・私の様子を見た夫が「何かうれしいことでもあったのか」と尋ねるので私はやむをえず、「肛門が死ぬほど痛い(痔)」と打ち明けた。・・・
夫の情報によれば、ぢにはどくだみの葉が効くという。・・・
私はかつて水虫がお茶っ葉で治ったことを思い出していた。民間療法というものは、意外とあなどれないものである。
その日の夜中、私はコソコソと近所の道端に生えているドクダミを採ってきた。四枚のドクダミの葉をよく揉み、青汁が出てきたところでトイレに入った。
ドクダミの汁は肛門にしみ、私は三回位「ヒィィ」と声をあげて腰を浮かした。しかしこれで治ると思えば安いものだ。私は痛みをこらえてドクダミ三枚分を尻に詰め、何事もなかったような顔をしてトイレから出、眠りについた。
よく朝、痛みはほとんどおさまっていた。驚くべき効果である。なんと役に立つ草が、この地球上のは存在しているんだろう。もうどんなに辛いものを食べても、太い便が出ても怖くない。ドクダミさえあれば肛門世界はパラダイスだ。
・遠藤周作先生から「あなたと対談したい」という申し込みをいただき、私はマヌケ面を引っさげてノコノコで書けることになった。・・・
先生は「僕も、もう76ですからね」と言うので、私は驚き、「えっ、そ、そんなふうにはとても見えませんのに」と、すっとんきょうな声で答えた。
そんなふうに見えないのは当然である。先生は当時66歳であった。つまり10歳もサバを読んでいたのだ。「5つは若く見えますね」などと言わなくて本当に良かった。このようにウソを言ってはニヤリと笑うのが遠藤先生なのである。・・・
遠藤先生はその後、腰の痛みの治し方などを詳しく語り、「いい医者を知っているから明日の朝十時に私の家に電話をしなさい。おしえてあげよう」と言って主人に電話番号のメモを手渡していた。・・・
翌朝、朝十時に電話をしろと言われていたため、本当は医者などどうでもよかったのだが、目覚まし時計までセットして、指示通りの時間に主人は起きた。そして、遠藤先生の手渡したメモを見ながらダイヤルを回すと、つながった場所は東京ガスの営業所であった。・・・トホホ。
・ぐうたらの極意
1)ごろんと寝転んでも体が痛くない状態
2)室内は、ヒトが一番活動に適している温度であること
3)空腹でぐうたらしてはいけない
4)あまり頭を使わなくても済むt頃な娯楽を道づれにする
5)電話のベルは鳴らないようにしておく
6)ぐうたらを開始する前に、必ず便所に行っておく
7)面倒な人物に面倒なことを言われない状態にしておく
・当時、私の描いた『ちびまる子ちゃん』の原作数は50話ぐらいであったため、毎週一本放送するとなると、原作は約1年で使い果たしてしまう計算になる。
関係者一同「・・・一体この先はどうなってゆくんだろう」という不安を抱えながらTVアニメはスタートして。しかし心配はご無用であった。
実は私は、「ちびまる子」のネタは、三年分ちゃんと計画を立てて表にしてあったのだ。
・今回、まる子についてこのエッセイの中に記しておきたいと思った理由は、私がアニメのまる子に対して中途半端な気持ちで取り組んだことは一度もなかったことと、大切だからこそ計画通りにTV番組は終了すること、そして自分の中に何か大変素晴らしいものが残ったということを、TV版まる子を応援してくださった皆様に報告しておこたかったからである。
・ある日、高校三年の秋の終わりに、友人の友人が「うちで柴犬の雑種が二匹生まれたが、貰い手がないので明日保健所に持ってゆく」と語っているのを聞き、私は思わず「それならせめて一匹でも私がひきとる」と名乗ってしまった。
一匹の仔犬は賢そうな顔をしている。身もひきしまり、いい犬に育ちそうだ。しかし、もう一匹の仔犬は年寄り臭い顔をしており、あまり賢そうでもない。全くの駄犬である。
一緒についてきた友人も、友人の友人も皆賢そうな方をすすめた。しかし、もし明日までに誰かもらい手が現れた場合、残っているのがこちらのマヌケ面だとしたら、きっともらうのをやめるであろう。賢そうな方を残しておいた方が、まだ生き延びる可能性がある。
私はマヌケ面の方を選んだ。友人達は「まァ、好き好きだから・・・」と力なく笑い、マヌケ面のためにタオルとエサを分けてくれた。
犬を抱いて帰った私は両親からそれはもう叱られた。・・・サッサとダンボール箱の中に仔犬を入れてエサを与え始めた。
・先日、私はついに「色気がなさすぎる」と夫から指摘された。
私は「いいじゃん。別に」と言って、鼻クソをボリボリはじっていた。
夫は「どうしてうちの妻だけこんなチョンチョコリンなんだろう。これじゃ毎日おさると暮しているようなもんだ」と言って嘆いている。
