6,PURPLE BRINGER
18:15~18:45
(基本のコンセプトはDEEP PURPLE COVER)
はい、会場に流れるBGMが北海道の歌姫・中島みゆき,そしてドナ・サマー「ホットスタッフ」というのも一興。
さてさて、早くも6番手に控えしは、満を持しての登場!
全8バンドだから、丁度、この日の出演バンドでは後半戦に位置している。
ポジションとしても申し分なし。
ある意味ではこの日最大の目玉。
ブリティッシュ様式美ハードロックの元祖を、徹頭徹尾に追求するべく初の小樽入りです。
しかも、思いっきり濃厚なサウンドでね。
巷ではここ最近になって、話題沸騰、注目の的だった、あのディープ・パープルのカヴァーバンドだ。
それもただ単なるコピーに終始せず、細部にわたって拘り抜いた超うるさ型マニアの涙腺崩壊するほどの極致をいくことをお約束。
ミーテイング時に「基本はスタジオのオリジナルテイク。でも、ここはメイド・イン・ジャパン・バージョンで。あそこはメイド・イン・ジャパン。
こちらはカリフォルニア・ジャム。
そして、意外性を狙ってここはホワイト・スネイクのバージョンで!!」と長々話し合うのだ。
ここからはザッとヒストリーを述べていこう・・・・。
キッカケは一昨年の秋にさかのぼる。
STAメンバーのアッキーが「パープルを本格的にやりたい。誰かいいメンバーいないかなあ・・・?」とマサに相談。
マサも若い時は、ずっとこの手合いをたしなんでいたからお手のモノさ。
でもハードロック系は散々やりつくしたから、ブラスロックに専念するべく、近年は封印していた。
しかし、このキッカケから、さっそくメンバー探しの構想をとんとん拍子に練りはじめる。
まずはアッキー率いる「マ・シェリ」絡みでオカちゃんが浮上。
YOU TUBEでの「レイジー」完コピを見たマサは、一目惚れして感動。
イアン・ぺイスを崇拝するというオカちゃんとは、即座に意気投合して加入が決定。
最初から、強力無比なるリズムセクションの誕生だ。
それと同時進行して、マサは対バンのボーカルがずっと気になっていた。
この日も2番手に出演していた、ラルク・アン・シェルのコピーバンド「ショックス」
そこに在籍する、ハイトーン・シャウターの「トミー」だ。
彼は他にもTMネットワークのリードシンガーをつとめてもいた(アッキーともそこで共演。
マサもアッキーも、そのことはつい最近になって知った!!)。
その後、ヒコちゃん、GUS君、アライ氏らと組んだ、紫のコピーバンド「蝦夷紫」を見てぶっ飛んだ。
な、な、なんだあ!!??このジャンルも好きなんだ!!
しかも、ご丁寧に「ハイウエイ・スター」を熱唱!
これは、絶対的に無視ができん。
その後、また対バンする機会があったから声かけする予定が、コロナ禍にてそのライブイベントは中止。
それでも秋に再度、ここ「小樽ゴールド・ストーン」にて再会する機会を得た。
STAとショックスがステージを入れ替わる舞台袖にて、マサがトミーに「ディープ・パープルのコピーバンドやらないかい!!??」と声掛け。
「いいですねえ。デヴィッド・カヴァーディルが、大好きなんですよ!!」と意気投合でニンマリ。
徐々に、布陣は固まってきた。
ギタリストも決定。
曲目も決めて、初のスタジオ入り。
ところがコロナ騒動、スケジュール調整の難航、更には記録的な大雪で中々活動がはかどらない。
そうこうしているうちに、春の訪れ。
サウンドもいい雰囲気にまとまってきた。
そろそろライブに飢えてきたメンバー達。
そこで、新しいエッセンスを導入するべく、ギタリストを入れ替える。
ここでギター・ヒーローのシンちゃんが堂々登場!
