カンボジア経済

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カンボジア不動産セクター 苦しい局面に

2020年07月16日 | 経済
 大手不動産会社のCBREの報告書によりますと、プノンペンの不動産市況は苦しい局面となっているとのことです。2020年第1四半期(1月~3月)から下降していた不動産価格、賃貸料相場は、第2四半期(4月~6月)に新型コロナの影響を受けて下げ足を早めています。
 第2四半期の高級コンドミニアムの販売価格は、3041ドル/平方メートルと対前期比で4.0%下落しました。中級コンドミニアムは、2441ドル/平方メートル(4.6%減)、経済的住居は、1539ドル/平方メートル(0.7%減)となっています。賃貸市場も、高級コンドミニアムは13.18ドル/平方メートル・月と対前期比で7.3%の大幅下落となっています。オフィスや商業施設の賃貸料も下落傾向とのことです。
 新型コロナの状況で、不動産の建築や販売に遅れが出たり、販売を延期していることもあり、第2四半期には、新規の大型プロジェクトの完成はありませんでした。しかし、需要は大幅な減少を見せています。特に、外国人の駐在が急減しているため、高級コンドミニアムの空室が目立つとのことです。
 ここ数年、中央銀行や国際機関は、不動産ブームに供給過剰が見られるとして警鐘を鳴らしてきました。しかし、中国を中心とする外資により、不動産市況は支えられ、建設ブームも続いていました。こうした中で、新型コロナの影響を受けたため、カンボジアの不動産市場は、かなりの打撃を受けつつあるものと見られます。ただ、海外直接投資や自己資金による不動産投資が中心であるため、日本のバブル(銀行の過剰貸し付けによる不動産投資)とは違って、短期間に不動産市況が暴落するところには至っていないものと見られます。しかし、今後、建設ブームの中で建設された物件が続々と完成してくるのは確実で、供給過剰は続くものと見られます。他方、中国人の不動産購入については、中国政府の外貨流出規制もあって抑制されるものと見られます。また、新型コロナでカンボジアに渡航することが難しい状況もあって、外国人の不動産への需要の低迷は当面続くものと見られます。カンボジアの不動産市場は、当面苦しい状況が続くものと懸念されます。
(写真は、プノンペン市内。記事とは直接関係ありません)



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