おさると言われた私はうれしくなり、「ウキキッ」と部屋中走り回ってティーブルの上のバナナを掴み、部屋の隅に丸くなって座ってそれをムシャムシャ食べ始めた。
夫は私が自分の話を真面目に聞かないことに腹を立て、「なんでいつも僕のパンツをはいているのだ」と、ついにそのことまで指摘してきた。
私が夫のパンツをはき始めて、かれこれ三年が過ぎようとしている。三年前、夫のトランクスがあまりにもラクそうだったため、試しにはいてみたところ、やみつきになったのである。
夫にパンツを指摘された私はウヘヘと笑い「いいじゃん。だってラクなんだもん」と言いながら、腰を浮かせてオナラをプーとした。
私のオナラで夫はますますイラ立ち、「なんでスカートをはかないのだ。みんな26歳にもなったら女盛りでキレイじゃないか・ボディコンが似合う体になれ」と言っている。
私はオシャレなんて興味がないのだ。昔は少しはシャレっ気もあったが、ここ数年そんなもの全くなくなってしまった。そんなもんより面白いことがたくさんあるからだ。
・「集英社の『りぼん』編集部ですが、おめでとうございます。デビューが決まりました」・・・
エレベーターに乗り、『りぼん』編集部に入る。吐き気がするほど緊張しながらドアを開けた。
そして上ずった声で「こんにちはさくらももこと申します・・・」と言ったとたん、誰かが「なんだ、普通の人じゃないか」と、すっとんきょうな声を発した。どんな者であろうと思われていたのだろうか。・・・
(偏執部の)山本さんは、最後に隅の机で何か書いている男を紹介した。「彼は、おたよりページを書いているあの”みーやん」です」その”みーやん”というアダ名で呼ばれる男はペコっと頭を下げ、ちょっと笑顔をし、また机に向かって何か書き始めていた。
私は”みーやん”のお便りページが気にいっていたので、「ああ、あれが・・・」と思ったのだが、顔を確認するのも失礼なので、一瞬にしてどんあ顔か忘れ去った。・・・
”――あの日、私がずっと専属のボーイと勘違いしていた”みーやん”と数年後結婚することになり、この”唇斜め三十五度曲げ”のゴッド・ワタナベが仲人をすることになるなんて。たとえイタコがノストラダムスを読んで予言させたとしてもわかりっこない人間関係なのであった。
・飲尿が体にいいと噂になってからもう二年余り経っている。
私も一回だけは前試したことがあったのだが「こんなことするくらいなら死んだ方がましだ」と思い、そのときはやめてしまった。
しかしそれがしばらくして、夫が飲尿の本を買ってくるなり「ボクはやるぞ」と、いきりたっていたので、私は非常に驚き、あわててその本を読んでみた。
本によれば「とにかく何にでも効く」というようなことが、いろいろな実例と共に列挙されており、ものすごく説得力がある。・・・ 効果がなかったらそれでもいいじゃないか、自分のオシッコではないか、飲もう飲もう。・・・
私の場合は、飲んで一時間以内に体内の便が全部出る。・・・
ジャンジャン便が出たあとは気分爽快。
・周防監督との対談
私は、取材していてもメモとったことがないんですよ。写真を撮らなければいけない時でも、もうめんどくさくて。それで、夜、寝るでしょ。本当は、夜、寝る前に今日取材したことをメモかなんか書いておけば、後で原稿を書く時に楽なんでしょうけど、寝ようと思うと、躊躇なくグーッと本格的に寝られるんです。それで朝、スッキリと目覚めればいいんですけど、モタモタして起きられない。そうしているうちに、また取材になって、夜か来て・・・。
感想;
「もものかんづめ」さくら ももこ著 ”ちびまる子ちゃんの面白さとほっとするのがわかったように思いました”
世間の常識や、いわゆる普通などと関係なく、自分の考えで生きることなのでしょう。
さくらももこさんは、それで生活もできる手段を手に入れられたのだと思います。
なかなかここまではできないですが、できることは自分の考えを優先することなのでしょう。
周りの人の言う/期待する人生を選択すると、それは自分の人生でなくなってしまいます。
さくらももこさんには、周りからどう思われているか、他者と比較することよりも、自分がやりたいことをやることが優先だったのでしょう。
「ちびまる子ちゃん」の登場人物は実在した人をモデルにされています。
多くの場合は事前に了解を取られているそうです。
でも中には、この人だったら了解を取らなくても大丈夫と思う人には取っていないとのことでした。
登場人物と実在はキャラクターを変えている場合もあるとのことです。
その代表が祖父のようです。
TVの祖父は、さくらももこさんの望む祖父像なのでしょう。