彼はオカちゃんとポルノ・グラフィテイのコピーバンド「僕のグラフィティー」として活動中の仲(マオちゃんがリーダー&ボーカルを担当)。
テクニックはもとより、愉快痛快な楽しい男だ。(驚いたことに、ガールやL・A GUNSの元シンガーでもあるフィリップ・ルイスが、サッポロにやってきた際、バックでギターをつとめたという申し分なき猛者)
シンちゃん、パープルは若い時以来プレイしていないらしいんだけど、指はしっかりと覚えていた。
この瞬間に、記念すべき第2期の幕開けだ。
ひじょうにマニアックすぎるほどのパープル・フリークが、ごく短期間で5人結集するなんて奇跡的。
そこからは、とんとん拍子に進行。
シンちゃんの素晴らしすぎるプライヴェート・スタジオで、汗水流してリハーサルを繰り返す。
時には大型スクリーンに映し出される、ご本家のライブ映像を鑑賞しながら、豪華なる焼き肉パーティーなども開催したりしてね。
もう我慢できなくなった頃合いを見計らっての、初ライブが遂に決定!!
それが去年の6月19日「スターライト」さ。
目標ができたら、俄然燃え上がったね。
セットリスト、時間の計測、MC箇所やイメージ・トレーニング。
録音、録画にも勤しむ。
研究熱心な連中だからね。
詳細の確立や修正を経て、ゲネプロに見事たどり着く。
フェイスブックにてのアピールも忘れずにね。
アッキー曰く「鉄は熱いうちに打て」
あまりにもベタだけど・・・・((´∀`*))
一致団結して盛り上がってきたよ。
バンド命名にも色々な意見が飛び交った。
残念ながら8月のライブは諸事情により流れたけど、9月&11月のライブも大成功。
予備の曲なんかもドンドンと用意したよ。
9月なんて無謀にも、前日に急遽出演が決定してのぶっつけ本番だった(初のキューブガーデン)。
11月も初の「ソリッド」、翌月も同場所へ!
つまり、2か月続けてのソリッド出演と相成った。
よって、感覚的には馴れ親しんだ感覚がありひじょうに有利だった。
スタッフの方々もしっかりと覚えていてくれているしね。
この時もズッと持ち時間が30分と思い込んでいたら、オカちゃんの指摘で45分と判明。
5日前にセットリストを組みなおして2曲を追加、メンバー紹介、ライブの告知やらあちこち時間を調整してバッチリとまとめ上げた。
結果、持ち曲を全てつぎ込んでの極上のパフォーマンスを繰り広げた。
火事場のバカ力をいかんなくフルに発揮するバンドなのですよん((´∀`*))
2022年の締め括りは盛大に終えた。
で、今年一発目が先述のとおりゴールドストーン初参戦。
こいつは序盤から縁起がいい。
しかもジョン・アッキー・ロードの主催だしね。
これも何かの縁さ。
はい!!前置きが大変長くなっってしまったけど、徐々に神秘のベールを脱ぐ時が訪れた。
この5発目ライブを、今か今かと、待ち焦がれていた人達の多いことよ。
見逃した人は、孫の代まで後悔するよん。
以前に見た人達は、あの感動を再びだ。
しつこいようだけれど、何度でも繰り返すよ。
ありそうで中々いなかった、ディープ・パープルのコピー・バンド。
永遠に光り輝く憧れのアイコンだ。
皆さん、ご一緒にアドレナリンを噴出しまくりましょう!!
正に今がその時!!!
