カンボジア経済

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新型コロナ対策 様々な経済政策を活用

2020年07月17日 | 経済
 7月8日、カンボジア経済財政省のボンセイ・ビソット次官は、新型コロナ対策経済刺激パッケージに関する記者会見に臨み、財政出動の必要性等を説明しました。
 経済の現状については、カンボジアは開放経済であり、海外のショックの影響を受けやすいとし、輸出や観光等に加え、インフォーマル経済も大きな打撃を受けているとしています。このため、貧困世帯向け現金支援、失業・一時帰休労働者向け支援、中小企業向け融資支援等が重要であると述べました。また、不動産投資は、一部は投機目的で、非生産的であるとして、排除していく必要があるとしています。こうした中で、農業は、比較的打撃が小さく、現在でも人口の4割以上を支えていることに加え、失業した労働者が田舎に帰る等で農業に参加することもあって、希望があると見ています。
 財政については、当初予算約82億ドルは、EUの特恵関税制度EBAの資格停止への対策等を盛り込んだものの、新型コロナ対策は含まれていなかったので、今年2月以降に見直しを進め、海外出張削減等の節約策やインフラ事業の延期等を行い、9億ドル程度の財源を確保したとしています。今年の歳入は、対前年度比で20%から30%程度は減少すると見ており、政府貯蓄の活用やドナーからの支援で乗り切りたいとのことです。歳出については、公務員給与等の雇用にかかるものは維持し、新型コロナ対策として、貧困世帯向け現金支援に6億ドル、失業・一時帰休労働者向け支援に5億6400万ドルをあてるとしています。
 ビソット次官は、政府としては、新型コロナに対して当初は防衛的に対応したが、今後は、経済回復に向けて攻勢に転じたいと述べました。経済を回復させるためにも、当面、財政出動が必要であり、カンボジアはそれを行う財政的余裕があると自信を示しました。更に、中国に偏った借入状況についても、日本やアジア開発銀行等のドナーの支援も受けていきたいとしています。また、短期的対策だけでなく、これまで縫製業や観光に偏っていた経済構造を多様化する等の長期的視点も必要と指摘しました。今後、労働者の技能開発、貿易効率化、インフラ改善等を通じて国際競争力を強化していく方針であると説明しました。
(写真は、リノベーション工事が進んで見違えるようになった経済財政省本省)



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