夫の情報によれば、ぢにはどくだみの葉が効くという。・・・
私はかつて水虫がお茶っ葉で治ったことを思い出していた。民間療法というものは、意外とあなどれないものである。
その日の夜中、私はコソコソと近所の道端に生えているドクダミを採ってきた。四枚のドクダミの葉をよく揉み、青汁が出てきたところでトイレに入った。
ドクダミの汁は肛門にしみ、私は三回位「ヒィィ」と声をあげて腰を浮かした。しかしこれで治ると思えば安いものだ。私は痛みをこらえてドクダミ三枚分を尻に詰め、何事もなかったような顔をしてトイレから出、眠りについた。
よく朝、痛みはほとんどおさまっていた。驚くべき効果である。なんと役に立つ草が、この地球上のは存在しているんだろう。もうどんなに辛いものを食べても、太い便が出ても怖くない。ドクダミさえあれば肛門世界はパラダイスだ。
・遠藤周作先生から「あなたと対談したい」という申し込みをいただき、私はマヌケ面を引っさげてノコノコで書けることになった。・・・
先生は「僕も、もう76ですからね」と言うので、私は驚き、「えっ、そ、そんなふうにはとても見えませんのに」と、すっとんきょうな声で答えた。
そんなふうに見えないのは当然である。先生は当時66歳であった。つまり10歳もサバを読んでいたのだ。「5つは若く見えますね」などと言わなくて本当に良かった。このようにウソを言ってはニヤリと笑うのが遠藤先生なのである。・・・
遠藤先生はその後、腰の痛みの治し方などを詳しく語り、「いい医者を知っているから明日の朝十時に私の家に電話をしなさい。おしえてあげよう」と言って主人に電話番号のメモを手渡していた。・・・
翌朝、朝十時に電話をしろと言われていたため、本当は医者などどうでもよかったのだが、目覚まし時計までセットして、指示通りの時間に主人は起きた。そして、遠藤先生の手渡したメモを見ながらダイヤルを回すと、つながった場所は東京ガスの営業所であった。・・・トホホ。
・ぐうたらの極意
1)ごろんと寝転んでも体が痛くない状態
2)室内は、ヒトが一番活動に適している温度であること
3)空腹でぐうたらしてはいけない
4)あまり頭を使わなくても済むt頃な娯楽を道づれにする
5)電話のベルは鳴らないようにしておく
6)ぐうたらを開始する前に、必ず便所に行っておく
7)面倒な人物に面倒なことを言われない状態にしておく
・当時、私の描いた『ちびまる子ちゃん』の原作数は50話ぐらいであったため、毎週一本放送するとなると、原作は約1年で使い果たしてしまう計算になる。
関係者一同「・・・一体この先はどうなってゆくんだろう」という不安を抱えながらTVアニメはスタートして。しかし心配はご無用であった。
実は私は、「ちびまる子」のネタは、三年分ちゃんと計画を立てて表にしてあったのだ。
・今回、まる子についてこのエッセイの中に記しておきたいと思った理由は、私がアニメのまる子に対して中途半端な気持ちで取り組んだことは一度もなかったことと、大切だからこそ計画通りにTV番組は終了すること、そして自分の中に何か大変素晴らしいものが残ったということを、TV版まる子を応援してくださった皆様に報告しておこたかったからである。
・ある日、高校三年の秋の終わりに、友人の友人が「うちで柴犬の雑種が二匹生まれたが、貰い手がないので明日保健所に持ってゆく」と語っているのを聞き、私は思わず「それならせめて一匹でも私がひきとる」と名乗ってしまった。
一匹の仔犬は賢そうな顔をしている。身もひきしまり、いい犬に育ちそうだ。しかし、もう一匹の仔犬は年寄り臭い顔をしており、あまり賢そうでもない。全くの駄犬である。
一緒についてきた友人も、友人の友人も皆賢そうな方をすすめた。しかし、もし明日までに誰かもらい手が現れた場合、残っているのがこちらのマヌケ面だとしたら、きっともらうのをやめるであろう。賢そうな方を残しておいた方が、まだ生き延びる可能性がある。
私はマヌケ面の方を選んだ。友人達は「まァ、好き好きだから・・・」と力なく笑い、マヌケ面のためにタオルとエサを分けてくれた。
犬を抱いて帰った私は両親からそれはもう叱られた。・・・サッサとダンボール箱の中に仔犬を入れてエサを与え始めた。
・先日、私はついに「色気がなさすぎる」と夫から指摘された。
私は「いいじゃん。別に」と言って、鼻クソをボリボリはじっていた。
夫は「どうしてうちの妻だけこんなチョンチョコリンなんだろう。これじゃ毎日おさると暮しているようなもんだ」と言って嘆いている。
おさると言われた私はうれしくなり、「ウキキッ」と部屋中走り回ってティーブルの上のバナナを掴み、部屋の隅に丸くなって座ってそれをムシャムシャ食べ始めた。