改めてメンバーの紹介をば・・・・。
デヴィッド・トミー・カヴァーディル(VO。AKGマイクを持参。メンバー中一番ロッカー然としたスリムで長身のルックス。ストレートなロングヘアにワイルドなファッションは初期ホワスネのカーバーディルみたい)
イアン・オカチャン・ペイス(DR。ディープパープルのマシンヘッドとプリントされた黒Tシャツが神々しい)
ジョン・アッキー・ロード(KB&CHO。真っ赤な名器KORG NORDを最近は導入。ここから飛び出すハモンドの音が、たまらないくらいに臨場感満点でグッときちゃうよん。これ、彼女の自宅に長い間眠っていたんだけど、ひょんなキッカケでめでたく復活を遂げ活躍してくれた運命の1台)
超絶に派手なヒョウ柄女物コート姿のグレン・マサ・グローヴァー(B&CHO。キルテッドメイプルのオイル仕上げスペクター。ワイヤレス2機使用。コーラスワークにヘッドセットマイクのシュアー&ベースは往年の名器レクサー)
そして、
リッチー・シンちゃんブラックモア(G。備え付けのマーシャル2スタック・アンプを使用。特注のシンライン・ストラトキャスターでプレイ。ナチュラルのボディにメイプル指板。リヴァース・ラージ・ヘッド!!エフェクターボードは最近入手したツアー仕様のごっつい代物)
薄暗いステージには、メンバー5人のシルエットが浮かび上がるというアンバイ。
名刺交換代わりとばかりに、事前に決めておいたサウンドチェック用の曲で各自は調整。
シンちゃんは例の曲のエンディングをなぞる。
前に出演していたナカヤマくんに、シンバル・スタンド類の運搬やセッティングを手伝ってもらったオカちゃんは、試しにスティックで連打。
オーディエンスは来る時を、息ひそめての注視。
「ちょっとウォーミング・アップさせてください」とマサ。
小手調べとばかりに「嵐の使者」のサワリをサラッと2回ほど披露。
まずまずの仕上がりだ。
演奏を止めて随時、スタッフらと綿密なる詰めを図る。
各楽器の音出し調整を経て、マイクチェック、音量バランス、機材やモニターの返り、オープニングのタイミングを確かめる。
これ大事な事さ。
よし、申し分なし。
アイコンタクトを送り合って、準備万端整いました!!
もうこれはライブレポートの域を超越しているね。
文字による実況中継のはじまりだ。
PURPLE BRINGERはライブの度に、あちこち捻りや新たなアイディアを加えている。
ダラダラと惰性に任せて、ライブの垂れ流しは決してしない。
新鮮な息吹が漲る実験も加味。
遂に爆発する時が訪れた。
格別な音像をお届けしようじゃないか。
皆、覚悟はいいか!
行くぜ!
OK,LET'S GO ARE YOU READY!COME ON BABY!!
BGMが徐々に小さくなり暗転。
メンバー同士が合図を送りあって・・・・
オカちゃんの爆音フィルを目印にマサはジャンプ一閃。
Dのキーで全員一丸となっての覚醒。
トミーが静寂の頃合いを見計らって「HEY!YEAH!!~ロックンロール!!!」
まるで彼にカヴァーディルが憑依したかのよう。
シンちゃんが普及のリッチー節搭載のリフを掲げる。
指の調子があまり芳しくなかったようだけど、そんなこと微塵も感じさせないほどの熱演ぶり。
「BURN」
(邦題は紫の炎・・・って、今更こんな解説は野暮ってなあもんだね。でも一応ね・・・。
1974年発表、日本でも大ヒットしたヘヴィーメタルの代名詞)
今この時、波状攻撃の狼煙がぶち上げられた。
王道を貫き通すセットリストの一発目には、申し分なき一撃。
脳天直下で一同が騒然としている。
テイクは「メイド・イン・ヨーロッパ」
アッキーは念願が叶い、嬉しくて仕方ないご様子。
マサはイントロから中高生時代へと一気にタイムスリップ。
オカちゃんは、ぶっ飛びまくりのハイテンション・マックス。
素早き華麗なるタム回しや、ブレイクのタイミングは、お見事の一語に尽きる。
トミーも、感無量のことだろう。
だからなのか、思いのたけを込めていつも以上に吠えまくる。
魂の咆哮とはこのこと。
ヒステリック過ぎるほどのハイトーンが、天空にまで突き抜けるほど。
メンバー達は、彼にいつも敬意を表している。
今までにもそれぞれにパープル経験はあっても、反則技で女性シンガーだったらしい。
普通の男性シンガーでは難しいからねえ。
それをいともあっさりとこなしちゃうんだから驚愕だ。
シンちゃんのギターソロはギター小僧達、垂涎のラインが飛び出してくるから憧れちゃうね。
アッキーは「キーボードの魔術師」のごとく、指先から次々と過激かつ気品溢れるフレーズを、これでもかあというほどに紡ぎ出す。
男顔負けの鍵盤さばき。
超絶技巧派の女性版ジョン・ロード(このご時世に、こういう発言は問題ありか!?)
