希望の曲調に引き寄せられたのかドンドンと会場内の空気が浄化されていくようです。
本日のイベントに感謝の言葉を添えて「さあ、いよいよラストです。最後もシカゴの初期ヒット曲で決めてみたいと思います。MAKE ME SMILE!!」
歓声に迎えられて「バレー・フォー・ア・ガール・イン・ブキャナン」組曲から豪快に3部作を合体バージョンで披露。
シンがメインボーカル、引き続きケンがドスのきいたシャウトをかまし、そこにマサが参加して3人によるハーモニー。
余力を振り絞って次から次へと迫り来る超難関を全員が一一丸となってのクリア。
後半2度にわたるケンによるドラム・フィルもレッドゾーンまで振り切れているんじゃあないの?っていうくらいのスティックさばき。
独特のジミーがアレンジを施したブラス旋律からテリー直伝ノブのギターソロに移行してもうすぐゴール。
相当にラフなテンポだけど、もうこうなったらとことん行くしかないです。
ゴール間近になったらマサが左手を頭上にかざしてジャンプで終了。
あかり&あさき嬢もよくもまあやり遂げたものです。
やればやるほどにその難易度強のシカゴにどっぷりとやられたらしいけど、今までまったく知らなかったこのジャンルにやりがいもあったらしくてめちゃ刺激になったようです。
楽屋に引き上げる際に通路でテッシーから「学生時代にFMで聞いたシカゴを思い出しました!」と言われました。
皆それぞれに自分の青春情景と思い出の曲などがオーヴァーラップするんですよね。
札幌でのライブはしばらくお休み、来月からはSTA恒例の小樽イベントが8月まで4ステージ待ち構えています。
その1発目は新天地第3弾の来月8日(土)「ゴールド・ストーン」、しかも記念すべきSTA80回目のおまけ付きライブ!
また一部のメンバーやパートもその都度、微妙に変化しますが柔軟な姿勢で体調も万全に乗り込もうと思います。
詳細はSTAブログ、ライブ告知のコーナーまで。
SPECIAL THANKS TO・・・CHIZU&KEI&MIKI&MR,AOKI&SHIROISHI-KAIKAN&MR,OKINO&RIE&TESSY&KUSSY