夫は私が自分の話を真面目に聞かないことに腹を立て、「なんでいつも僕のパンツをはいているのだ」と、ついにそのことまで指摘してきた。
私が夫のパンツをはき始めて、かれこれ三年が過ぎようとしている。三年前、夫のトランクスがあまりにもラクそうだったため、試しにはいてみたところ、やみつきになったのである。
夫にパンツを指摘された私はウヘヘと笑い「いいじゃん。だってラクなんだもん」と言いながら、腰を浮かせてオナラをプーとした。
私のオナラで夫はますますイラ立ち、「なんでスカートをはかないのだ。みんな26歳にもなったら女盛りでキレイじゃないか・ボディコンが似合う体になれ」と言っている。
私はオシャレなんて興味がないのだ。昔は少しはシャレっ気もあったが、ここ数年そんなもの全くなくなってしまった。そんなもんより面白いことがたくさんあるからだ。
・「集英社の『りぼん』編集部ですが、おめでとうございます。デビューが決まりました」・・・
エレベーターに乗り、『りぼん』編集部に入る。吐き気がするほど緊張しながらドアを開けた。
そして上ずった声で「こんにちはさくらももこと申します・・・」と言ったとたん、誰かが「なんだ、普通の人じゃないか」と、すっとんきょうな声を発した。どんな者であろうと思われていたのだろうか。・・・
(偏執部の)山本さんは、最後に隅の机で何か書いている男を紹介した。「彼は、おたよりページを書いているあの”みーやん」です」その”みーやん”というアダ名で呼ばれる男はペコっと頭を下げ、ちょっと笑顔をし、また机に向かって何か書き始めていた。
私は”みーやん”のお便りページが気にいっていたので、「ああ、あれが・・・」と思ったのだが、顔を確認するのも失礼なので、一瞬にしてどんあ顔か忘れ去った。・・・
”――あの日、私がずっと専属のボーイと勘違いしていた”みーやん”と数年後結婚することになり、この”唇斜め三十五度曲げ”のゴッド・ワタナベが仲人をすることになるなんて。たとえイタコがノストラダムスを読んで予言させたとしてもわかりっこない人間関係なのであった。
・飲尿が体にいいと噂になってからもう二年余り経っている。
私も一回だけは前試したことがあったのだが「こんなことするくらいなら死んだ方がましだ」と思い、そのときはやめてしまった。
しかしそれがしばらくして、夫が飲尿の本を買ってくるなり「ボクはやるぞ」と、いきりたっていたので、私は非常に驚き、あわててその本を読んでみた。
本によれば「とにかく何にでも効く」というようなことが、いろいろな実例と共に列挙されており、ものすごく説得力がある。・・・ 効果がなかったらそれでもいいじゃないか、自分のオシッコではないか、飲もう飲もう。・・・
私の場合は、飲んで一時間以内に体内の便が全部出る。・・・
ジャンジャン便が出たあとは気分爽快。
・周防監督との対談
私は、取材していてもメモとったことがないんですよ。写真を撮らなければいけない時でも、もうめんどくさくて。それで、夜、寝るでしょ。本当は、夜、寝る前に今日取材したことをメモかなんか書いておけば、後で原稿を書く時に楽なんでしょうけど、寝ようと思うと、躊躇なくグーッと本格的に寝られるんです。それで朝、スッキリと目覚めればいいんですけど、モタモタして起きられない。そうしているうちに、また取材になって、夜か来て・・・。
感想;
「もものかんづめ」さくら ももこ著 ”ちびまる子ちゃんの面白さとほっとするのがわかったように思いました”
世間の常識や、いわゆる普通などと関係なく、自分の考えで生きることなのでしょう。
さくらももこさんは、それで生活もできる手段を手に入れられたのだと思います。
なかなかここまではできないですが、できることは自分の考えを優先することなのでしょう。
周りの人の言う/期待する人生を選択すると、それは自分の人生でなくなってしまいます。
さくらももこさんには、周りからどう思われているか、他者と比較することよりも、自分がやりたいことをやることが優先だったのでしょう。
「ちびまる子ちゃん」の登場人物は実在した人をモデルにされています。
多くの場合は事前に了解を取られているそうです。
でも中には、この人だったら了解を取らなくても大丈夫と思う人には取っていないとのことでした。
登場人物と実在はキャラクターを変えている場合もあるとのことです。
その代表が祖父のようです。
TVの祖父は、さくらももこさんの望む祖父像なのでしょう。
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