突き刺さる大胆なグリッサンドも見ごたえある迫力(多発する指先の擦り傷は名誉の負傷扱い)。
シンちゃんとの火花散りまくりなユニゾンパートも、正確無比でバッチリだ。
間奏部の「GmーCmーFーB♭ーE♭ーCmーD7」のコード進行はバッハの楽曲からの引用。
それにしても、素早いパッセージは痺れるなあ。
あらゆる遊び心とアドリブを絡めることも忘れてはいない。
ギターソロ直後にブレイクしてギターとハイハットの刻みに追随して、トミーの全開赤いマラカス・シェイクだ!!(マサの所持品)
マサも咄嗟にアッキーのコーラス用マイク・スタンドに掛けてあった蛇柄ストールを目一杯に振り回す。
アッキーも負けじと、左人差し指を頭上高くに掲げて、コール&レスポンスの要求。
これらのシーンは「ホワイトスネイク」を参考にした。
とにもかくにも、序盤から良い意味でレッドゾーンを振り切っている。
マサとアッキーは、コーラスワークもひたすらに頑張ったよ。
何度も前方に駆け出して、片足をモニターや手すりに載せ仰け反るマサとトミー。
アッキーは、トレードマークの満面スマイルで、カメラマンたちにシャッターチャンスを与えるサービスぶり。
圧倒された観客は、金縛り状態で息を飲む。
その空気感がステージ上にまでビンビンに伝わってくる。
顔なじみの連中は「マサさんはSTA以外にプレイする姿を見たことがなかったから、ビックリで新鮮だったよ」とのこと。
そうさあ、15年ほどSTA以外ではほとんど、まともなバンド活動していなかったからねえ。
それも致し方なし。
ルーツの一部が垣間見えたかな。
マサは所狭しと前後に動き回って、ホップステップ・アクションの連続。
(ドラムとギターの間は天井から冷風が吹いてきてなんまら気持いいさあ!)
オカちゃんのところに向かって走り寄ったかと思えば、バスドラに片足をのせて猛アピール。
シンちゃんとも目を合わせて、お互いに不敵な笑みを浮かべる。
トミーとも背中合わせでがっぷり四つに組む。
このアグレッシブなフォーメーションが快感だ。
ホワイト・スネイク怒涛のメドレー風「嵐の使者」
これ、昨年11月には時間がたっぷりとあったので、フル・バージョン・プレイしたんだけど、この日はエディット挿入。
バーンのキーボード・ソロ後に披露。
この曲は1974年リリース、第3期セカンド・アルバムのtitleでもある。
イギリスでは最高チャート6位を記録。
リッチー在籍時、最後の曰く付きな1枚だ。
当時は賛否分かれたけど、マサはすこぶるとお気に入り。
特にこの曲なんて、申し分なき完成度を誇っている。
随所にパープル節の真骨頂が満載なのはさすが。
ずっしりとしたウネリまくりの重量感と、構築美が誇らしいよ。
そこから再びBURNへ戻るという、心憎い展開を繰り広げる。
この辺にたどり着いた時点で、会場中は異様な雰囲気に包まれている。
「パープル・ブリンガー・ワールドへようこそ!」状態だ。
今回も魔物はチラホラと顔を見せていた。
アッキーはトークのセリフを忘れた。
シンちゃんは途中からギターの音が出なくなった。
マサはマラカスとタンバリンの準備をすっかりと忘れていた・・・・・。
・・・まあ、このくらいかな。
でも全く深刻な事故にはならず笑い話にしちゃうところが、したたかすぎる軍団。
エンディングを迎えたところで万雷の拍手が沸き起こる。
皆、エキサイトしているねえ。
