英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

「山口百恵」考 その2

2013-01-10 21:50:59 | 芸能
歌のうまさには、2つの要素があって、
1.音程やリズムが正確、声量がある、音域が広いなど、いわゆる歌唱力と言われるもの
2.その歌の意味や気持ちを伝える力、表現力
   と私は考えている。

 もちろん、両方兼ね備えている方が良い。山口百恵の場合は、1はプロとしては疑問符を打ちたくなる人も多いであろう。特に、初期のころはアイドルとして忙しく、収録やレッスンの時間も取れなかったと思われ、ベスト盤を聴くと半音以上はずれている個所も時折見られる。
 それでも、彼女の歌が愛されているのは、曲が素晴らしいこともあるが、2が秀でているからであろう。
 それについては、デビューから印象に残っている曲について振り返る過程で、追々語っていきたい。

 デビュー曲『としごろ』、その後の『青い果実』『禁じられた遊び』『春風のいたずら』『ひと夏の経験』『ちっぽけな感傷』までの時期はその1で語っていて重複するが、乙女の純潔とそれを捨てても構わないという危うさをテーマにしていて、当時の私は引き気味で距離を取っていた。しかし、深く考えると、いやらしさを感じさせずに、この世界観を表現できるのは彼女しかいない気がする。
 桜田淳子もよく似た世界観のように感じられるが、桜田淳子は同世代の異性への気持ち、山口百恵は年上の男性への背伸びをした気持ちで、淳子はさわやかな風の陽、百恵は翳りのある陰である。
 この時期の名曲は『ひと夏の経験』。乙女の純潔をささげる覚悟と、その正反対の軽快で清々しさを感じさせる旋律が、不思議なほどマッチしている。
 この次の曲の『ちっぽけな感傷』はそれまでの路線(「青い性路線」と呼ばれていたらしい)を継承していたが、その次の曲『冬の色』は、心の奥にしまい込んだ恋心が滲み出してくる名曲であった。曲調もしっとりしていたということもあるが、彼女自身、大人の女性の階段を上り始めたという印象を感じさせていた。もしかしたら、この時期、彼女は映画初主演『伊豆の踊子』を演じており、この経験が大きかったのかもしれない。
 次の曲『湖の決心』も同様なテーマの曲。冒頭に「運命を信じますか そしてそれに従いますか 私は私は あなたに従います」という台詞があった。私は台詞入りの曲は好きではない。しかも、この台詞はあまりにも相手に委ねすぎで、男性ファン受けを狙ったのではないかと感じられ、大きな減点対象だった。今考えると、百恵さんにこんなセリフを言われたら昇天してしまいそうなくらい嬉しい。このころは私もまだ子供であった。
 それはともかく、曲そのものはいいと思うが、「ひとつだけ教えて下さい 倖せになれるでしょうか」というように、やや内容がストレートであった。
 『夏ひらく青春』は一転して動きのある曲。「ぱぱぱぱぱぱぱぱ ぱらぱ~」というイントロから始まり「ひとつ結ぶ ひとつひらく 恋という名前の夏の花  ひとつ結ぶ ひとつひらく めくるめく光の中で」と畳み掛けるような冒頭。その後もアップテンポな曲調で押し通す、桜田淳子が歌っても不思議ではない弾けた一曲だった。大好きな曲である。(以下続く)
コメント (4)
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