間髪入れず、アッキーによる荘厳なるハモンドオルガンの響き。
彼女がいうには「お祈りのコーナー」らしい。
これは絶対に無視のできない、クラシカルで神聖なるひと時。
どれも曲が長いから組み立てに苦慮した。
でも最大に美味しいところは残して披露。
黄金の第2期と第3期で攻める所存。
一切の妥協を排して臨んだ結果の研究成果が、花開いた瞬間だね。
****対バンの友人がマサに「この箇所には戦慄が走ったよ」とメッセージをくれた。
雷神くんも「カッコ良かったよ」とお褒めの言葉を投げかけてくれた。****
緊張感が絶頂に達した頃合いを見計らっての、オカちゃんハイハット打ちによる巧みなるカウント。
「SPEEDKING」
(1969年に書かれ、1970年6月に発表されたアルバム「イン・ロック」の冒頭に収録。シングルカットもされた。日本はアルバムのみ。パープルの潮流を生み出した重要なる曲の一つで、のちのスピードメタルやスラッシュメタルのスタイルを形成した貴重なる曲と考えられる。これって実はリッチーが敬愛するジミヘンの「ファイア」へのオマージュなのは有名。KNEEL&PRAYが当初のタイトルだった。歌詞はイアン・ギランが初めて書いたもの。
多くのオールディズ人気曲から断片的に拝借して繋ぎあわせた)
ビートにのってヘッドバンギングの応酬。
マサは右腕を激しくグルグルと振り回してみせる。
腰をグッと落として、観客を睨みつけてのピッキング。
極上なるハードロック・ワールドは情け容赦なく続く。
しかし、まあ果てしなきメガトン級の迫力だなあ。
やっている本人たちが言うんだからこれは間違いない。
聞かせどころは中間部でのキーボード&ギターによる壮絶なるソロバトルに尽きる。
真剣勝負を挑み合うストイックなご両人。
丁々発止な雪崩込み。
陰と陽、強弱のしのぎを削り合う頂上決戦。
トミーは一歩下がって片膝ついている。
マサはキーボードの前に膝まづいて、虎視眈眈と状況を見つめる。
導入部では押さえ気味にバトンを受け継ぐ。
一番、バンドへの加入が遅かったシンちゃんだけれども、自由自在元気一杯伸びやかに弾きまくる。
滑らかに指板を駆け巡る姿は、惚れ惚れするほど。
普段のアキはチャーミングなレディ、シンちゃんは温厚で冗談好きな男なんだけど、いざ演奏ともなると面構えが近寄りがたいほどストイックな別人格に豹変するのだ。
シンちゃんが慎重に大きくうなずく。
オカちゃんによるリムショット・アクセントが渋い。
事細かにイアン・ぺイスのジャジーなドラミングを再現。
その様は愛を込めて忠実に。
ソロは徐々に熱をおびはじめて、エクスタシーに達する。
恍惚感に浸る暇もなく疾走。
息もぴったりに爆走。
正確無比なるやり取りは、もはやアートの領域。
アクセルを緩める手段なんてありえない。
手抜きなんて許されないシビアな環境。
ワイルドなトミーは、やや斜に構えたポーズが妙に似合っていて心憎いほどだ。
後半での笑い声もニヒルに轟いた。
ラフにソリッドに、時にはストレートなやりとりも板についてきた。
「キーン!!・・・」と鳴り響くキーボードに包まれてのエンディングでマサはキック、ベースにパンチ、ネック振り上げにジャンプと大忙しにバリエーションを提供。
トミーによるMC
今後のライブ告知も含めて、演奏中とは違う和気あいあいの側面を覗かせる。
「皆さん、こんばんは!小樽は初のパープル・ブリンガーです!!
ディープ・パープルのコピーやっています。
今日はですね、このバンド結成して5回目のライブということで、え~有名どころを満載でお届けしようと思いますが、え~ディープ・パープルは、昔のバンドだけに曲が長いんですよ。
なので、しゃべりは少なめでバンバンバンバンやっていこうと思います。
次の曲はあれです・・・・・いいですか!!??」
オカちゃんによる豪快なハイハット4カウントが盛大に打ち鳴らされる。
「BLACK NIGHT 」
どの曲もハイライトナンバーばかりで大サーヴィス。
これはライブ・イン・ジャパンのテイクをお手本としている。(当時は未発表だった)
初出はアルバム「24カラット」
(1970年に発表。本国のイギリスでは2位まで上ったヒットソング。日本でも約10万枚を売り上げる異例のヒットを記録。ブルース・マグースの「恋する青春」と何から何までもが瓜二つなのはご愛敬。)
バンドメンバー中、一番年上のマサは、黄金期のパープルをタイムリーに知っている。
大袈裟に言ってしまえば、生き証人のようなもの。((´∀`*))
だからレパートリーは新曲当時を知っているし、パープルの変遷史やメンバーの動向、ファミリーツリーにもけっこう精通している。
この曲のスタジオ盤もたしなんだ口。
オカちゃんは日本の「UCCブラック・無糖」のコマーシャルで知ったらしいよ。
世代に多少の差はあれども、皆パープルはライブ演奏経験があるのは強みだね。
しかし、正直な話、これには手を焼いた…というのも相当前のこと。
今ではお互いの手の内が、比較的読めるようになってきたから余裕しゃくしゃくだけどね。( ´艸`)
当然、我らパープル・ブリンガーは迷うこともなく、ライブバージョンの手ほどきを受けた。
イントロはスタジオバージョンではベースとドラムのみ。
でもそれではあまりにも寂しいから、厚み強化ということで、ギターも加わって度肝を抜くほどのモンスターサウンドにと提案。
そろそろ、進行にも馴染んできたのか、メンバーらは肩の力も抜けてきてプッツンしながらもリラックスモード全開。
やや走り気味だけど、冷静沈着に暴れまくっちゃおう。
とくとご覧あれさ。
印象に残るスタンダードが繰り出されるわけだから、ドツボにハマることは請け合いだ。
で、このコンパクトな構成の曲は、ライブバージョンともなると、じゃじゃ馬のごとき、捻りが加わってくる。
センスのない輩が演奏すると、リズムがお囃子のノリになっちゃうからお笑いだ。
ここいら辺にきてもトミーの喉は強靱。
ボーカリストになるために生まれてきたような男なんだね。
神に選ばれし者の宿命の特権。
一向に衰え知らずで、益々狂暴性を発揮。
どのようなトレーニングを積んでいるんだ。
今度、こっそり教えてもらおうっと。
ギターソロは狂喜のアーミングが炸裂。
延々と恐ろしくも悲鳴に近いくらいの唸りをあげる。
常識を凌駕する場面。
追い打ちとばかり、アッキーのキーボードが熾烈に火を噴くがごとく張り合うのだ。
ボーカルに怪しく絡みつく、ギターのオブリガードも効果抜群にはじけまくる。
名物ともいえる3番でのドラム連打はワクワクするね。
皆、わかっているから「そろそろくるぞ!」と待ち構えているしなあ((´∀`*))
大好物さ。
イアン・ぺイスはありとあらゆるジャンルのエッセンスを、ふんだんに盛り込んでいるから、オカちゃんの本領発揮だ。
血湧き肉躍るエンディングでも、最高の仕上がりを見せた。
見せ場、聞かせどころとばかりに、トミーの雄たけびも絶好調。
ルーズな破壊力溢れる構成は流行なんて全く関係ないね。
残り2曲は最早説明なんて不要。
まずは、この日初披露の肝ともいえる肉弾戦(特にオカちゃんにとってはね)。
「SPACE TRUCKIN'!!」
1972年リリース6枚目のスタジオ・アルバム「マシン・ヘッド」最後に収録。
ライブ盤の最高傑作「ライブ・イン・ジャパン」、伝説の「カリフォルニア・ジャム」でもラストを飾っていたね。
以前、アッキーがトミーに「この曲を歌ってね」とリクエストしていたもの。
トミーも「いずれは歌うことになるでしょう」と返答していたから即座に導入した次第。((´∀`*))
メンバーの中では、他のバンドでこの曲のライブ演奏経験がある者もいたんだけど、これほどに完成度を求めたりはしなかったらしい・・・・。
実はイントロだけでも2転3転したのさ。
スタジオバージョンか、ライブバージョンかで意見が分かれた。
数種類のパターンで取り組むもイマイチ。
ギリギリの段階になってライブバージョンのシンプル化で落ち着いた。
マサのハイハット提案からオカちゃん発案のバスドラムキック。
これが明瞭にわかりやすくも超絶ク―ルにハマった!
実際にこの日のライブで、静かで不気味な刻みからメガトン級のユニゾンが突き落とされた途端、オーディエンスが沸き上がった。
想像以上の反応にバンドも歓喜。
我々サイドも咄嗟にゾクゾクしちゃったよ。
あれは快感だったなあ。
試行錯誤した甲斐があったというものだ。
もうこうなればこっちのものさ。
イタダキの一丁上がり。
阿吽の呼吸でオカちゃん、STRONGタイプの激しい高速3連タム回し。
お約束、トコトンにまでぜい肉をそぎ落とした、鋼のリフが芸術的で絶品。
パープルの歌詞に深い意味なんて求めてはいけないよん。(イアン・ギラン曰く、コミック的なユーモアを表現。惑星間を飛び回る宇宙の長距離ドライバーの休日を日常生活として歌っている(´∀`*))
とにもかくにも格別な疾走感が全編にわたって漲っているスピード・チューン。
休むことなく次から次へと目まぐるしく襲い掛かってくるアレンジの妙は、ある意味では快感。
フレットや鍵盤上を上昇気流の勢いで暴れまくる。
トミーはゆっくりと、一呼吸を置いて絶叫!
最大の山場がやってきた。
オカちゃん渾身の個性的この上ないドラムソロ。
スネアのスナッピーを外しての手数王。
千手観音のごとき神業。
そこから全員が轟音の塊と化して、アッという間に終わっちゃうんだけど、(ほぼ5分・・・)一切の無駄がないプロフェッショナルな起承転結。
それはイントロからエンディングに至るまで。
パープル・ブリンガーは、今回、ほぼこの曲に心血を注いだと言っても過言ではない。
そのくらいに全神経を集中させてメンバー一丸となってのぞんだのだ。
結果?・・・・・もちろん成功の部類に属するでしょう。
今後、益々の発展が楽しみだ。
パープル・ブリンガーは必ず、課題を提起して試行錯誤の末に成長を促す。
バンド活動をやるからには、これも一つのスリリングな醍醐味さ。
オカちゃんは、この曲の仕上がりには全然納得がいかなかったようだけど、誰もが絶賛していたよ。
とことんまで突き詰めていくタイプのオカちゃんならではのエピソード。
「ベイクド・ポテト・ライブ」におけるジェフ・ポーカロも、自分のドラミングに不満を述べていたけど、「スーパープレイの連発なのに、どこが!!??」と皆が言っていた。
それを思い出したよ。
出た!!
そのままの余韻を引きずりながらも、ナイスなタイミングでオカちゃんのスネアが控えめにロールされる。
「ラストです!HIGHWAY STAR!!」
足元のドリンクを一飲みしてトミーがダメ押しとばかり盛大に告げる。
この焦らし具合の加減も面白い。
ライブ・イン・ジャパンとスタジオバージョンを程よくブレンドしてグイグイと牽引。
(1972年3月リリースのアルバム「マシン・ヘッド」トップに収録。
日本ではシングルもヒットしたよ。
今までのライブでは、何故だか、イントロでトラブっていたけど、やっとまとまったよ!
この曲、今でもトミーが在籍する「蝦夷紫」のセットリストに組み込まれているそうです。
トミーの鬼門ともいえる曲。
フルスロットルにトミーがパトカーのサイレンを高らかに演じる。
ここにきて一体全体、何オクターブまで出るんだ!?
タフネスガイだね。
そのアグレッシブでエネルギッシュな様に、横に陣取るメンバーらも俄然刺激を受ける。
リハでトミーが指摘していたシンコペーションも自然に溶けんでいた。
さあ、したたかで貫禄漲るキーボード・ソロには風格さえ漂ってきた。
まあ、これもアッキー1流のチャームポイントの一つかい。
羨ましそうなヒコちゃんいわく「クラシック・ロックは俺たちの青春そのものであり原点だね」
だから中盤部分におけるJ.S.バッハのコード進行は、何度聞いても感涙にむせんじゃうのさ。
バッハとジミヘンの融合。
この手合いは日本人の琴線を振るわせるのだ。
まるでギタリスト向けの教則本のよう。
その証拠に観客たちはシンちゃんのギターソロで万雷の拍手をこれでもかあ、というほどに浴びせていたよ。
嬉しい限りだね。
サンキューだ!!
レッドゾーンが振り切れたシンちゃんの、豪快なギターソロに熱視線が向けられる。
プレッシャーも何のその。
見事に跳ねのけ、大役をこなしてみせた。
余力を振り絞っての、トミー高音ヴォイスは衰え知らず。
オカちゃんのドラミングは信頼度高し。
安心して各自がプレイに専念できる。
アッキーもシンちゃんも、まだまだ自己主張し足りないよ、とでも言いたげ。
引っ張りに引っ張ったエンディングで堂々のフィナーレを迎えた。
「WOW!!ありがとうございました。パープル・ブリンガーでした!!」
FINALEは完全燃焼で真っ白な灰になって燃え果てた。
やれるだけのことはやりつくした。
満足感に溢れたメンバーらの表情をみればそれも一目瞭然。
心地よい汗を流せたね。
すぐにでもまた、ステージに戻ってきたいなあ。
お疲れ様でした!!!
5回目のライブも大団円!!
ステージ後、方々からメンバー達は称賛を受けたそうです。
オカちゃんなんて、ドラムの先輩でもあるセッキーからは大賛辞をたまわり、モッチンからも「札幌のぺイス君」と呼ばれる始末さ。((´∀`*))
すでに次のライブに対する期待が膨らんでいるしなあ。
でも、これに甘んじることなく今後も精進の日々に専念していこう。
ライブ後は、討論会を繰り広げて、時の経つのも忘れてしまった。
外の豪雪も我々を祝福しているかのようでした。
あまりにもヒートアップして溶けちゃいそうだ。
追記・・・・オカちゃんは「スピード・キング」「ブラックナイト」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をメドレーで、トミーはホワイトスネイクの「バーン」「ストーム・ブリンガー」のスペシャル・ミックスをライブで演じたことがあるそうです。
シンちゃんも若い頃はもっぱらパープルの虜、アッキーは正直な話、あるライブにおいてパープルを知りジョン・ロードにぞっこんとなり、マサは高校生の初ライブでパープルを夕張商工会館ホールなどでプレイ。
結局は各自、思い入れの強い別格バンドなのは間違いなし!!。
そんなわけでして、ライブのたび選曲や曲順に苦慮するという、贅沢なる嬉しい悲鳴にあえいでいるのだ((´∀`*))
予定にない閃きが沸くこともあれば、事前に考えていたことがすっぽ抜けることもあるのがライブの醍醐味。
その積み重ねは永久なんだよね。
満足に満たされることなんてありえない・・・・。
ライブは生もの。
何10回も繰り返してパーフェクトなリハでも、たった1回のライブでとちることはザラ。
だからこそ、一旦その魅力にハマったら抜け出せないのがライブなのさ。
これだけは断言できる・・・努力は決して裏切らない。
継続は力なり。
石の上にも3年。
快進撃はまだまだ続くよ!!